カスハラ対応4,000時間超の実態を受け静岡市がマニュアルを策定 – 職員保護と行政サービス維持へ

静岡市の調査で、カスハラ353件・対応時間が延べ約4,343時間にも及ぶ実態が明らかになりました。これを受け市は、職員向けカスハラ対応マニュアルを策定し、職員保護と行政サービス維持に乗り出しています。
本記事では、静岡市のカスハラの実態と、策定されたマニュアルの要点について解説します。
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資料をダウンロードするカスハラ353件・4,343時間、静岡市職員が直面する深刻な実態
令和4年4月1日から令和6年7月31日までの約2年間を対象にした調査では、静岡市全体で合計353件のカスハラ行為が報告されています。
調査期間 | 令和4年4月1日から令和6年7月31日 |
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発生件数 | 合計 353件 |
対応時間 | 延べ約4,343時間 |
発生部署割合 | 52.1% (全190所属中 99所属) |
カスハラ対応に費やされた時間は延べ約4,343時間にも及び、正規職員1人あたりの年間勤務時間(約1,860時間)と比較しても、その負担の大きさが際立ちます。
この問題は特定の部署に限ったことではなく、調査対象となった190所属のうち半数を超える99所属で発生が確認されており、市役所全体で取り組むべき課題であることが明らかになりました。
さらに詳しく調査結果を見ると、以下のような特徴が明らかになりました。
- 発生件数が多い部署:「国民健康保険関係」や「土木・道路関係」など、市民との接点が多い部署で発生件数が多い傾向にあります。
- 対応時間が長い部署:「児童福祉関係」や「防災関係」「土木・道路関係」などの部署で対応時間が長くなっています。
- 対応形態:「電話のみ」での対応が45.6%ともっとも多く、「対面+電話」とあわせると約7割の事案で電話が関与しています。
- 主な行為:「時間拘束」や「暴言」「リピート型」など、職員に強い精神的ストレスを与える行為が上位を占めました。
- 長時間・繰り返し対応:1回の対応が120分を超えるケース(10.2%)や、1つの事案に対し10回以上対応するケース(22.9%)も発生しています。
- 職員の事前対応:職員の事前対応について、92.1%が「適切であった」と回答。職員側に落ち度がなくてもカスハラが発生する可能性を示唆しています。
これらの実態は、カスハラが職員の心身に過大な負荷を与えるだけでなく、本来、市民サービス向上のために使われるべき時間や労力を奪い、行政サービスの質低下を招きかねない深刻な問題と言えます。
静岡市「職員向けカスハラ対応マニュアル」の具体的な内容
カスハラ実態調査の結果を受け、静岡市は職員保護と行政サービス維持を目的として、初の「職員向けカスタマーハラスメント対応マニュアル」を策定しました。
マニュアルが示す具体的な対応のポイントは以下の通りです。
基本姿勢
- 適切な初期対応のもと、相手に寄り添った対応を原則とする。
- 価値観の多様性を理解・尊重し、それぞれの特性に応じた対応を心がける。
カスハラの判断
- カスハラの判断は担当者個人に委ねず、所属長を含む関係者が組織として行うことを徹底する。
- 「苦情=カスハラ」と短絡的に判断せず、要求内容や手段・態様を客観的に見極める。
- 暴力や脅迫など、職員の安全が脅かされる場合は、判断を待たずに警察へ通報する。
カスハラ判断後の対応
- カスハラと判断したあとは、組織全体で対応方針を決定し、担当者任せにしない。
- 警告や対応の中止など、毅然とした措置を組織として講じる。
- 悪質性が高い事案には、法的措置の検討や警察との連携も辞さない。
本マニュアルは、組織として職員を守り、一貫した対応を通じて行政サービスの質を維持しようとする静岡市の強い意志を示すものと言えるでしょう。
静岡市の課題は「電話対応」ー 長時間拘束と精神的負担の現実
静岡市のカスハラ実態調査では、特に「電話対応」が大きな課題として明確になりました。
全353件のうち「電話のみ」での対応が最多の約46%を占め、「対面+電話」を含めると約7割の事案で電話が関与する状況です。

引用:職員に対するカスタマーハラスメント実態調査の調査結果|静岡市
深刻なのは件数だけではありません。1回の対応が60分を超えるケースや、1事案で複数回繰り返される対応も多く見られ、職員が長時間拘束される一因となっています。
顔が見えない電話越しのやり取りは、感情的な応酬に発展しやすく、また場所を選ばずに連絡が可能であるため、対応が長時間化しやすい傾向があります。さらに、電話対応中はほかの業務が停止するため、業務全体の非効率化にも影響を与えます。
マニュアルによる対応方針は重要ですが、こうした電話特有の長時間拘束や強い精神的ストレスに対しては、現場の負担を軽減する具体的な工夫や仕組みが求められます。
負担増す電話対応、IVR(自動音声応答)で解決へ
特に負担の大きい電話対応の課題解決には、マニュアル運用と併せた具体的な仕組みが不可欠です。そこで有効な選択肢となるのが、IVR(自動音声応答システム)の活用です。
IVRは、電話業務の負担軽減に有効なツールとして注目されています。
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- 適切な担当部署への振り分け:用件に合った部署へ的確に振り分けることで、時間のロスをふせぎ、行政サービスの質を維持できます。
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IVRyは、電話のカスハラから職員を守り、本来注力すべき業務へ集中できる環境整備を支援します。
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