電話の自動化率は最大70%。IVRyの導入でコールセンター運営コストを半減させたアソビューの活用術

アソビューは、「アソビュー!」のコールセンターにおける人員配置の難しさや、増加する電話応答コストといった課題を解決するために、2023年5月にIVRyを導入。これにより、電話問い合わせの自動化率60%超、応答コスト半減を実現しています。

アソビュー株式会社は、2011年に設立されたレジャー産業のDXを推進する企業です。toC向けには、遊び・体験予約サイト「アソビュー!」を運営し、全国10,000以上の事業者と提携、約620ジャンル・約28,000プランの遊び・体験プログラムを提供しています(2023年11月時点)。累計会員数は1,500万人を超え、国内最大級のレジャー予約プラットフォームとして、人々の余暇時間を豊かにするサービスを提供しています。
また、観光・レジャー・文化施設向けのサービスとして「ウラカタ」シリーズを提供し、チケットの販売から施設への入場、予約の管理、顧客データの分析まで実現することで施設運営の効率化を支援しています。

そんなアソビューは、「アソビュー!」のコールセンターにおける人員配置の難しさや、増加する電話応答コストといった課題を解決するために、2023年5月にIVRyを導入。これにより、電話問い合わせの自動化率60%超、応答コスト半減を実現しています。

本記事では、アソビューのカスタマーサービス部 鈴木芳由貴さんに、IVRyを導入した背景や活用方法、導入による効果について伺いました。

季節変動の大きいレジャー業界、人員配置とコスト増加が課題に

―― まず、鈴木さんのアソビューにおける役割とミッションについて教えてください。

私はカスタマーサービス部で、主にtoC領域のお客様対応、つまり「アソビュー!」利用者からの問い合わせ対応を行うチームに所属しています。問い合わせを減らすための施策や、顧客体験(CX)の向上・改善、そして業務の効率化などをミッションとしています。コールセンターはアウトソーシングで運営しており、そこの運営管理を担当しています。

―― コールセンター業務において、どのような課題を抱えていましたか?

大きく2つの課題がありました。

1つ目は、人員配置の難しさです。「アソビュー!」は季節的なトレンドが大きく、特にゴールデンウィークから夏のレジャーシーズンはそれ以外と比較して2.5〜3倍に問い合わせボリュームが増大します。そのため、将来の問い合わせ件数を予測することが難しく、適切な人員配置が非常に困難でした。

また、大前提の話になるのですが、事業が成長してどんどん利用者が増えていく中で、それに比例してお問い合わせも増えていくので、それも予測を非常に困難にしています。

コールセンターの指標として、問い合わせの入電量の80%に応答するという目標を設定しているのですが、例えば朝9時に電話が集中してしまうと、配置している人数では応答しきれず、応答率が80%を下回ってしまうこともありました。2023年は、コロナ後の需要回復も相まって、応答率70%を維持することさえ困難な状況でした。

2つ目は、電話応答コストの増加です。メール対応と比較して、電話応答はコストが約2倍かかります。会社の成長に伴い、利用者と問い合わせが増加していく中で、膨らんでいく応答コストをどのように抑制するかが大きな課題でした。

IVRy導入で自動化率が最大70%超え。コストも半減

―― IVRyを導入した経緯を教えてください。

元々は別の部署でIVRyの導入を検討していたのですが、詳しく話を伺ったところ、コールセンターの課題解決に役立つ可能性があると感じ、導入を検討しはじめました。

それからテスト導入をした上で本導入を決めたのですが、一番の決め手となったのは、導入効果の大きさでした。
テスト導入の段階から、1ヶ月目で50%の自動化率を達成したのです。当初は30%程度の自動化を目標としていたため、想定を大きく上回る結果でした。さらに、自動化によって顧客満足度が低下することはなく、半数のお客様が自動音声を通じて問題を解決できているという事実は、非常に大きなインパクトをもたらしました。

また、管理画面の使いやすさも魅力でした。他のCTIツールを使った経験があるのですが、操作が複雑で使いにくい印象がありました。IVRyはUI(ユーザーインターフェース)がシンプルで直感的に操作できるため、導入後すぐに使いこなすことができたのです。

―― 実際にIVRyを導入して、どのような効果がありましたか?

導入効果は非常に大きいです。IVRy導入後、自動化率は直近で月間60%を超えるまでに向上しました。1ヶ月目は50%でしたが、徐々に改善を続け、現在は70%を超える日もあり、高い自動化率を達成しています。

それに伴い、電話でオペレーターが応答した問い合わせ件数も大きく減少しました。2023年の夏と比較すると、事業は成長しているにもかかわらず、応答件数は半減しています。
応答率も大幅に改善しました。2023年は70%を維持するのも困難だった応答率が、IVRy導入後は毎月平均94%を達成しています。

自動化しているのは、ログインやポイント利用、キャンセル方法に関するよくあるお問い合わせです。これらに対しては、SMSの自動返信機能を活用し、手続き方法を記載したWebページをご案内しています。また、公式サイトのチャットボットで自動対応が可能な内容については、そちらにお客様を誘導しています。

コスト面でも大きな効果が出ており、電話応答コストは半減しました。IVRyを導入していなければ、現在の2倍のコストがかかっていたことになります。

IVRyのレポート機能を活用し、さらなる改善へ

―― IVRyの機能の中で、特に役立っているものは何ですか?

電話業務に関するデータの可視化が非常に役立っています。以前は、外注先のコールセンターからの日報を共有いただくまで、入電量などの情報を得ることができませんでした。IVRyでは、リアルタイムで入電量や会話内容を把握できるようになったため、迅速な状況把握と対応が可能になりました。

また、IVRyで得られたデータは、自動化率の改善にも役立っています。例えば、「こんな会話内容が多いんだ」ということがわかれば、その内容に対応した音声ガイダンスを追加するなど、分岐を改善することで自動化率をさらに向上させられます。

―― 今後の電話業務の改善について、どのようなことを考えていますか?

現在は、電話応答の質をモニタリングできていないため、今後モニタリング体制を構築し、改善を進めていきたいと考えています。IVRyの自動文字起こし機能やAIを活用して顧客の感情やオペレーターの対応などを可視化し、質を向上することで、顧客・当社の双方でカスハラを抑制できる良い関係作りを目指していければと考えています。

また、音声認識機能も積極的に活用していきたいと考えています。例えば、AIによる音声認識を活用して問い合わせ内容を分析し、FAQの提示や適切な担当者への転送など、より高度な自動化を実現したいと考えています。

―― 最後に、今後のIVRyに期待することを教えてください。

IVRyはすでに非常に使いやすく、満足度の高いツールですが、さらなるUIの改善に期待しています。細かい例になりますが、分岐の設定において、親分岐と子分岐のガイダンス設定を自動的に連携させるなど、細かい部分の使い勝手が向上すると嬉しいです。

また、AIを活用したより高度な自動化にも期待しています。顧客の状況に合わせてAIが話すスピードや口調を調整するなど、より人間に近い自然な対応が可能になれば顧客体験も向上させられるのではないでしょうか。