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RPAとは?活用されている代表的な業務領域も紹介

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DX Stock編集部DX Stock編集部
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RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、マウスのクリックやコピー&ペーストなど、人間がパソコンで行う作業を記憶・反復する自動化ソフトです。毎日数時間かかるような定型作業を数分に短縮できるなど、大幅な業務効率化を実現できる方法として注目を集めています。プログラミングの知識がなくても、簡単な設定画面を操作するだけで自動化できる点も大きな特徴です。
本記事では、RPAの概要やメリット、RPAが多く活用されている代表的な業務領域を紹介します。

1.RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは

まず、RPAの概要とメリット、既存の自動化方法であるExcelマクロとの違いについて解説します。

RPAの概要

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、人間によるさまざまなパソコン作業を自動化するソフトの総称です。APIと連携させることも可能で、複雑なデータ処理やシステム間連携なども自動化できます。

以下のような「人がPCで実施していた作業」を、パソコン上で仮想の人間(ロボット)が代わりに実施してくれます。

  1. ファイルサーバーのフォルダを開き、対象のエクセルファイルを開く
  2. ブラウザで社内システムのURLを入力して、ID・パスワードを入力してログインする
  3. エクセルの対象データを探して、Ctrl+Cでコピーする
  4. 社内システムの該当データにCtrl+Vでペーストする

これまで自動化の主な方法であったプログラミングやマクロと比較すると、より多くの業務に簡単に導入できる点がRPAの最大の強みです。

以下のような作業はRPAを活用することで自動化しやすいでしょう。

  • 複数のエクセルファイル間の転記作業(管理簿、各支店の売り上げデータなど)
  • エクセルから社内システムへの入力作業(顧客データ、日報など)
  • 複数のデータの照合・チェック作業(請求データ、支払処理など)
  • 複数のシステムから情報を取得してファイルにまとめる作業

特に、同じ様式のファイルを使って、同じ手順で毎日・毎週など繰り返し実施している定型作業は、RPAで自動化しやすい特徴があります。

RPAによって得られるメリット

RPAをうまく活用することで、コストや品質、時間に関する以下のようなメリットを得られます。

業務の効率化

定型的な作業を高速で自動化することで、作業時間の大幅な短縮が可能です。また、人手で行う必要がなくなるため、従業員がより重要な業務に集中できるようになります。

人的ミスの削減

RPAは決められた手順に従って正確に作業を実行するため、データ入力ミスや計算ミスなどのヒューマンエラーを防止できます。

コスト削減

作業の自動化により、従来の業務プロセスに要していた時間や労力が削減されます。これにより、残業代や派遣・委託費用などの人件費や間接コストを抑えられるでしょう。

生産性の向上

RPAは24時間365日稼働可能です。夜間や休日にも作業を進められるため、業務の処理スピードや処理能力が大幅に向上します。

業務の拡張性や季節変動などへの対応

必要に応じて、処理量や作業範囲を柔軟に拡張できます。季節変動などの繁忙期でも、仕事の量に応じて処理量を調整可能です。

業務プロセスやシステム間連携の最適化

複数の社内システムが乱立している環境においても、異なるシステムやプラットフォーム間でのデータ移行や連携を自動化します。そのため、システム改修を伴わずに、会社全体の業務プロセスを最適化できます。

Excelのマクロとの違い

現場でも実現できる自動化の手法として、従来からよく利用されているものにExcelのマクロ機能があります。Excelマクロは、特定の処理は自動化できるものの、柔軟性がなくエラーが多発したり、メンテナンスにスキルが必要であったりと、欠点も少なくありません。

RPAは、Excelマクロと比較して以下のメリットがあります。

  • エクセル以外にパソコンで操作するファイル・ソフトであれば何でも自動化できる(独自開発した社内システムなどにも適用可能)
  • プログラミングの知識が不要で、マウスクリックのみで自動化プログラムを作成できる

2.RPAが活用されている代表的な業務領域

ここまで、RPAの概要と自動化のイメージ、メリットなどを解説してきました。ここからは、具体的にどのような業務に適用できるのか、どういった効果を得られるのかを紹介します。

データ入力・集計

各支店や営業担当者の売り上げなどのデータを、毎日本社で集約・分析する業務にRPAを活用すれば、作業時間の短縮につながるだけではなく、リアルタイムにデータを収集・分析できるようになります。その結果、ビジネスの意思決定におけるスピードアップが実現するでしょう。

たとえば、RPAを使って共有サーバーにアップされた支店ごとの売り上げエクセルファイルから、データを自動抽出・システムに自動入力して、データ集計やレポート生成などを自動で実施できます。

経理処理・チェック

請求書の支払いや給与データなど経理に関する作業にもRPAを活用できます。取引先からの請求書より支払いデータを抽出し、口座情報と連携・支払いの通知などのアフターフォローまでをRPAで自動化することが可能です。

契約書や文書の管理

契約書や業務関連書類の管理にもRPAは役立ちます。たとえば、電子メールで受領した契約書のPDFファイルを指定フォルダに自動保存し、内容をOCRで読み取って契約内容を管理システムに登録できます。さらに、契約更新の期日が近づいた際、自動でリマインドメールを送信することで、契約更新漏れや勝手に自動更新されるトラブルを防げるでしょう。

交通費精算の処理

交通費の精算業務において、従業員が申請した経路や費用データをRPAが確認・処理することも可能です。たとえば、申請データを交通機関の公式サイトで照合し、正しい運賃であることを確認したうえで、精算システムに入力して承認処理を進められます。これにより、経費精算の正確性を高めつつ、処理時間を短縮できます。

顧客対応のサポート

顧客からの問い合わせを管理するシステムとRPAの連携により、迅速な顧客対応が可能となります。

たとえば、顧客がWebフォームで入力した問い合わせ内容をCRMシステム(顧客管理システム)に自動登録し、過去の対応履歴を参照して適切な営業担当者にアサインすることが可能です。また、問い合わせ内容がよくある質問の場合、RPAがFAQを参照して自動でメール返信を行えます。

RPAは、人間がパソコンで実施するほぼすべての作業を記憶して自動化する技術です。給与・経費精算、データ集計、契約書の管理といった繰り返し発生する作業を自動化することで、業務効率化を図れます。深刻化する労働力不足に対応するための施策として、RPAの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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