電話対応の6割を自動化。サーティワン アイスクリームがアイブリーで実現した店舗スタッフの負担軽減と顧客体験向上

B-R サーティワン アイスクリーム株式会社の服部秀樹さん(�執行役員 ナショナルオペレーション本部 本部長 兼 管理本部 デジタル推進部 部長)に、アイブリー導入の背景から具体的な活用法、そして店舗にもたらされた効果について、詳しくお話を伺いました。

「We make people happy.Ⓡ」という理念を掲げ、世界最大級のアイスクリームチェーンとして国内に1,000店舗以上を展開するサーティワン アイスクリーム。同社は、アイスクリームを通じて「選ぶ楽しさ」や「ライブ感」といった特別な体験を提供することを目指しています。その実現に向け、店舗スタッフの負担を減らし、さらなる顧客体験の向上を図るため、2022年頃から電話自動応答サービス「アイブリー」の導入を開始しました。

この導入によって電話対応の約6割が自動化され、スタッフが目の前のお客様への接客に集中できる環境が整いました。さらに、モバイルオーダーの利用促進にもつながるなど多くの効果が生まれ、現在では500以上の店舗で活用されています。

本記事では、B-R サーティワン アイスクリーム株式会社の服部秀樹さん(執行役員 ナショナルオペレーション本部 本部長 兼 管理本部 デジタル推進部 部長)に、アイブリー導入の背景から具体的な活用法、そして店舗にもたらされた効果について、詳しくお話を伺いました。

アイスクリームを通じてお客様に"幸せ"を届ける

サーティワンが目指しているのは、単にアイスクリームを売ることだけにとどまりません。企業理念「We make people happy.Ⓡ」のもと、アイスクリームに関わるお客様、スタッフ、すべての人に幸せを届けることを使命としています。

その根幹にあるのは、世代を超えて楽しめる「FUN(喜び・楽しさ・感動)」の提供です。「1ヶ月(31日)間、毎日違うフレーバーを楽しめる」という創業以来のコンセプト、目の前でアイスクリームをすくってもらうライブ感、スタッフとの何気ない会話、そして小学生までのお子様向けの「サーティワンパスポート」といった取り組み。そのすべてが、サーティワンならではの体験価値を生み出しています。

店頭には常に31種類+店舗毎のセレクトフレーバーが並び、毎月登場する新作が選ぶ楽しさを一層広げます。アイスクリームケーキやサンデーといった多彩な商品に加え、モバイルオーダーやeGiftなど、時代のニーズに合わせたサービスも積極的に展開中です。

この「We make people happy.Ⓡ」という理念にある「people」は、お客様はもちろんのこと、フランチャイジーのオーナー、店長、店舗スタッフ、ビジネスパートナーの皆様、同社で働く従業員や家族など「サーティワンに関わる全ての人々」です。サーティワンは、スタッフがより働きやすく、接客の楽しさを実感できる環境を目指し、日々の業務改善にも真摯に取り組んでいます。

店舗と社内の両面でデジタル化を推進

——まず、サーティワン アイスクリームでの自身の役割を教えてください。

服部: 私は、ナショナルオペレーション本部とデジタル推進部の責任者を務めています。ナショナルオペレーション本部は、店舗オペレーション全般の管理・構築から、新規店長を教育する「サーティワンカレッジ」、品質保証、店舗設備などを担当する部署です。そしてデジタル推進部は、店舗を含めた社内全体のIT化を推進しています。

店舗運営と社内デジタル化の両方を深く理解する立場から、双方の知見を融合させ、店舗DXを推進する役割を担っています。

——これまでのDXの取り組みについて教えてください

服部: 当社では2022年から「ストア・オブ・ザ・フューチャー」というプロジェクトを始動させ、店舗と本部のDXを進めています。

まず店舗運営の基盤を刷新するため、POSシステムを入れ替えました。さらに、従来はUber Eatsや出前館などサービスごとに必要だった複数の端末を一つに集約。デリバリー注文を一元管理できる仕組みを導入し、店舗オペレーションの煩雑さを解消して効率化を実現しました。

顧客接点のデジタル化も積極的に進めており、利便性向上のためのモバイルオーダー導入や、デジタルサイネージの設置もその一環です。このサイネージでは、テイクアウトが多い店舗やクレープ販売店舗といった各店の特性に合わせ、最適なコンテンツを配信することで、より効果的な情報提供を目指しています。

ピークタイムの電話が店舗スタッフの負担になっていた

——アイブリー導入前は、電話業務にどのような課題があったのでしょうか。

服部: ピークタイムにかかってくる電話への対応が、店舗スタッフの負担でした。特に土日の13時から17時は「ピーク4」と呼ばれ、週の売上の4分の1を占めるほど重要な時間帯です。しかし、目の前のお客様への接客で手一杯になり、電話に出られない状況が頻繁に発生していました。

限られた人数のスタッフで運営しているため、電話対応に時間を取られると、ご来店中のお客様をお待たせしてしまい、顧客満足度の低下にもつながりかねません。特にクリスマスの繁忙期には、一部の店舗で通常の8.6倍もの着電があり、すべての電話に応対するのは非常に困難な状況でした。

さらに、電話での注文受付では「言った・言わない」のトラブルに発展するリスクもあります。こうした問題は、スタッフが通常の接客業務への集中を妨げる要因となっていました。

あるFCオーナーの成功事例が、500店舗への導入を後押し

——アイブリー導入のきっかけについて教えてください。

服部: きっかけは、あるフランチャイズオーナー様の成功事例です。その方が店舗の電話対応の課題を解決すべくアイブリーを導入し、その高い効果を共有してくださいました。

本部でも以前から同様の課題を認識し、さまざまなサービスを検討していました。しかし、費用対効果の観点から導入の決め手に欠ける状況が続いていたところ、実際の導入効果と共にアイブリーを紹介いただいたことが後押しになりました。

現在は全国のフランチャイズへ紹介し、導入を進めた結果、すでに約500店舗に導入されています。

導入を後押ししたもう一つの理由は、当社の店舗への問い合わせの大半が「商品のご予約」や「営業時間の確認」といった定型的なものだった点です。これならば顧客体験を損なうことなく、自動応答で十分に対応できると考えました。

月額1万円程度の費用、その費用に見合う電話応対での効果の高さ、そして、既存の電話機をそのまま使える手軽さに魅力を感じました。

店舗スタッフのストレスが劇的に減った

——アイブリーを導入して、もっとも大きな効果は何でしたか?

服部: 「店舗スタッフのストレスが劇的に減ったこと」、これに尽きます。アイブリー導入後、着電の約6割が自動応答で完結するようになり、店舗の電話が鳴る頻度が大幅に減りました。その結果、スタッフは電話対応に追われることなく、目の前のお客様一人ひとりの接客に集中できるようになったのです。

加えて、録音機能は「言った・言わない」といった水掛け論のトラブルを防ぐ抑止力にもなっています。店長不在時の対応であっても、後から録音内容を確認して「ご案内に間違いはなかったか」を把握できるため、スタッフは安心して業務を進められます。

モバイルオーダーへ誘導し、売上にも貢献

——アイブリーは具体的にどのように活用されているのですか?

服部: ご予約のお電話をいただいたお客様には、モバイルオーダーのご利用を促しています。これまで電話で予約されていたお客様がモバイルオーダーの利便性を知るきっかけになり、営業時間外でもご自身のペースで商品を選べるため、特にアイスクリームケーキなどの予約売上が伸びています。

また、人気キャンペーン商品の問い合わせの際に、アイブリーの自動応答メッセージでその内容をご案内することもあります。お客様は電話口で待つことなく状況を把握でき、店舗スタッフが応対することなく完結するため、双方にとって大きなメリットだと感じています。

生まれた時間を「体験価値の向上」へ

——今後の取り組みについてお聞かせください。

服部: 現在、国内約500店舗に導入が進んでいますが、まだ店舗共通の設定のまま利用しているところが多いのが現状です。今後はアイブリーのメリットを最大限に引き出せるよう、効果的な活用事例を共有し、チェーン全体でより活用できる体制を整えていきたいですね。また、新規出店時は電話回線を引くのに手間がかかるため、アイブリーで発番できれば、よりスピーディーな導入が可能になるのではと期待しています。

——最後に今後の展望はいかがでしょうか

服部: 電話業務の自動化によって生まれた時間と心の余裕を、お客様への接客サービスにさらに注いでいきたいです。試食のご提案やフレーバー選びのお手伝いといった、サーティワンならではの店舗体験の価値を、一層高めていくことを目指します。また、利用が増えているモバイルオーダーのお客様に、いかにして店舗と同じ「FUN」を提供できるかを考え、すべてのお客様により楽しんでいただけるサービスを追求していきたいと考えています。