生活DXの現状、生活の各分野のデジタル化の状況は?博報堂生活総研が調査
調査データ博報堂生活総合研究所(生活総研)は、全国の15~69歳の男女5,000人を対象に、生活分野ごとのデジタル化の現状と今後の意向を調査した「生活DX定点調査」の結果を発表しました。情報取得や決済などはデジタル化が進んでいる一方、医療や旅行は遅れ気味であることが明らかになりました。
生活DX定点調査の概要
「生活DX定点調査」は、生活の各分野におけるデジタル/アナログ比率の現状と今後のデジタル化意向を調査したものです。調査期間は2024年3月22日~3月25日、インターネット調査で実施されました。対象者は全国8エリアの人口構成比(性年代)に合わせて割り付けられています。
デジタル化の進捗状況:情報取得は好調、医療・旅行は浸透せず
調査の結果、生活の各分野でデジタル化の進展にばらつきが見られました。
デジタル比率が5割を超えたのは、「情報取得(レシピ、商品情報、ニュースなど)」や「店舗での少額決済」の分野でした。特に情報取得はデジタル化が顕著に進んでいると言えます。
一方、「オンライン診療」や「オンラインツアー(旅行)」はデジタル比率が1割未満にとどまり、デジタル化が進んでいないことが浮き彫りになりました。
意外に低い数値としては、「ネットスーパーで生鮮食品を買う(12.9%)」、「宅配でお店の料理を届けてもらう(19.5%)」といったものがあります。この辺りは地域ごとの普及の差も影響していると考えられます。
デジタル比率が3~4割台だったのは、「商品の売買」、「読書」、「誰かとのオンラインゲーム」、「オンラインイベント参加」、「オンライン会議参加」、「物件の内覧」などで、これらはデジタル化が中間層にあると言えます。
全体として、情報取得、コミュニケーション、商品売買に関する分野はデジタル比率が高く、デジタル化が一歩先に進んでいる一方、衣食住や学び、恋愛などに関することはまだアナログ比率が高い傾向が見られました。
デジタル化への意識:ハイブリッド志向が主流、体験重視分野はアナログ重視
今後のデジタル化意向については、多くの分野でデジタルとアナログを「両方する方がよい(ハイブリッド)」という回答が過半数を占めました。しかし、「旅行」、「ファッション」、「デート」、「恋愛相手との出会い」、「コンサート参加」については、「アナログだけに絞りたい」という回答が最も多くなりました。
「デジタルだけに絞りたい」という回答の比率が比較的高かったのは、「店舗での少額決済」、「レシピを見る」、「品物の売買」など、既にデジタル化が進んでいる分野でした。
デジタル化の男女差・世代間格差:男性・若年層でデジタル比率が高い傾向
性別では、全般的に男性は女性に比べデジタル比率の高い分野が多い傾向が見られました。特にオンラインでの「試着」、「デート」、「誰かとの動画視聴」、「誰かとのゲーム」などで男女差が大きくなりました。
年代別では、全般的に若い年代ほど上の年代に比べデジタル比率の高い分野が多い傾向が見られました。「物品売買」、「子供の授業/習い事」、「コンサート参加」、「漫画を読む」などで年代差が大きくなりました。
生活総研は、今後も定期的に本調査を実施し、デジタル化で大きく変容する生活者の行動実態を可視化していく予定です。今回の調査は生活DXの現状を明らかにする第一歩であり、今後の変化を捉える上での指標となることが期待されます。