「電話の音が怖い」からスタッフを守る。サンキューマート全国77店舗が売場での電話応対をやめ、月間約1,000件を本部で引き取る体制を実現

人気キャラクターの限定アイテムを中心に、全品390円の商品を展開する「サンキューマート」。運営元のエルソニック株式会社は、事業の急成長に伴う店舗への入電増加と、スタッフの心身の負担・離職リスク、カスハラ対策という課題に対し、対話AIプラットフォーム「アイブリー」を導入。全国77店舗で公開していた電話番号を本部の一元窓口へと切り替え、月間約1,000件の入電を店舗から完全に切り離す体制を�実現しました。営業部 店舗課の森本さん、店舗戦略課 店舗サポートの中嶋さんにお話を伺いました。

人気キャラクターの限定アイテムを中心に、全品390円の商品を展開する「サンキューマート」。運営元のエルソニック株式会社は、全国77店舗で公開していた電話番号を「本部の一元窓口」へと切り替え、月間約1,000件の入電を店舗から完全に切り離す体制を実現しました。

背景にあったのは、事業の急成長に伴う店舗への入電数の爆発的な増加と、それに伴う従業員の心身の負担・離職リスクです。さらに2026年10月1日に施行される法改正に向けた「カスハラ(カスタマーハラスメント)対策」が急務となる中、同社は対話AIプラットフォーム「アイブリー」を導入。現場の電話をゼロにすることで、スタッフを守り、顧客体験を向上させる強固な組織体制を構築しました。本記事では、エルソニック株式会社 営業部 店舗課の森本さん、店舗戦略課 店舗サポートの中嶋さんにお話を伺いました。

アイブリー導入の成果サマリー

  1. 【カスハラ・離職リスクの排除】電話による現場の心理的負担をゼロにし、従業員を守る体制を構築:店舗への電話を完全に切り離し、1本の窓口(本部)へ集約。特定のスタッフへの名指し電話や、他店への不満を別の店舗にぶつける「店舗間クレーム」が店頭に届く導線を断ち切り、スタッフの心身を守る防波堤を構築しました。
  2. 【店頭生産性の向上】月間約1,000件の入電対応を削減し、本来の業務へ再配分:目の前の接客か、鳴り続ける電話か。現場を疲弊させていたジレンマを解消。本部による一次受けへ移行したことで、スタッフは「電話の音が怖い」というストレスから解放され、接客・商品出し・売場づくりといった売上に直結するコア業務に集中できるようになりました。
  3. 【顧客対応品質の均一化とガバナンス強化】属人化によるクレーム発生を防止:若手スタッフの固定電話に対する不慣れさや、店舗ごとの教育レベルの差によって生じていた応対のばらつきを解消。対応を本部に一元化することで、顧客へのサービス品質を均一に保ち、不適切な初期対応から生じるクレームのエスカレーションを防いでいます。
  4. 【多店舗展開における安全な移行】現場に混乱を与えない、全77店舗の順次切り替え:全店一斉のシステム切り替えというリスクの高い手法は取らず、少数の試験導入からスタート。商業施設ごとに異なるテナントページの電話番号掲載手続きなどに合わせ、店舗単位での順次切り替えを行い、全国77店舗の安全な窓口移行を完了させました。

サンキューマートについて

「サンキューマート」は、キャラクターの限定アイテムを中心としたカワイイ推しグッズが、いつでもALL390円で手に入るショップです。Tシャツやバッグ、アクセサリーにコスメ、生活雑貨まで、ワクワクするような商品を手に取りやすい“サンキュープライス”で取り揃えています。

店舗の多くはショッピングモールなどの商業施設に出店しており、来店の多くの動機は人気キャラクターのオリジナルアイテムです。その魅力を支えているのが企画のスピード感。扱うキャラクターは数十種、商品は1,000種を超え、週に1〜2回のペースで全店一斉に新商品が投入されます。「SNSで話題になった商品は、一瞬で売り切れることもあります」(中嶋さん)。

この活気ある売場を回すのは、1日3〜4名によるシフト体制です。新商品の発売日には人員を手厚くするものの、接客やレジ、品出しから清掃までを兼務するスタッフにとって、電話対応は常に「もう一つの重い業務」としてのしかかっていました。

「ワンオペ時の電話対応」と「対応のばらつき」店舗にのしかかる負担

サンキューマートに寄せられる電話の大半は、業態特有の「商品に関するお問い合わせ」でした。中嶋さんは「とくに人気コラボ商品の発売日は『在庫はありますか』という電話が鳴り止まず、対応に追われて業務効率が低下することが課題でした」と振り返ります。

背景にあったのは、事業の急成長です。「売上が大きく伸びたことが最大の要因です。それに伴い、電話の件数も2倍、3倍へと膨れ上がりました」(森本さん)と説明します。手に取りやすい価格で多くのお客様に商品を届けるサンキューマートにとって、売場の回転を止めないことは事業の根幹です。「だからこそ、電話の件数を減らしてスタッフの負担を軽くし、働きやすい環境を整えることが一番の狙いでした」と語ります。

売れるほど電話が増え、売場の手が止まる。このジレンマは少人数の時間帯にとくに顕著で、目の前のお客様と電話のどちらを優先すべきか、戸惑うスタッフも多かったといいます。

さらに、主力である20〜30代のスタッフにとって「固定電話への応対」はハードルが高く、ベテランに頼らざるを得ない場面もありました。その結果、店舗ごとの教育差から応対品質にばらつきが生じ、クレームに繋がってしまうことも見過ごせない問題となっていました。

現場の負担を丸ごと引き取る。電話応対を変えるならアイブリーが良い

増え続ける入電と、新入社員の増加によって生じた応対品質のばらつき。これらの課題に対し、当初は自社サイトへのチャットボット導入なども検討しましたが、同社が求める最大の目的は、あくまで「電話対応の負担軽減」でした。

森本さんは「とにかく電話対応をどうにかしたいという強い思いがあったため、そこに特化しているアイブリーが最適だと判断しました」と当時を振り返ります。アイブリーを知ったきっかけは、同社の代表が経営する別の企業ですでに導入されており、「一次対応として非常に優れている」と紹介を受けたことでした。

専用のお客様相談室を持たない同社にとって、全店舗の問い合わせを本部で一元化し、顧客サービスの質を均一に保ちながら、現場の負担を減らせる仕組みは不可欠です。「店舗の電話業務を丸ごと引き取れる形にできる」という点は、まさに大きな決め手となりました。

さらに、導入を強力に後押ししたのが、電話とWebのシームレスな連携機能です。

「一次受付をアイブリーに任せ、SMSでチャットボット用のURLを送信すれば、電話とネットの両面からスムーズに対応できます。これは将来的に活用できる非常に便利な機能だと感じました」と森本さんは語ります。

電話で受けた用件を、写真の添付や詳細な入力が必要なWebの導線へとつなぐ。この柔軟な発想が、後の振り分け設計の確固たる土台となりました。

店舗につなぐ分岐はゼロ。受ける必要のない電話を受けない窓口設計

同社のシステムにおける最大の特徴は、店舗スタッフへ電話をつなぐ分岐を「一切設けていない」点にあります。アイブリーが受けた電話は、用件に合わせて「自動音声案内」「SMSを通じたWebサイトへの誘導」「AIによる聞き取り」のいずれかに振り分けられます。

お客様の窓口となる番号は、アイブリーで取得した050番号1本に集約しました。導入にあたっては、まず少数の店舗から試験的にスタート。各媒体に掲載している電話番号を順次差し替え、切り替えが完了した店舗から新しい窓口へと電話を流していく仕組みを採用しています。

アイブリー活用イメージ

「商品のお問い合わせ、忘れ物、返品・交換、求人の対応など細かく分けました。SMSから自社のお問い合わせフォームへ誘導し、平日に対応できるように工夫しています」(中嶋さん)

「電話の音が怖かった」スタッフが本来業務に集中できる安心感

導入後、最も率直な喜びの声を上げたのは、他でもない店舗のスタッフたちでした。

「社内でも非常に好評です。スタッフにヒアリングをしたところ、『電話対応がなくなり安心した』『電話の音が怖かったけれど、鳴らなくなったことで他の業務に集中できる』といった声が寄せられています」と中嶋さんは語ります。

「電話の音が怖い」という彼らの言葉は、電話応対が単なる作業としての負荷にとどまらず、現場にとって大きな心理的ストレスであった事実を如実に物語っています。

「もともと電話対応に苦手意識を持つスタッフが多かったこともあり、窓口の一括化は大幅な業務負担の軽減につながりました。その分、スタッフが店舗運営そのものに時間を使えるようになったことに、大きな価値を感じています」(中嶋さん)。

接客、品出し、そして魅力的な売場づくり。これまで電話のコール音に奪われていた時間が、ついに本来の業務へと還元されたのです。

エスカレートする前に本部が受け止める。カスハラからスタッフを守る防波堤として

アイブリー導入の最大の目的は、「スタッフの負担軽減」と「カスハラ対策」でした。特定のスタッフを狙う電話や、チェーン店特有の「店舗間クレーム」。さらには熱心なファンからのご要望など、現場には日々さまざまな熱量の電話が寄せられます。これらを接客と並行して受けることは、スタッフの大きな精神的負担となっていました。

同社はこれまで充実した研修やフォロー体制で離職防止に努めてきましたが、「誰がどんな電話を受けるか」まではコントロールできません。

「イレギュラーな問い合わせにうまく対応できず、お客様に不満を持たせてしまうことがありました」(中嶋さん)。

判断に迷い応対が長引くことで、お客様の不満が高まり、それがスタッフへの強い当たりとなって返ってくる。店頭ではこうした悪循環が起きていたのです。

この連鎖を断ち切ったのが、アイブリーによる一次受付でした。

「エスカレートする前に内容を整理し、準備してから対応できるようになったことで、お問い合わせに対してスムーズに対応できるようになりました」(中嶋さん)。

事実、現在本部が受けている範囲では、カスハラにあたる電話は発生していません。

また、本部への一元化は思わぬ副産物も生みました。窓口が1つになったことで顧客サービスの質が均一化されただけでなく、固定電話に不慣れな世代への「電話教育の負担」がなくなり、店舗運営に大きな余力が生まれたのです。

「現場への電話問い合わせが来ない形」を極め、顧客体験のさらなる向上へ

同社が見据えているのは、電話の一元化のさらに先の姿です。

「アイブリーを導入したことで、現場へ直接電話がかかってこない状況は実現できました。私たちの本業は店舗のサポートであり、『いかに現場の業務量を減らすか』に焦点を当てています。引き続き本部で引き取れるものは引き取り、スタッフが売場づくりや接客に一層集中できる環境を極めていきたいですね」(森本さん)

その中核となるのが、お客様自身による「自己解決」の促進です。窓口への問い合わせの多くを占める用件を、お客様ご自身でスムーズに解決できるようになれば、入電数はさらに削減できます。同社はいま、商品名を入れると近隣店舗の在庫状況が分かるようなスマートフォンアプリの新機能導入を検討しており、そこにアイブリーの自動応答によりお客様を誘導したいと考えています。このように、アイブリーによる一次受付を単なる対応窓口として終わらせず、デジタルツールなどの新たな導線と連携させることで、より根本的な解決へとつなぐ仕組みづくりを進めています。

経営が「電話が鳴る場所」を設計する時代へ

最後に、小売業界で同じ課題を抱える企業へ向けて、森本さんにメッセージを伺いました。

「私と中嶋も元々は店舗スタッフでしたから、電話対応による現場の大変さは身をもって体験しています。AI技術が発展した現在、自動受付などのサービスを活用することは、世の中のため、そして何より従業員のためになると強く感じています。同じ悩みを持つ企業の方には、ぜひおすすめしたいです」(森本さん)。

「店舗の電話を誰が受けるのか」という問いは、これまで長く現場の工夫に委ねられてきました。しかし、人手不足と採用難が続き、そこにカスタマーハラスメント対応の義務化が重なる今、この問いは「経営が設計すべき論点」へと移りつつあります。

商業施設に多店舗を展開するチェーンであっても、全店一斉の切り替えを前提とせずに、受け口を変えることは可能です。サンキューマートの事例は、まさにその事実を証明しています。

※記事内のアイブリーに関する情報はインタビュー時点のものです

アイブリー

電話自動応答のアイブリー

ポイント1
電話業務を自動化
ポイント2
月額3,980円から最短5分ではじめられる
ポイント3
固定電話番号(市外局番)も手軽に取得