コールセンターのカスハラ対策ガイド。カスハラを未然に防ぐ効果的な対策は?

コールセンターは、企業と顧客をつなぐ重要な窓口です。しかし、その最前線に立つ従業員は、顧客からの暴言や嫌がらせ、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に直面するリスクを抱えています。このような問題に対処するためには、具体的な指針やマニュアルを策定し、従業員の安全と職場環境を守る体制を整えることが重要です。
本記事では、コールセンターにおけるカスハラ対策マニュアルの作り方や従業員を守るための具体的な取り組みについて解説します。
コールセンターにおけるカスハラ対策マニュアルの重要性
カスハラは、単なる言葉の暴力にとどまりません。感情的な攻撃、脅迫、わいせつな発言など、精神的な苦痛や恐怖心を生み出し、従業員のメンタルヘルスに深刻な影響を与えます。
例えば、長時間にわたる暴言や、繰り返し行われる嫌がらせは、従業員の不安やストレスを蓄積し、集中力の低下や業務効率の悪化、ひいては離職率の上昇に繋がります。
こうした状況において、コールセンター向けのカスハラ対策マニュアルは、従業員の安全と企業の信頼性を守るための重要なツールです。適切な対応手順を明確にすることで、従業員は冷静に対応できるようにな り、顧客満足度の向上にもつながります。
また、録音・録画のルールを明確にすることで、従業員の対応を客観的に評価し、法的リスクを軽減することが可能です。
2026年10月1日から、カスハラ対策は全事業主の措置義務となりました(労働施策総合推進法第33条)。
国の指針は、カスハラには『電話やSNS等のインターネット上において行われるものも含まれる』と明記しており、コールセンターでの電話対応も対象になります。
指針は、カスハラへの対処の内容を定めて従業員に周知することを求めており、その方法の一つとして、対応マニュアルに記載して周知することを挙げています。
コールセンターのカスハラ事例
カスハラ対策マニュアルを検討する前に、まずはコールセンターにおけるカスタマーハラスメント(カスハラ)事例を確認してみましょう。以下のような暴言や脅迫、長時間にわたる電話などが挙げられます。
1. 暴言・脅迫
- 事例:顧客がコールセンターのオペレーターに対して「お前の名前をネットに晒すぞ」「この件が解決しないなら、お前を潰す」「会社を訴える」などと脅迫的な言動を繰り返し、オペレーターに強い精神的圧力をかける。
- 影響:暴言や脅迫は、オペレーターの精神的な負担を増大させ、業務の効率を著しく低下させるとともに、オペレーターの仕事に対するモチベーションや信頼感を損なう原因となる。
2. 長時間の電話
- 事例:顧客が長時間にわたって電話をかけ続け、解決すべき問題に関して同じ質問や要求を繰り返し、オペレーターに過剰な時間を費やさせる。さらに、その間に顧客が頻繁に発言を遮り、解答を急かすことがある。
- 影響:長時間の電話は、オペレーターが他の顧客の対応をできない状態を作り、業務全体の効率を低下させる。また、過度なストレスを引き起こし、他の顧客へのサービスの質にも影響を与える可能性がある。
3. 揚げ足取り
- 事例:顧客が電話対応中に自分の要求が通らないことがわかると、オペレーターの言葉尻を捕らえて指摘し、対応が進まない状況にする。例えば、「少々お待ちください」という返答を受けて、「『少々』って何分?具体的に時間を教えて」と言葉尻を捉える。一方的にオペレーターの落ち度を指摘し、当初の話題から話をすり替えながら、揚げ足を取って執拗に攻め立てるような状況が発生する。
- 影響:揚げ足取りは、オペレーターに自信をなくさせ、対応の質が低下する原因となる。また、オペレーターが過度に注意を払うあまり、対応がぎこちなくなり、顧客満足度が下がる可能性がある。
このような状況を生じさせないためにも、ケースに応じた事前の対策を検討しておくことが大切です。
コールセンターのカスハラ対策マニュアル
カスハラ対策マニュアルは、コールセンターの特性に合わせて作成 する必要があります。一般的に、以下の項目を盛り込むと現場で実践しやすいものになります。
カスハラ対策マニュアル1:適切なフレーズやNGワードの明示
カスハラが発生した状況では、オペレーターの発言や対応次第で、事態がさらに悪化する可能性があります。適切な言葉遣いを示したフレーズ集を用意しておくと、従業員が冷静に対応でき、トラブルの拡大を防げます。
例えば、「ご不便をおかけして申し訳ありません」のような謝罪と共感を示す表現を推奨し、「それはお客様の責任です」といった責任転嫁に聞こえる表現を避けるといったガイドラインを設定します。
カスハラ対策マニュアル2:録音や録画のガイドライン
通話録音や録画の運用ルールは、従業員の保護と企業の法的リスク軽減に直結する重要な要素です。個人情報保護法などの関連法令を遵守し、顧客への事前通知や同意の取得を徹底する必要があります。
さらに、録音データの保存期間や管理方法を明確に規定し、不正アクセス防止やデータ暗号化といったセキュリティ対策を講じることで、従業員と顧客双方の信頼関係を維持できます。