ビームス、世界初・物流ロボットなど先端自動化システム導入の新物流拠点を開設
ニュースセレクトショップ大手のビームスは、東京・深川に最新鋭の物流拠点「ビームス ウエアステーション」を9月下旬に開設します。
約9,000坪の広大な敷地に、世界初導入となるリニアモーター式ロボット「CUEBUS(搬送タイプ)」や自律型ケースハンドリングロボットシステム「HaiPick SYSTEM」など、最先端の自動化システムを導入します。人手不足が深刻化する中、省人化と効率化を実現し、今後の事業拡大に対応します。
9,000坪の巨大物流拠点!深川から未来の物流網を構築
ビームスは、従来の東京都江東区新砂の物流拠点から、同区塩浜(深川地域)へと移転し、「ビームス ウエアステーション」を拡張します。新拠点は、延床面積が従来の約2倍となる約9,000坪と巨大化し、東日本エリアの物流拠点としての役割を担います。西日本エリアは従来通り「ビームス 関西ロジスティクスセンター」(大阪府交野市)が担当します。
新拠点には、物流機能に加えて、自社ECサイト用の撮影スタジオやカスタマーサービスデスクも併設されます。これにより、商品入荷から出荷、撮影、顧客対応までを一元管理し、業務効率と顧客満足度の向上が期待されます。
世界初導入のリニアモーター式ロボット「CUEBUS」
今回導入される自動化システムの中でも、特に注目すべきは、世界初導入となるリニアモーター式ロボット「CUEBUS(搬送タイプ)」です。このロボットは、床面に敷設されたタイル状のリニアモーター上を移動するトレイに商品を載せて搬送します。
ビームスでは、「CUEBUS」を入荷工程に導入し、2枚のトレイを同時に制御することで、従来自動搬送が困難だったZラック(ハンガーラックの一種)の搬送を自動化します。
さらに、ロボットが通過するタイル上に自動検品ゲートを設置し、商品タグに取り付けられたRFIDタグを自動で読み取ることで、検品作業も自動化されます。これにより、入荷作業の効率化と精度の向上が期待されます。
自律型ケースハンドリングロボット「HaiPick SYSTEM」
もう一つの注目システムは、自律型ケースハンドリングロボットシステム「HaiPick SYSTEM」です。高さ約4.7mのラック、自律型ケースハンドリングロボット(ACR)、そして「HAI PORT Workstation」という3つのモジュールで構成され、商品の入庫・保管・出庫を自動化します。
新拠点では、57台のACRが稼働し、1台で複数のコンテナの入出庫を行います。天井高を有効活用することで、多品種少量の商品を効率的に保管することが可能になります。
また、「HAI PORT Workstation」と呼ばれるステーションまでACRが商品を搬送するGTP(Goods To Person)方式を採用します。さらに、次工程には自動仕分け可能なソーターシステムを接続することで、店舗および自社EC顧客への仕分けを同時に行います。これにより、出荷作業の効率化とリードタイムの短縮が期待されます。
導入の背景:人手不足と事業拡大への対応
これらの先端システム導入の背景には、深刻化する人手不足への対応があります。特に物流業界では、ドライバー不足や倉庫作業員の不足が深刻化しており、自動化による省人化は喫緊の課題となっています。
ビームスは、今回の自動化システム導入により、人材不足による業務への影響を最小限に抑え、安定的な物流体制を構築することを目指しています。
また、ビームスは近年、アパレル以外の事業にも積極的に進出しており、事業規模が拡大しています。ECサイトの強化や海外事業の拡大、企業や自治体との連携など、多岐にわたる事業展開を進めています。
新物流拠点と自動化システムは、このような事業拡大に対応するための基盤となります。効率的な物流体制を構築することで、今後の事業成長を支えていく狙いです。
ビームスの今後の展望:AIやIoT活用による更なる進化
ビームスは、今回の新物流拠点開設と自動化システム導入を、物流DXの第一歩と位置付けています。将来的には、AIやIoTなどの技術も活用し、さらなる物流の高度化を目指しています。
例えば、AIを活用した需要予測や在庫管理、IoTを活用した倉庫内の環境管理など、さまざまな可能性が考えられます。これらの技術を導入することで、より効率的で柔軟な物流体制を構築し、顧客へのサービス向上につなげたいと考えています。
業界への影響:アパレル物流自動化の加速
ビームスの取り組みは、アパレル業界全体の物流自動化を加速させる可能性を秘めています。特に、世界初導入となる「CUEBUS」の活用事例は、他社にとっても大きな参考になるでしょう。
人手不足が深刻化する中、アパレル業界では、物流の自動化・効率化が重要な課題となっています。ビームスの成功事例は、他のアパレル企業が自動化に踏み切るきっかけとなる可能性があります。
ビームスは、新物流拠点「ビームス ウエアステーション」と最先端の自動化システムによって、物流DXを加速させます。人手不足や事業拡大といった課題に対応し、顧客満足度の向上とさらなる事業成長を目指していきます。
その取り組みは、アパレル業界全体の物流自動化を促進する可能性を秘めており、今後の動向が注目されます。