売上を左右する「予約電話の取りこぼし」の課題をアイブリーで解決。トヨタレンタリース岡山のDX推進

トヨタレンタリース岡山は電話応答率の向上と機会損失の防止を目指し、アイブリーを導入。予約につながる重要な電話を人が優先的に対応し、定型的なお問い合わせを自動化する体制を構築しました。さらに「IVRy Analytics」によって電話対応を可視化し、データに基づいた改善も推進しています。  本記事では、トヨタレンタリース岡山 予約センターの河本卓巳さん、加藤優奈さん(以下、敬称略)に、アイブリー導入の背景から具体的な活用方法、そして導入による効果について詳しくお話を伺いました。

岡山県で最も歴史のあるレンタカー・カーリース企業として、単に車を貸し出すだけでなく、顧客のカーライフをより素晴らしいものにするための課題解決を目指す株式会社トヨタレンタリース岡山

同社のレンタカー事業では、岡山県内で展開する10店舗の電話を一元的にコールセンターで受け付けており、月間の対応件数は5,000件を超えます。これまでオペレーションの効率化やペーパーレス化など、DX推進に積極的に取り組んできた一方で、電話業務そのものの抜本的な改善にはなかなか着手できていませんでした。

そのような背景から、同社は電話応答率の向上と機会損失の防止を目指し、アイブリーを導入。予約につながる重要な電話を人が優先的に対応し、定型的なお問い合わせを自動化する体制を構築しました。さらに「IVRy Analytics」によって電話対応を可視化し、データに基づいた改善も推進しています。

本記事では、トヨタレンタリース岡山 予約センターの河本卓巳さん、加藤優奈さん(以下、敬称略)に、アイブリー導入の背景から具体的な活用方法、そして導入による効果について詳しくお話を伺いました。

売上を左右する「予約電話の取りこぼし」という課題

——まず、トヨタレンタリース岡山でのお二人の役割について教えてください。

河本:私はレンタカー事業におけるコールセンターの運営管理や、スタッフの教育・指導を中心とした業務を担当しています。

加藤:私は主にお客様からの電話対応とデータ分析を担当しており、失注件数を減らし、応答率を向上させることがミッションです。

——アイブリー導入前、電話業務にはどのような課題がありましたか?

加藤:導入前は電話が鳴りっぱなしの時間が多く、お客様をお待たせしてしまう状況が課題でした。特に予約を取りたいお客様のお電話をお受けできないことは、お客様が他のレンタカー会社へ流れてしまい、売上に影響を及ぼしかねません。これを改善したいと考えていました。

「人が対応すべき」からの転換。柔軟なカスタマイズ性が導入の決め手に

——アイブリーを導入しようと思われたきっかけは何ですか?

河本:もともと、社内には「電話は人が直接応対すべき」という考えがあり、電話の自動応答という選択肢は念頭になかったのが正直なところです。しかし、アイブリーの営業担当の方からご提案いただく機会があり、デモを拝見する中でその考え方が変わっていきました。分岐のルールなどを、実際に電話を受ける私たち現場のメンバーが簡単に設定変更でき、様々な施策を試せるところが「すごく良いな」という印象を受けたことを覚えています。

さらに、応答率のデータはもちろん、AIがお客様の満足度・不満足度まで分析してくれると聞き、「そんなこともできるのか」と感動しました。

アイブリーを導入し、すべてを人が対応するのではなく、電話で引き続き受けるべきことと、そうでなくてもよいこと、その選択肢が新たに見つかったのが大きな発見でした。

応答率は90%へ。「予約電話」を最優先する運用で機会損失を防ぐ

——アイブリー導入後、どのような効果がありましたか?

加藤:導入当初に比べて応答率は毎月向上しており、もうすぐ90%に達しそうです。 アイブリーの分岐によって「新規予約」のお客様からのお電話かどうかを判別できるようになったので、他のお問い合わせと同時に着信した際も、予約のお電話を優先的に取れるようになりました。 機会損失を防ぐという観点で、大きな効果が出ています。

——具体的にどのようなお問い合わせを自動化されていますか?

河本:予約につながる重要な電話は人が優先的に対応し、それ以外の定型的なお問い合わせは自動応答に任せる、という方針で運用しており、効率化につながっています。

例えば、忘れ物のお問い合わせは、お電話をいただいてもすぐに確認できないことが多いため、折り返しになるケースがほとんどでした。店舗スタッフの清掃状況や車両の移動など、確認に時間がかかるためです。お客様をお待たせする時間をなくす意味でも、SMSでお問い合わせフォームに誘導し、確認でき次第こちらからご連絡する方が効率的だと判断しました。

加藤:精算明細書の再発行なども同様です。お電話で出発日やご利用状況などを正確に伺おうとすると、どうしても通話が長引いてしまいます。これらの用件を自動化できたことで、スタッフはより緊急度の高い電話に集中できるようになりました。

「IVRy Analytics」で初めて見えた、電話対応の”真の”課題

——IVRy Analytics導入前、モニタリング面での課題はありましたか?

加藤:導入前は分析ツールがなかったため、そもそも何が課題なのか、どこから手をつければ良いのかがわからない状態でした。これまではどの時間帯に電話が混み合っているのか、どのくらい電話に出られていないのか、感覚的に把握していた状態だったため、具体的な改善策を立てられずにいました。

——IVRy Analyticsで特に役立っているデータや機能について教えてください。

河本:いつ、どの時間帯に電話が取れていないかが、詳細に可視化されたことが最も大きな効果です。これにより、すぐに対策が打てるようになりました。

加藤:特に役立ったのは、応答率とお問い合わせ内容ごとの通話時間のデータです。それらを元に分岐ルールを改善しました。また、曜日や時間帯ごとの分析も非常に役立っています。これまで、土日は電話が少ないので現状の人員で十分だろうと考えていましたが、データを見ると、特定の時間に電話が集中し、実は多くの電話を取りこぼしていたことが判明したのです。 この発見を機に、土日の人員体制も見直すことができました。

——失注要因の分析も進みましたか?

加藤:はい。通話ごとに課題をラベリングしてくれる「AIラベリング機能」を活用し、「満車のため失注」「クレジットカードをお持ちでないため失注」といった要因をデータ化しました。

満車が機会損失の大きな原因であるところまでは把握できていたのですが、実際の件数として可視化されたことで、その重要性を正確に把握できました。今では店舗との連携も含め、会社全体の課題として改善に取り組んでいます。

「アナリティクスはセットで入れるべき」データが見えるから、改善できる

——アイブリーで特に価値を感じている点を教えてください。

河本:私はIVRy Analyticsですね。今まで見えなかったものが可視化されたことが大きいです。アイブリーを使うのであれば、IVRy Analyticsは絶対にセットで導入すべきだと思います。課題が可視化されるからこそ、自動応答の設定をどう改善すべきかが見えてくるからです。

加藤:私も同意見です。特に、こちらの要望に合わせて柔軟に設定してもらえるAIラベリング機能は、課題分析において非常に役立っています。

——お客様からの反応や満足度に変化はありましたか?

河本:正直に申し上げますと、「なぜ自動応答なのか」というご意見を、店舗のアンケートでいただくこともあります。特に長年ご利用いただいているお客様は、以前との違いに戸惑われることもあるようです。ただ、そうしたご意見をいただきつつも、アイブリーの利用をやめるという選択肢はないと考えているので、ご理解を得られるように分岐設定を改善していくべきだと考えています。

スタッフのストレスが減り、「カスハラだと定義できるような(理不尽な要求や暴言など)電話もなくなった」

——スタッフの働きやすさや業務の質の改善にも貢献できていますか?

河本:電話の本数が減り、インターネット予約の件数が増加傾向にあります。売上が落ちることがなく、電話応答件数が減っているので、とても良い傾向だと考えています。
生まれた時間をマニュアルの整備や店舗へのヒアリングの活動に充てることができるようになりました。

また、カスタマーハラスメント(カスハラ)と定義できるような電話がなくなったように感じています。アイブリーに繋がる前に「この通話は録音されます」というアナウンスが流れるので、それが抑止力になっているのかもしれません。理不尽な要求や感情的なクレームが減ったのは、現場にとって非常に大きいですね。

今後はCTI機能や、より柔軟なSMS送信機能に期待

——今後、アイブリーに期待することはありますか?

河本:電話に出られなかったお客様に対して、ウェブ予約フォームのURLなどを記載したSMSを自動で送信できる機能があれば、取りこぼしをさらに減らせるのではないかと期待しています。

加藤:CTIのような機能もほしいです。お客様がどの店舗をよく利用されるか、といった情報が着信時に分かれば、「いつもの店舗で」といったご要望にもスムーズにお応えできるので助かります。

——最後に、アイブリーの導入を検討されている方へメッセージをお願いします。

河本:当初は「電話は人が出るべき」と考えていましたが、アイブリーを導入してみて、新たな選択肢が生まれました。特に、今まで見えなかった電話対応の課題がデータとして可視化され、具体的な対策を打てるようになったことは大きな成果です。売上や予約数を維持したまま業務効率化を実現できたのは、アイブリーと、その分析機能があったからこそだと感じています。