フリーダイヤル(0120・0800)とは?番号の 取得方法や導入時の注意点を解説

着信課金電話番号の代名詞とも言える「フリーダイヤル」。発信者側の通話料が無料になる仕組みは広く知られていますが、電話番号の取得方法や具体的な費用、導入時の注意点まで理解している人は少ないかもしれません。
本記事では、フリーダイヤルの基礎知識や番号の取得方法をはじめ、導入前に知っておきたいデメリットや注意点、おすすめのサービスまで詳しく解説します。
フリーダイヤルとは?
フリーダイヤルとは、電話番号の契約者が通話料を負担する電話サービス(着信課金サービス)です。フリーダイヤルに電話をかけた場合でも、フリーダイヤル番号から電話を受けた場合でも、通話料は番号の契約者が負担します。
通常、「0120」や「0800」で始まり、10~11桁の番号で構成されています。電話の発信者(電話をかける側)が通話料を気にせず連絡できることから、カスタマーサポート、問い合わせ窓口、注文受付など、企業の顧客対応窓口に広く導入されています。
0120と0800の違い
「0120」と「0800」から始まる電話番号は、いずれもフリーダイヤルとして利用されています。
「0120」は1985年に導入された番号帯です。0120番号の枯渇に伴い、1999年に「0800」が追加されました。番号の仕組みや通話料金の負担者に違いはありません。
番号 | 特徴 |
|---|---|
0120 | ・導入年1985年 ・サービス開始当初からの番号で認知度が高い ・顧客に安心感を与えやすい ・人気の番号は取得しにくい |
0800 | ・導入年1999年 ・0120番号の枯渇に伴い導入 ・希望の番号を取得しやすい ・近年は認知度が向上している |
ナビダイヤルとの違い
フリーダイヤルは、通話料金を電話番号の契約者が負担する着信課金サービスです。
ナビダイヤルは「0570」から始まる番号で、通話料金を発信者(電話をかける側)が全額または一部負担する仕組みとなっており、通話時間に応じて課金されます。
【関連記事】0570(ナビダイヤル)の電話番号はどこから?料金やフリーダイヤルとの違いを解説!
フリーダイヤル料金の仕組み

フリーダイヤルの料金は、主に初期費用、月額基本料、通話料で構成されています。以下に料金の一例を紹介します。ただし、料金体系は事業者や契約プランによって異なるため、詳細は各事業者へ見積もりを依頼しましょう。
1. 初期費用
フリーダイヤルを利用する際には、フリーダイヤル番号の取得費用と、着信電話番号設定工事費(フリーダイヤル番号と実際に着信する電話回線を紐づける設定費用)が発生します。多くの事業者では、1番号または1回線あたりの料金が設定されており、相場は1,000円~3,000円程度です。番号変更や番号の追加時に再度費用が発生するケースもあります。
2. 月額基本料(番号・回線の維持費)
月額基本料は、フリーダイヤル番号を維持するために毎月必要な費用です。事業者やプランによって異なりますが、1番号あたり数百円〜数千円程度です。番号ごとに課金される「番号単位課金」、回線数に応じた「回線単位課金」、複数番号をまとめて契約することで割引になるプランなどがあります。利用状況によって費用対効果が変わるため、自社の利用規模に応じたプラン選びが重要です。
3. 通話料(従量課金)
フリーダイヤルでは、電話番号の契約者が通話料金を負担します。通話料は従量課金制で、通話時間と発信元の回線(固定電話、携帯電話、公衆電話など)によって料金が変動します。一般的に、携帯電話からの着信は固定電話よりも割高になる傾向があるため、事前に電話の着信傾向を確認することがコスト管理のカギになります。
フリーダイヤル導入のメリットと効果

顧客満足度の向上
フリーダイヤルへの発信は、通話料金の心配をする必要がないことから、顧客側の負担が軽減され、企業への信頼感にもつながります。
また、気軽に利用できる問い合わせ窓口を提供することで、顧客は問題解決の手段を迅速に得ることができ 、結果的に企業に対する満足度の向上も見込めるでしょう。
顧客接点の増加
フリーダイヤルの導入により、顧客側からの積極的なコンタクトが期待できます。顧客との接点が増えることで、より多くのフィードバックを収集できるため、サービスの改善にも役立ちます。
さらに、顧客の生の声を収集することで、市場ニーズやトレンドの変化を察知しやすくなり、競合他社との差別化や新たなビジネスチャンスの発見につながる可能性があります。
電話対応の効率化
フリーダイヤルにオプション機能を組み合わせることで、効率的で質の高い顧客対応が実現できます。例えば、IVR(自動音声応答)を導入すれば、問い合わせ内容に応じて適切な部署や担当者へ自動で振り分けることができ、対応スピードの向上や担当者の負担軽減につながります。
また、IVR以外にも、営業時間外の自動音声ガイダンス、迷惑電話対策のためのブラックリスト機能、通話録音など、さまざまなオプションがあります。これらを活用することで、顧客満足度を高めながら、電話対応業務の効率化を図れます。
企業イメージの向上
フリーダイヤルは1985年にスタートした歴史の長いサービスです。NTTコミュニケーションズの調査によると、フリーダイヤルの認知度は90.5%(※)と非常に高く、多くの人がフリーダイヤルの番号やロゴを認識しています。フリーダイヤルを導入する企業は、サービスの高い認知度や信頼性を 活用してイメージの向上を図ることができるでしょう。
※出典:NTTコミュニケーションズ
フリーダイヤル導入のデメリットと注意点
通話コストが膨らみやすい
フリーダイヤルは、発信者側に通話料の負担がないため、電話をかける心理的なハードルが低くなります。その影響で、通話が長引いたり、問い合わせ以外の着信が増えたりする傾向があります。
特に、携帯電話や公衆電話からの着信が多い場合は、通話単価が高くなり、月々の通信コストが想定を上回るケースも考えられます。
不要な着信にも通話料が発生する
迷惑電話や間違い電話など、本来の業務とは無関係な着信に対しても通話料を負担することになるため、無駄なコストや対応負担が発生し、業務効率の低下につながる恐れがあります。
このようなリスクを軽減するために、IVR(自動音声応答)の導入や着信制限、ブラックリスト登録などにより、不要な着信をフィルタリングする仕組みを整えることが重要です。
一部の電話・地域からは利用できない
フリーダイヤルは、発信元の電話番号や地域によっては接続できない場合があります。例えば、IP電話や海外からの国際電話は、回線の仕様や契約条件により接続が制限されるケースがあります。
これにより、一部の顧客がフリーダイヤルを利用できない可能性があるため、チャットや問い合わせフォーム、代表電話番号など、複数の連絡手段を併用すると良いでしょう。
フリーダイヤルのコスト削減方法
携帯電話からの発信を制限する
フリーダイヤルの通話料は、発信元の回線の種類によって料金が異なります。特に、固定電話からの着信に比べて携帯電話からの着信は、通話料が数倍から10倍以上と高額に設定されています。
対策として、フリーダイヤルの「発信端末拒否」機能を利用し、携帯電話からの着信を制限すれば、高額な通話料の発生を未然に防げるため、コストを削減できます。
ただし、スマートフォンが主な連絡手段である顧客層をターゲットにしている場合、この制限は機会損失や顧客満足度の低下に直結する可能性があります。そのため、自社のビジネスモデルや顧客層を十分に分析した上で、導入を慎重に検討することが重要です。
自動音声応答(IVR)で電話の一次対応を自動化する
自動音声応答(IVR)とは、「〇〇に関するお問い合わせは1番を」といった音声ガイダンスに従って発信者が番号をプッシュすることで、適切な窓口へ振り分けたり、定型的な質問に自動で応答したりする仕組みです。
IVRを導入すると、オペレーターが対応する前に用件をある程度絞り込めるため、対応時間の短縮が実現し、結果として通話料の削減につながりま す。
また、よくある質問や簡単な手続きであれば、IVRだけで対応を完結させることも可能です。これにより、業務全体の効率化も期待できるでしょう。
詳しくは関連記事の「IVR(電話自動応答)とは?仕組み・費用・比較ポイントを解説」をご覧ください。
迷惑電話対策オプションを活用する
フリーダイヤルは着信側が通話料を負担するため、間違い電話やいたずら電話、悪質な営業電話であってもコストが発生してしまいます。
そこで有効なのが、特定の電話番号からの着信を拒否できる迷惑電話対策機能です。迷惑電話の番号を登録しておけば、該当番号からの着信を自動的にブロックし、無駄な通話料の発生を防ぐことができます。
多くのサービスでは、着信を拒否する際にガイダンスが流れている間は、相手にも自社にも料金が発生しないため、コストをかけずに迷惑電話を遮断できます。
ただし、この機能は有料オプションとなる場合が多く、月額料金が高めに設定されていることもあるため、事前に月額料金を確認しておきましょう。
フリーダイヤルを取得する方法
フリーダイヤルは、NTTコミュニケーションズをはじめとする電気通信事業者、またはクラウド型電話サービスを通じて取得できます。電話番号は、原則として現在未使用の番号から発行されますが、過去に使用された番号 であっても、一定期間が経過していれば再利用できる場合もあります。
申し込みから利用開始までは、番号の選定、契約手続き、着信設定などを経て、数週間程度が一般的です。
フリーダイヤルを取得できるサービス5選
NTTコミュニケーションズのフリーダイヤル以外にも、フリーダイヤルと同様の着信課金サービスを提供している企業があります。ここでは、フリーダイヤルを取得できるおすすめのサービスを5つ紹介します。
1. アイブリー

「アイブリー」は、完全無料で始められるクラウド型のIVR(電話自動応答)サービスです。「0120」や「0800」から始まるフリーダイヤルに加え、全国の市外局番や「050」から始まるIP電話番号を、本人確認後、最短2営業日で取得できます。
「アイブリー」では、インターネット回線を利用するため、フリーダイヤルの着信用に専用回線や電話番号を用意する必要はありません。PCやスマートフォンがあれば、固定電話がなくてもフリーダイヤルの着信に対応できます。
また「アイブリー」は、電話業務を効率化する多彩な機能を提供しています。よくある質問への自動応答、担当者への自動振り分け、迷惑電話のブロック、通話録音、メールやチャットでの受電通知、顧客管理など、日々の電話業務を支える機能が充実しています。
2. フリーアクセス(NTT東日本・西日本)

「フリーアクセス」はNTT東日本およびNTT西日本が提供しているフリーダイヤル(着信課金サービス)で、「0120」や「0800」から始まる番号を契約できます。
導入には、基本工事費2,200円(1工事ごと)、交換機工事費1,100円(1サービス番号ごと)、基本料金330円(月額)が発生します。NTT東日本・西日本が提供する電話サービス(固定電話など)への加入が必要です。なお、「フリーアクセス」は同一県内の通話のみが対象のため、他県からの着信は接続できません。
3. フリーコール(KDDI)

「フリーコール」はKDDIが提供す る法人向けのフリーダイヤル(着信課金サービス)で、「0120」や「0800」から始まる番号を利用できます。
料金プランは、番号体系や付加機能を限定し、基本料金を安く抑えた「フリーコールS」(月額1,100円)と高機能な付加サービスを利用できる「フリーコールDX」(月額1,650円~)があります。「フリーコールDX」では、KDDIの識別番号である「0077」から始まる番号も選択できます。KDDIのIP電話サービスを利用することで通話料が割安になります。
4. フリーコールスーパー(ソフトバンク)

「フリーコールスーパー」は、ソフトバンクが提供するフリーダイヤル(着信課金サービス)です。「0120」や「0800」から始まる番号が提供されています。
月額利用料は1番号につき2,000円ですが、ソフトバンクの電話番号を着信回線に指定することで、月額利用料が実質無料になるケースもあります。利用開始まで約2~3週間程度、他事業者から切り替える場合は約3~4週間程度かかります。
5. フリーボイス(楽天コミュニケーションズ)
