2023年3月の賃貸住宅管理業法改正による電話業務の変更点とは
2021年6月に施行された賃貸住宅管理業法は、賃貸住宅の管理方法を適正化し、不動産業者と物件オーナー間のトラブルを防止するために制定されています。
2023年3月に法改正があり、不動産業務における重要事項説明において電話という手段を選択できるようになりました。ただ、いくつか条件があるため、事前にそちらを理解しておく必要があります。そもそも賃貸住宅管理業法とは何か?というところからまとめていきます。
- 賃貸住宅管理業法とは?
- 賃貸住宅管理業登録制度・業務管理者の設置
- 重要事項の説明義務
- 財産の分別管理
- 定期報告義務
- 2023年3月の改正ポイント
- 改正の背景
- 改正ポイント
- 賃貸住宅管理業法改正による電話業務の変化
- あると便利な電話機能
- IVRyは録音機能・書き起こし機能を備えた電話自動応答サービスです
賃貸住宅管理業法とは?
賃貸住宅管理業法は2020年6月に可決され、2021年6月に施行されました。
不動産業界が正しい方向に発展していくために、不動産業者と物件オーナーの契約を適正化することが目的となっています。当時、サブリース経営に多くの問題が散見されており、重要事項が正しく説明されないまま物件オーナーがサブリース契約を結ぶというトラブルが多発していました。
こうしたトラブルを未然に防止するため、200戸以上の住戸を管理する管理会社は登録が必要となり、重要事項の説明や書面交付について義務化されることとなりました。
ここでは、賃貸住宅管理業法における重要なポイントをいくつかピックアップします。
賃貸住宅管理業登録制度・業務管理者の設置
200戸以上の住戸を管理する事業者については、国への登録が必要となりました。200戸以上の管理をしている場合は申請が必要になります。
登録された事業者は、営業所・拠点ごとに賃貸住宅管理の知識を持つ「業務管理者」を設置することが義務づけられます。業務管理者として認定されるためには、以下のいずれかの条件を満たさないといけません。
- 賃貸不動産経営管理士の資格を有していて、移行講習を受ける
- 宅地建物取引士の資格を有していて、指定の講習を受ける
- 資格を有していないが賃貸管理の実務経験が2年以上あり、業務管理者の登録試験を受ける
すでに資格を有している場合は、講習の受講で業務管理者になることが可能です。登録制度は200戸以上を管理する事業者が対象ですが、今後管理物件を増加させていく事業者は申請とあわせて業務管理者の配置についても準備を進めておくとよいでしょう。
重要事項の説明義務
サブリースの受託契約をする前に、重要事項を説明することが義務化されました。伝達するだけでなく、内容や実施方法などについて重要事項説明書として書面交付することも求められます。
こちらの項目については、その後の法改正においても変化してきており、契約前において物件オーナーに対して必要な説明がなされているかが非常に重要視されています。
財産の分別管理
登録管理業者は、自社の財産と、物件オーナーから預かっている賃料などの財産を別々に管理しないといけません。自社用の口座とは別に、賃料を管理する口座を開いておく必要があります。
定期報告義務
登録管理業者は、物件オーナーに対して物件の管理状況や業務内容について、定期的な報告が課されています。入金状況や、苦情の有無・対応状況など、問題なく管理業務が行われているかを物件オーナーが把握している状態を作らないといけません。
2023年3月の改正ポイント
賃貸住宅管理業法は、施行後から何度かの改正を経ていますが、2023年3月にも改正が行われています。2023年3月の改正では、電話業務にも大きく影響が出る部分があります。
情報参照元:国土交通省[賃貸住宅管理業法・運用指針の主な改正点(令和5年3月31日改正)]
改正の背景
国土交通省が公開している運用指針の改正では、以下のような項目が挙げられています。
- ITの更なる活用
- コロナ禍の要請等を踏まえた選択肢の追加
- 規制の合理化
契約時の重要事項説明や、管理業務を進めるにあたっての定期報告など、管理会社と物件オーナー間のコミュニケーション手段は多様化しています。その中で、メールやアプリといったITツールを用いたコミュニケーションはもちろんのこと、ITリテラシーがあまり高くない層に関しては、電話でのコミュニケーションを求めるケースも増えているとのことです。
改正ポイント
運用指針の改正では、以下の項目が挙げられています。
- 定期報告の説明方法の見直し
- 重要事項の説明方法の見直し
- オーナーチェンジがあった場合の新オーナーへの対応方法の合理化
- 更新回数の優遇措置に係る取扱いの見直し
定期報告については、説明方法を問わない形になり、契約時の重要事項の説明については電話での説明が可能となりました。ただ、いずれもオーナーが理解できているかの確認を含む条件が必要となっています。説明方法を緩和しながらも、伝わっているかどうかの確認を行うことでトラブルを未然に防ぐ形にしています。
賃貸住宅管理業法改正による電話業務の変化
ここまで、賃貸住宅管理業法の内容と、2023年3月の法改正の概要についてまとめました。今回の改正で、重要事項説明が電話上でも可能になりましたが、一方でその条件を満たすために電話業務でも注意しなければいけないポイントがいくつかあります。
- 事前に重要事項説明書を送付する
- オーナーから電話での説明を依頼している
- 説明時にオーナーの手元に重要事項説明書があることを確認している
- オーナーが説明内容を理解できているか、説明後に確認する
まず、簡単に電話説明ができるわけではなく、事前に準備が必要となります。そもそも、オーナーが電話による説明を希望していない限りは、賃貸管理会社側の都合だけでは電話での説明条件を満たすことになりません。その上で、電話説明の前に説明書を送付し、電話をかける際も手元に用意しておいてもらう必要があります。
最終的には、内容を理解できたかどうかの確認が必要になります。万が一の場合、電話におけるやり取りを含めた確認が非常に重要となります。
あると便利な電話機能
オーナーへの重要事項説明にあたり、トラブルを防ぐために電話機能を充実させておくことは一つの解決手段になりえます。トラブルを防ぐために用意しておくべき、電話機能をいくつか紹介します。
- 録音機能
- 書き起こし機能
いずれも、電話の内容を記録しておく機能です。録音機能は音声データ、書き起こし機能はテキストデータで記録が可能になります。
あとから振り返るのに便利なのは書き起こし機能でしょう。音声データは、音声を聞くだけの時間が必要になり、文字を読むよりも多くの時間を必要とします。とはいえ、実際に双方が会話しているという証拠という点でも、音声データが存在していることも大事なポイントです。
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