カスハラ対策にAIはどう活用できる?具体的なツールや仕組みを5つ紹介

顧客からの理不尽な要求や悪質なクレーム、いわゆる「カスハラ(カスタマーハラスメント)」は、多くの企業や従業員を悩ませる深刻な問題です。AIを活用して有効な対策を打ちたいものの、具体的な方法がわからず悩んでいる企業担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、AIを活用したカスハラ対策ツールや企業の取り組み事例、AIの力を最大限に引き出すポイントを解説します。
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資料をダウンロードするカスハラが企業と従業員に与える悪影響
カスハラを放置すれば、従業員の離職や組織全体の生産性低下といった事態につながる恐れがあります。ここでは、カスハラが与える主な悪影響について解説します。
- 従業員のパフォーマンスが低下する
カスハラは、対応する従業員に大きなストレスを与えます。精神的・身体的なストレスは、従業員のモチベーション低下や集中力の散漫を招き、結果として個人のパフォーマンスを著しく低下させる恐れがあります。
- 電話対応や謝罪で時間を浪費する
カスハラ対応は長時間化しやすく、不当な要求やその事後処理で従業員の貴重な時間を奪います。その結果、本来注力すべき業務が圧迫され、チーム全体の生産性を大きく低下させる要因となります。
- ほかの顧客への対応が遅れる
カスハラ対応に人員や時間が集中すると、ほかの顧客への対応が滞りやすくなります。対応の遅れや質の低下は顧客満足度を損ない、顧客離れという深刻な機会損失を招く可能性があります。
このように、カスハラは従業員個人だけでなく、企業全体の成長を妨げるリスクと言えます。
AIによるカスハラ対策:具体的なツール・取り組み5選
AIがカスハラ対策に役立つといっても、どのようなツールや取り組みがあるのか、思い浮かばないかもしれません。この章では、AIを活用したカスハラ対策ツールや企業の取り組みを5つご紹介します。
IVRy:電話自動応答による担当者への振り分けとフィルタリング
「IVRy(アイブリー)」は、電話の着信時に自動音声ガイダンスが応答し、顧客のプッシュ操作や音声認識により、適切な内容を返答するクラウド型の電話自動応答システムです。
自動音声ガイダンスにより、電話をかけてきた顧客が一回冷静になる効果が期待できるほか、すべての通話を自動録音することにより、暴言などの抑制にもつながります。
また、問い合わせの用件に応じて適切な部署へスムーズに電話を振り分けるため、たらい回しによるストレスを軽減し、カスハラの未然防止に役立ちます。
新機能「AI解析ダッシュボード」ではAIが通話データを解析し、顧客の満足率を把握できます。カスハラを含む顧客の反応を検知する機能を備えており、データに基づいた予防策や対応改善につなげられます。
参考:対話型音声AI SaaSのIVRy(アイブリー)、 月1万円で通話データのAI解析を可能にする 新機能「AI解析ダッシュボード」を提供開始
トリニティー:音声検知AIでカスハラをリアルタイムで通知
トリニティーが提供する「カスハラAIチェッカー」は、AIと音声解析技術を活用した、カスハラ自動通知システムです。
店内に設置した専用マイクが接客中の会話をモニタリング。暴言や威圧的な発言などの攻撃的な音声をAIが検知すると、管理者のスマートフォンへ通知が送信されます。
店舗責任者がその場にいなくてもリアルタイムに状況を把握できるため、迅速な初期対応や従業員への指示が可能となり、カスハラの拡大を未然に防ぐ効果が期待できます。また、検知履歴はアプリ上で記録されるため、事後の状況確認や再発防止策の検討にも役立ちます。
参考:カスハラAIチェッカー 即時通知&リスト管理でカスハラから従業員を守るAIソリューション
トランスコスモス:AIによるオペレーター支援
大手コンタクトセンター事業を手掛けるトランスコスモスでは、生成AIを活用したオペレーター支援策を導入しています。
電話応対中の音声をAIがリアルタイムで解析し、顧客の感情や発言内容からカスハラの兆候を検知。問題発生時には管理者が迅速にサポートに入り、オペレーターの精神的負担の軽減を図ります。
また、同社はカスハラを経験したオペレーターに対し、上司が声かけを行う際の励ましの言葉を生成AIに提案させるといった取り組みも実施しています。
参考:トランスコスモス、trans-DX for Support活用でカスタマーハラスメント対策を推進
参考:カスハラに苦しむ電話オペレーターを生成AIが励ます、トランスコスモスの2つの対策
東京大学とソフトバンク:威圧的な音声をAIで抑制
2025年度中の事業化を目指す研究が進められているのが、ソフトバンクと東京大学が共同開発するAI音声変換ソリューション「Emotion Canceling(エモーション キャンセリング)」です。
「Emotion Canceling」は、AIを活用した感情認識・音声加工技術によって顧客の音声通話を、穏やかで落ち着いたトーンの音声としてオペレーターに届けます。
単なるボイスチェンジャーとは異なり、AIを活用することでより自然な形で心理的負担を軽減します。
実験では、変換後の音声を聞いた人が感じる怒りの度合いが30%以上も抑えられたという結果も出ており、オペレーターの精神的な負担を減らす効果が期待されています。
参考:社会問題化するカスハラへの対策。東京大学と取り組む威圧的な電話音声をAIで抑制する技術開発
東洋大学と富士通:AIを活用したカスハラ対応トレーニング
東洋大学と富士通株式会社は、2025年のリリースを目指し、犯罪心理学とAIを組み合わせた「カスタマーハラスメント体験AIツール」の共同開発を進めています。
カスハラ特有の会話パターンを学習したAIトレーナーと対話することで、リアルなカスハラ場面を体験し、対応スキルを効果的に習得することを目的としています。
生成AIによってさまざまな業種や状況に応じたシナリオが自動で作成・更新されるため、常に最新の事例に基づいたトレーニングが可能です。さらに、ユーザーの対応をAIが採点し、改善点を提示する機能も搭載しているため、実践的なスキル向上に役立ちます。
参考:犯罪心理学×AIでカスハラから従業員を守る!~東洋大学と富士通の革新的な取り組み事例~
カスハラ対策でAIを最大限に活かすための3つのポイント
続いて、AIの力を最大限に引き出し、成果につなげるために押さえておきたい3つのポイントを解説します。
AIと人の役割分担を明確にする
AIは定型業務やデータ処理に優れていますが、人間の持つ共感力や複雑な状況判断は完全には代替できません。そのため、カスハラ対策においては、AIに任せる業務と人が対応すべき業務を明確にすることが重要です。
例えば、悪質な言動の一次フィルタリングはAIに任せ、より丁寧な説明や共感が求められるケース、あるいはAIでは判断が難しい案件は経験豊富な人が引き継ぐ、といった分担が考えられます。
人間とAIがそれぞれの強みを活かして連携すれば、従業員の心理的負担を軽減しつつ、質の高いカスハラ対応体制を構築できるでしょう。
記録・分析・共有を徹底する
AIを活用したカスハラ対策の基本は「記録」「分析」「共有」の3ステップです。記録された情報をもとに、何が起きたのかを正確に把握し、その背景や傾向を分析することで効果的な対策を検討しやすくなります。
例えば、AIによって記録された顧客との通話やチャットなどのデータを活用すれば「どんな状況でカスハラが起きやすいのか」「どんな言葉が引き金になりやすいのか」といった傾向を分析するのに役立ちます。
こうした分析結果を社内で共有すれば、組織全体のカスハラへの理解が深まり、組織全体の予防意識や対応スキルの向上につながります。
AIの継続的な学習と運用体制を整備する
AIによるカスハラ対策を導入して終わりではありません。その効果を持続させ、さらに高めていくためには「AIの継続的な学習」とそれを支える「運用体制の整備」が不可欠です。
カスハラの手口は変化するため、AIにも常に新しい事例や攻撃的な表現を学習させ、検知精度を最新の状態に保つ必要があります。そのため、AIツールの導入・運用・メンテナンスは現場任せにせず、専門チームの設置や外部専門家との連携といった体制構築が重要です。
分析結果や現場からのフィードバックを元に、対応フローや社内マニュアルを定期的に見直し改善サイクルを回していくことで、有効なカスハラ対策ツールとして機能し続けるでしょう。
電話でのカスハラ対策ならIVRy
AIを活用したカスハラ対策のツールや取り組み、AIを最大限に活かすためのポイントをご紹介しました。大切なのは自社の課題に合ったツールを選び、適切に運用することです。
カスハラの中でも、多くの企業で課題となっているのが「電話」を通じたカスハラではないでしょうか。
鳴り止まない電話や理不尽な要求といった電話のカスハラから従業員を守り、安心して働ける環境を整えたいとお考えなら、電話自動応答サービス「IVRy(アイブリー)」が効果的です。

IVRyでできること
- 全ての通話を自動で録音・記録
全ての通話が自動で録音され、クラウド上に保管されます。客観的な記録が残るため、トラブル時の状況把握がしやすくなります。
- 迷惑電話・不要な問い合わせを自動でブロック&振り分け
かかってきた電話を用件に応じて担当部署へつなぐだけでなく、悪質な電話や不要な営業電話はシャットアウトします。
- 従業員の精神的負担を大幅に軽減し、コア業務へ集中
自動応答により、従業員が直接対応する電話の数を減らし、理不尽な要求や暴言に晒される機会を抑えます。これにより、コア業務に集中できる環境が生まれます。
- 「AI解析ダッシュボード」でカスハラ傾向を分析、予防策に活用
AIが通話データを解析し、カスハラ含む顧客の反応を検知。データに基づいた具体的な予防策や応対品質の改善につなげられます。(オプション機能)
IVRyを活用すれば、カスハラ対策を強化できるだけでなく、電話対応業務全体の効率化にもつながります。
詳しい機能やさまざまな業種での導入事例をまとめた資料をご用意しています。まずは、下記からお気軽に資料をご請求ください。
無料アカウント登録で、実際の操作感をお試しいただくことも可能です。