三井住友FG、シンガポールにAIソリューション事業会社を設立へ。CEOにアーメッド・マザーリ氏
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株式会社三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)は、グループ全体のAI戦略を推進し、企業変革を加速させるため、アーメッド・ジャミール・マザーリ氏をAIトランスフォーメーションアドバイザーとして迎え入れると発表しました。あわせて、マザーリ氏と共同でシンガポールにAIソリューション事業会社を設立する予定であることも明らかにしています。
生成AIによる金融ビジネスの変革
近年、生成AIの進化と関連システムの高度化は、金融ビジネスに大きな変革をもたらしています。SMBCグループは「AI-leading Financial Institution」をスローガンに掲げ、生成AIによってコアビジネスを変革し、内部オペレーションから顧客との接点に至るまで、あらゆる業務の刷新に取り組んでいます。
複雑なタスクの効率化はもちろん、よりパーソナライズされた質の高い顧客体験を創出するなど、金融の枠を超えた付加価値を顧客や社会に提供することを模索しています。その実現に向け、SMBCグループ全体へのAI導入や、お客様へのAIソリューション提供を目指します。
投資規模とこれまでの取り組み
SMBCグループは、2025年度までの中期経営計画で、将来の成長に向けたデジタル投資枠として8,000億円を設定しています。さらに、次期中計期間までの合計で500億円を生成AI特化の投資枠とし、この投資枠を活用して、全社で利用可能な汎用型AIアシスタントツール「SMBC-GAI」や「AI-CEO」の開発・導入などを進めてきました。
マザーリ氏の起用と新会社設立
今回、マザーリ氏をAIトランスフォーメーションのエグゼクティブアドバイザーとして迎え、AI活用の取り組みを一層加速させます。マザーリ氏は企業変革を力強く牽引する役割を担い、具体的には、東京やシンガポールをはじめとするグローバルなAI推進体制の整備、世界トップレベルのAI人材の獲得・育成を通じたカルチャー変革、全社的なAI活用を支えるデータインフラの整備、そしてコア業務へのAIエージェント導入などを主導していきます。
加えて、マザーリ氏と共同で、企業向けにAI関連ソリューションの開発・導入を支援する事業会社をシンガポールに設立します。この新会社では、複雑な業務環境においてもAIエージェントが自ら学習・推論し、自律的に稼働する仕組みを提供する計画です。まずはSMBCグループ自身をファーストカスタマーとしてAIエージェントの導入を進め、将来的にはSMBCグループの取引先をはじめとする法人の顧客へソリューションを提供していく考えです。
新会社のCEOにはマザーリ氏が就任し、グローバルに優秀なAI人材を集めて事業開発を加速させます。グローバル金融グループとしての強みと、スタートアップとしての革新的なスピードを併せ持つ「デュアルエンジンモデル」によって、AI戦略を強力に推進していく方針です。
マザーリ氏の経歴
マザーリ氏は、GE社およびGenpact社(2005年にGEから独立したBPO企業)で20年以上にわたり、グローバルなリーダーシップを発揮してきました。Genpact社の創業メンバーの一人として、同社を初期段階からニューヨーク証券取引所上場企業へと成長させた実績を持ちます。
また、Microsoft Asia社では社長として、日本を含むアジア全域の事業を統括。AIソリューションの提供体制を構築し、同社の急成長に大きく貢献しました。

主な経歴
- 1991年10月:米Xeroxでサプライチェーン管理の戦略策定・オペレーション最適化等に従事
- 1997年4月:米GEでビジネスオペレーショングローバル責任者含む役職を歴任
- 2005年1月:米Genpact創設メンバーとして参画
- 2009年1月:米Genpact上席副社長兼最高成長責任者就任
- 2020年2月:米Microsoft Asia社長
SMBCグループは、今回の新たな取り組みを通じてAI戦略をさらに加速させ、金融業界におけるデジタル変革のリーディングカンパニーとしての地位確立を目指します。