クラウドCTIとは?メリット・料金・PBXとの違いも比較

クラウドCTIとは、電話とコンピュータシステムをクラウド上で統合し、顧客対応やコミュニケーションを効率化するソリューションです。従来のオンプレミス型CTIと比較して、導入コストが低く、インターネット回線さえあれば場所を選ばずに利用できる柔軟性を備えています。このような背景から、近年多くの企業でクラウドCTIの導入が進んでいます。
本記事では、クラウドCTIの基本機能やメリット、オンプレミス型との違い、導入する際の手順、導入事例を紹介します。
クラウドCTIとは?
クラウドCTI(Computer Telephony Integration)とは、電話とコンピュータシステムをクラウド上で連携させ、顧客情報管理や通話履歴参照などを可能にするソリューションです。従来の自社サーバーに構築するオンプレミス型CTIとは異なり、インターネット経由でサービスを利用します。
なお、オンプレミス型は、自社にサーバーを設置して利用するタイプのCTをさします。
詳しくは関連記事の「CTIシステムとは?機能や仕組みとおすすめサービス10選を徹底比較」をご覧ください。
クラウドCTIが主流に
クラウドCTIは、そのコスト削減効果と導入の手軽さから急速に普及しています。近年では、在宅勤務の広がりにより、柔軟な運用が求められるシーンが増えました。そのため、多くの企業がクラウド型CTIを導入し、遠隔地でも同等の業務を実現できるシステム構築を進めています。
クラウドCTIの代表的な機能
クラウドCTIは、オペレーターの負担軽減や、顧客満足度の向上につながる多彩な機能を備えています。主な機能は以下のとおりです。
自動応答システム(IVR)
顧客が音声や電話のキー入力を使用して情報を取得でき、効率的な案内が可能です。
通話の発着信管理
通話の発信・受信を一元管理し、適切なオペレーターに自動で割り当てられます。
通話録音・履歴保存
通話内容を録音し、あとで確認できる機能です。対応品質の向上が図れます。
通話のルーティング・キューイング
通話をほかのオペレーターに転送します。受電が多い際には順番待ちの設定も可能です。
通話モニタリング・ウィスパリング
リアルタイムで通話をモニタリングし、管理者がオペレーターに助言できます。
CRM連携
顧客管理システム(CRM)と連携し、過去の顧客応対情報を参照しながらスムーズな電話対応を実現します。また、通話内容を自動で記録することも可能です。
AIによる文字起こし・要約
AIが通話内容を自動で文章化し、要約する機能です。業務効率のさらなる向上が期待できます。
クラウドCTIとPBX・CRMの違い

クラウドCTIを検討する際、よく似た用語である「PBX」や「CRM」との違いが分かりにくいという声が聞かれます。ここでは、それぞれのシステムの役割と関係性を明確に解説します。
PBXとの違い
PBX(Private Branch Exchange)は「構内交換機」とも呼ばれ、企業内の電話網における心臓部です。複数の電話機からの外線発信や内線通話を一元的に制御し、限られた電話回線を効率的に共有する役割を担います。
一方、CTIはPBXによって構築された電話網を基盤として、電話機能とコンピューターシステムを連携させる「頭脳」のような存在です。着信時に顧客情報をPC画面に表示するなど、電話応対に付加価値を与える機能を提供します。つまり、PBXが電話の基本的な交換機能を提供するのに対し、CTIはその機能を拡張し、より高度な顧客対応を実現する関係にあります。
詳しくは「【比較表付き】PBXとCTIの違いとは?連携によるメリットも詳しく解説」をご覧ください。
CRMとの違い
CRM(Customer Relationship Management)は「顧客関係 管理」と訳され、顧客の連絡先、購入履歴、過去の問い合わせ内容といった情報を一元管理するシステムです。顧客との良好な関係を築くためのデータベースとしての役割を持ちます。
CTIとCRMは連携して使われることが多く、CTIは電話とCRMシステムを繋ぐ「架け橋」の役割を果たします。着信時にCTIがCRMから該当の顧客情報を探し出してPC画面に表示することで、オペレーターは過去の経緯を瞬時に把握し、パーソナライズされた対応が可能になります。
詳しくは関連記事の「CTIとCRMの違いとは?連携方法やメリット、選定ポイントを解説」をご覧ください。
オンプレミス型CTIとの違い
ここでは、簡単にオンプレミス型とクラウド型の違いを比較表に整理します。
比較項目 | オンプレミス型CTI | クラウド型CTI |
|---|---|---|
初期コスト | 高い (ハードウェアやライセンス購入が必要) | 低い (インターネット経由で利用できる) |
運用コスト | 比較的高い (サーバの維持・管理に専門スタッフが必要) | 低い (ベンダーがメンテナンスとアップデートを担当/月額費用のみで利用できる) |
セキュリティ | 高い (自社ポリシーに沿ってセキュリティ対策が可能) | 高い (プロバイダ依存になるが、基本的には必要なセキュリティが徹底されている) |
カスタマイズ性 | 高い (企業のニーズに合わせて詳細にカスタマイズ可能) | 限定的 (ベンダーが提供する範囲内でのみカスタマイズ可能) |
導入の容易さ | 難しい (SEなどの人材が必要) | 容易 (インターネットのみで利用できる) |
スケーラビリティ | 限定的 (物理的なサーバ容量に依存) | 高い (リソースの追加や削減が容易にできる) |
データの保存場所 | 自社サーバ | ベンダーのDC |
クラウドCTIの選び方
クラウドCTIを選ぶ際に必ずチェックしておきたい3つのポイントをご紹介します。自社に最適なサービスを選ぶためには、以下の点を総合的に比較検討することが大切です。
- 無料トライアルによる操作性の確認
毎日使うツールだからこそ、誰でも直感的に操作できるかは重要な選定基準です。無料トライアルを活用して、導入前に実際の画面で使い勝手を試し、自社の担当者がスムーズに利用できるかを確認しましょう。 - 既存システムとの連携性
すでに利用しているCRMやSFA、Slackなどの外部システムとスムーズに連携できるかも大切なポイントです。システム連携によって、顧客情報の一元管理や通知の自動化が可能になり、さらなる業務効率化が期待できます。 - 将来的な機能の拡張性
AIなどの技術革新は急速に進んでいます。将来を見据え、定期的な機能更新や外部サービスとの連携が可能かなど、システムの拡張性も確かめておきましょう。
【2025年】クラウドCTIおすすめサービス比較
ここでは、数あるクラウドCTIの中から、特におすすめのサービスを厳選して比較紹介します。それぞれ特徴や強みが異なるため、自社の目的や規模に合わせて最適なシステムを選ぶための参考にしてください。
主な対応機能 | CRM連携 | 初期費用/月額費用 | 利用環境 | |
|---|---|---|---|---|
BIZTELコールセンター | 電話自動応答、全通話録音、顧客情報ポップアップ、ウィスパリング、AI要約、統計レポートなど | Salesforce、kintoneなどとAPI連携可 | 初期費用:50,000円/席 月額:15,000円/席 | テレワーク・モバイル対応 |
Comdesk Lead | 電話自動応答、通話録音、顧客情報表示、携帯回線発信(特許)、クリックtoコール、API履歴連携など | Salesforce、FilemakerなどとAPI連携可 | 初期費用:要問合せ 月額:6,000円/ID~ | テレワーク・モバイル対応 |
Mostable | 電話自動応答、通話録音、リスト管理、オートコール、ウィスパリング、リアルタイムモニタリングなど | CRM対応可 | 初期費用:要問合せ 月額:要問合せ | テレワーク対応 |
CT-e1/SaaS | 電話自動応答、自動録音、顧客情報表示、通話分析、レポート、オートコールなど | Salesforceなど主要CRMとAPI連携可 | 初期費用:300,000円 月額:5,000円/ID | テレワーク・モバイル対応 |
MiiTel Phone | 電話自動応答、通話録音、AI文字起こし、顧客情報表示、通話解析など | Salesforce、HubSpot、kintoneなどとAPI連携可 | 初期費用:0円 月額:5,980円/ID~ | テレワーク対応 |
CallConnect | 通話録音、顧客情報表示、クリックtoコール、簡易IVRなど | Salesforce、SlackなどとAPI連携可 | 初期費用:0円 月額:2,400円/ID~ | テレワーク・モバイル対応 |
Zendesk | 電話自動応答、自動着信分配(ACD)、顧客情報ポップアップ、AI要約、通話録音、コールバック、チケット化など | Salesforce、kintoneなど主要CRMと連携可 | 初期費用:要問合せ 月額:55ドル〜 | テレワーク対応 |
OSORA | 電話自動応答、自動着信振分(ACD)、全通話録音、顧客情報ポップアップ、リアルタイムモニタリングなど | 主要CRMやチャットツールとAPI連携可 | 初期費用:100,000円 月額:1,000円/端末 | テレワーク対応 |
ソクコム | 電話自動応答、全通話録音、顧客情報ポップアップ、コールフロー作成、分析レポート、SMS自動返信など | 他社CRMサービスとAPI連携可 | 初期費用:要問合せ 月額:1ユーザー1,480円~ | テレワーク対応 |
InfiniTalk | 電話自動応答、通話録音、顧客情報ポップアップ、ACD、CMS、チャット、SMSなど | Salesforce、kintone、楽テルなどとCRM連携可 | 初期費用:0円 月額:35,800円~ | テレワーク・モバイル対応 |
各サービスの詳細については、以下の記事で解説しています。詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
詳しくは関連記事の「CTIシステム比較おすすめ15選!料金・機能・選び方を解説」をご覧ください。
クラウドCTIのメリット
クラウドCTIを利用する主なメリットは以下のとおりです。
メリット1. 業務効率化
クラウドCTIは、オペレーターの業務を大幅に効率化します。
例えば、IVR(自動音声応答)やACD(自動着信分配)を活用すれば、オペレーターはよりスムーズな顧客対応が可能です。顧客からの問い合わせは自動で適切な担当者に振り分けられるため、オペレーターは待機時間を減らして即座に対応できます。
さらに、CRMシステムとクラウドCTIを連携させることで、顧客情報をリアルタイムに参照でき、個々の顧客に合わせた迅速な対応が可能です。
業務効率化により、オペレーターの負担も軽減されるため、職場環境の改善につながり、離職率の低下も期待できるでしょう。
メリット2.コスト削減
クラウドCTIは、オンプレミス型CTIのようにサーバ設置やハードウェアの購入が不要なため、初期投資を大幅に抑えられます。インターネット経由で利用するため、自社で設備を管理する手間もありません。
さらに、システムのメンテナンスはすべてベンダーが行うため、IT部門の作業負担も減少します。社内リソースをほかの業務に集中さ せることで、全体的な運用コストの最適化を図れるでしょう。
毎月の固定費用のみで最新のシステムを維持できる点も、予算管理のしやすさに直結します。
詳しくは関連記事の「コールセンターにおけるコスト削減の全体像と方法を解説」をご覧ください。
メリット3.顧客満足度の向上
クラウドCTIは顧客満足度を向上させるための効果的なツールです。
顧客を適切な担当者へ迅速につなげられることで、顧客を長時間待たせることなく、スムーズな対応を提供できるため、顧客満足度の向上に繋がります。
また、CRMと連携することで、顧客情報(過去の問い合わせ内容や購入履歴など)をすぐに確認できます。これにより、顧客一人ひとりに合わせた丁寧でパーソナライズされた対応が可能になり、顧客との良好な関係構築に役立ちます。
迅速かつ的確な対応は顧客のストレスを軽減し、満足度を高めるだけでなく、リピート率の向上や顧客ロイヤルティの強化にも繋がります。結果として、企業全体のブランド価値向上に貢献し、長期的な顧客関係の構築を促進します。
メリット4.テレワーク(在宅勤務)に対応できる
クラウドCTIはPCとインターネット環境さえあれば利用できるため、場所を選ばずにコールセンター業務を構築できる点が大きなメリットです。
従来のオンプレ ミス型では、オフィスの特定の場所でしか電話対応ができませんでした。しかしクラウドCTIを導入すれば、オペレーターは自宅からでも会社の電話番号で発着信したり、顧客情報を確認したりすることが可能です。管理者がリモートでオペレーターの応対品質をモニタリングする機能もあり、多様な働き方に柔軟に対応しながら、業務品質を維持できます。
クラウドCTIのデメリット
クラウドCTIには多くのメリットがある一方、導入前に知っておくべきデメリットも存在します。ここでは代表的な2つのデメリットとその対策について解説します。
デメリット1.セキュリティリスク
クラウド型のCTIシステムでは、外部のサーバーにデータを保存するため、不正アクセスや情報漏洩といったセキュリティ上のリスクが伴います。顧客の個人情報など機密性の高い情報を取り扱うことが多いため、この点は無視できません。
対策としては、通信やデータの暗号化、二要素認証やIP制限といったアクセス管理機能が充実したサービスを選ぶことが重要です。また、プライバシーマークなどの第三者認証を取得しているかどうかも、安全性を判断する上で重要な指標となります。
詳しくは関連記事の「クラウドPBXのセキュリティは安全?選定ポイントや対策の勘所を解説」をご覧ください。
デメリット2.カスタマイズ性の低さ
オンプレミス型に比べ、クラウドCTIは機能や仕様がある程度標準化されており、自社独自の業務フローに合わせた細かいカスタマイズが難しい場合があります。 特殊な要件がある場合、標準機能では対応できない可能性も考慮すべきでしょう。
対策として、API連携などを活用して既存システムと連携できるサービスを選ぶのが有効です。導入前にベンダーへ自社の要件を伝え、どこまで対応可能か確認することが不可欠です。
クラウドCTIの導入事例
実際にクラウドCTIを導入した企業が、どのように課題を解決し、成果を上げているのか、具体的な事例を見ていきましょう。