DX Stock

丸井グループ、DX推進に向けテックカンパニー「marui unite」設立 - デジタル顧客接点の強化で新たな顧客体験を創出

ニュース
DX Stock編集部DX Stock編集部
Thumbnail

老舗百貨店の丸井グループは、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を加速させるため、テックカンパニー「marui unite(マルイユナイト)」を設立しました。2024年10月1日に設立された新会社では、デジタル顧客接点におけるアジャイルなプロダクト開発を内製化し、UX(ユーザーエクスペリエンス)向上と新たな顧客体験の創出を目指します。第一弾として「エポスアプリ」や「エポスネット」の開発に着手し、将来的には小売やグループ全体、新規事業へと展開していく計画です。

共創経営を推進する丸井グループが直面したDXの課題

丸井グループは、これまでも顧客をはじめとする6つのステークホルダーとの共創を実践することで、さまざまな革新を進めてきました。顧客のニーズを捉え、時代に合わせたサービスを提供することで成長を続けてきた同社ですが、デジタル化が加速する現代においては、さらなる進化を実現するためにデジタルの力を活用することが不可欠となっています。

そこで丸井グループは、外部の知見を取り入れながらDX推進に取り組んできました。しかし、その過程でシステム開発における課題が顕在化しました。従来の外部委託による開発では、企画・調査、要件定義、開発といった一連のプロセスが完全な役割分担構造になっており、部門間の連携が不足していました。

また、部門横断での連携が取りにくい縦割型の意思決定プロセスや組織構造も、迅速な対応を阻害する要因となっていました。これらの課題を解消し、アジャイル開発を推進するため、丸井グループは新たな組織として「marui unite」を設立することを決断しました。

デジタル顧客接点の強化と新たな顧客体験の創出

marui uniteは、「『好き』とデジタルの力で新しい体験を共創する」というミッションを掲げ、丸井グループにおけるプロダクト開発のテック専門組織として、デジタル顧客接点の強化と新たな顧客体験の創出を担います。

従来、丸井グループの顧客接点はリアル店舗が中心でしたが、近年ではアプリやウェブサイトといったデジタル接点の重要性が高まっています。顧客と継続的な関係性を構築し、共創を通じて新たな価値を提供していくためには、デジタル接点におけるUX向上が不可欠です。

marui uniteは、このデジタル顧客接点を開発する専門組織として、事業会社(ビジネスサイド)と一体となってアジャイルなプロダクト開発を行います。これにより、顧客ニーズの変化に迅速に対応し、新たな体験価値をスピーディーに創出することが可能になります。

エポスアプリから小売、新規事業へ

marui uniteは、まずフィンテック事業における顧客接点である「エポスアプリ」と会員サイト「エポスネット」の開発に着手します。これらのプロダクトを通じて、顧客にとってより便利で使いやすいデジタル体験を提供することを目指します。

その後、段階的に小売事業やグループ全体のプロダクトへと開発範囲を拡大していく予定です。また、将来的にはmarui uniteが中心となって新規ビジネスの創出にも取り組むことを視野に入れています。

デジタル人材の積極採用

marui uniteでは、これらの取り組みを加速させるため、エンジニアリング領域などで活躍するデジタル人材の採用を積極的に進めています。報酬や評価といった人事制度も丸井グループとは別枠のものを用意し、デジタル人材にとって働きやすく、やりがいのある環境を提供することで、優秀な人材の獲得を目指しています。

「marui unite」の名に込めた想い、多様性と共創を重視する丸井グループの姿勢

marui uniteという社名には、「目的のために、異なるものが、互いの独自性を保ったまま結束する」という意味が込められています。これは、個人、組織、社会、ビジネスや概念といったさまざまな切り口において、個々の多様性を活かしながら「unite(結束)」していくことを目指すという、丸井グループの企業姿勢を表しています。

ロゴデザインにも、この想いが反映されています。一人ひとりの「好き」の感情がデジタルと組み合わさり、異なる属性や価値観の壁を越えて多様なつながりを生む様を、OIOI(丸井のロゴ)とuniteの頭文字(U)と磁石のモチーフを用いて表現しています。

marui uniteが切り拓く未来

marui uniteの設立は、丸井グループのDX推進における大きな一歩と言えるでしょう。新会社を通じてデジタル顧客接点を強化することで、顧客との共創をさらに深化させ、新たな顧客体験を創出していくことが期待されます。

marui uniteが、丸井グループの未来をどのように切り拓いていくのか、今後の動向に注目が集まります。

今回のmarui unite設立は、丸井グループがDX推進を本格化させるという強い意志を示すものと言えるでしょう。小売業界を取り巻く環境が大きく変化する中で、デジタル技術を活用した顧客体験の向上が、企業の競争力を左右する重要な要素となっています。

marui uniteは、丸井グループのデジタル戦略を担う中核的な存在として、その役割を大きく担っていくと考えられます。また、新会社を通じて獲得したデジタル技術やノウハウは、グループ全体に波及していくことが期待されます。

marui uniteの取り組みが、丸井グループ全体のDXを加速させ、さらなる成長へと繋がるのか、今後の展開に注目です。


©IVRy 2024