デジタイゼーションとは？具体例やポイント【DX用語辞典】

デジタイゼーション（Digitization）とは、アナログ情報をデジタルデータに変換することを指します。これは、紙の書類や写真、音声、映像などのアナログ媒体に存在する情報を、コンピューターで処理・保存・伝送できるデジタル形式に変換するプロセスです。

例えば、紙の書類をスキャナーで読み取り、PDFファイルとして保存することや、アナログレコードの音源をデジタル音声ファイルに変換することがデジタイゼーションの一例です。日本では一般的に「デジタル化」と訳されます。

デジタライゼーションとの違いは？

「デジタイゼーション」と似た言葉に「デジタライゼーション（Digitalization）」がありますが、これらは別の概念です。

• デジタイゼーションは、アナログ情報をデジタル形式に変換することを指します。これは、紙の書類や写真、音声などをデジタルデータにするプロセスで、情報そのものをデジタル化する「手段」です。
• 一方、デジタライゼーションは、デジタル化されたデータやデジタル技術を活用して、業務プロセスを効率化・改善することを意味します。これは、デジタル技術を使って業務のやり方そのものを変える「プロセス」です。

つまり、デジタイゼーションはデジタライゼーションの基盤となるステップであり、デジタライゼーションはそのデジタルデータを使って業務をより良くしていく取り組みです。

DXとの違いは？

デジタイゼーションとDX（デジタルトランスフォーメーション）は、デジタル技術を活用するという共通点がありますが、その目的や範囲が異なります。

DX（デジタルトランスフォーメーション）とは、デジタル技術を活用して、ビジネスモデルや企業文化、顧客体験を根本的に変革し、新たな価値を創出することです。デジタイゼーションは、DXを実現するための初歩的なステップであり、デジタライゼーションを経て最終的にDXを達成します。

デジタイゼーションによって情報がデジタル形式になり、デジタライゼーションで業務プロセスが効率化・改善されます。その結果、企業は新しいビジネスモデルの構築や市場での競争優位性の確立といったDXを推進することが可能になります。

デジタイゼーションのメリット

デジタイゼーションを導入することで、企業や組織は様々なメリットを得ることができます。

まず、情報の保存・管理が効率化されます。デジタルデータは物理的なスペースを必要としないため、大量の情報を効率的に保存・管理できます。また、データの検索や整理が容易になり、必要な情報に迅速にアクセスできます。

次に、情報の共有と伝達が迅速化します。デジタルデータはネットワークを通じて即座に共有・伝達できるため、地理的な制約を超えて情報を共有し、コミュニケーションを円滑に進めることが可能です。

さらに、コスト削減につながります。紙の使用量を削減することで、印刷費用や保管スペースのコストを削減できます。また、郵送費や手作業による業務コストの低減にも寄与します。

また、セキュリティの向上も期待できます。デジタルデータはアクセス権限の設定や暗号化など、情報セキュリティの対策が施しやすく、情報漏洩や不正アクセスのリスクを低減できます。

デジタイゼーションの具体例

デジタイゼーションは、日常生活やビジネスの様々な場面で活用されています。

例えば、書類の電子化があります。紙の契約書、請求書、報告書などをスキャンしてPDFや画像データとして保存することで、物理的な保管スペースを削減し、情報検索も容易になります。

また、写真や映像のデジタル化も一般的です。アナログ写真やビデオテープをデジタルデータに変換することで、劣化せずに高品質のまま保存・再生が可能になります。

さらに、図面や設計データのデジタル化も挙げられます。建築図面や製品設計図をデジタルデータとして保存し、CADソフトウェアで活用することで、設計の修正や共有が効率的に行えます。

デジタイゼーションを成功させるためのポイント

デジタイゼーションを効果的に進めるためには、以下の点に注意が必要です。

• 適切なツールと技術の選定：スキャナーやデジタルカメラ、デジタル変換ソフトウェアなど、目的に合った機器やソフトを選びます。
• 品質の確保：デジタル化する際に、情報の欠落や品質の劣化が起きないように注意します。
• メタデータの付与：デジタルデータにタグや説明を付けることで、後からの検索や整理が容易になります。
• セキュリティ対策：デジタルデータの不正アクセスや情報漏洩を防ぐために、適切なセキュリティ対策を講じます。
• バックアップの実施：データ消失のリスクに備えて、定期的にバックアップを取ります。

デジタイゼーションは、デジタル時代における情報管理の第一歩です。アナログ情報をデジタル化することで、情報の保存・管理・共有が飛躍的に効率化されます。

企業や組織がデジタイゼーションを進めることで、業務の効率化やコスト削減、セキュリティの向上といった多くのメリットを享受できます。また、デジタイゼーションはデジタライゼーションやDXへの重要なステップであり、将来的なビジネスの発展にもつながります。

本記事を参考に、デジタイゼーションへの取り組みを検討し、デジタル技術を活用した情報管理の効率化を目指してみてください。