【肉汁餃子のダンダダン】従業員向けのDXからお客様への還元へ|DXインタビュー

執筆者 : IVRy編集部
「肉汁餃子のダンダダン」は、新しいサービスやテクノロジーを積極的に取り入れ、DX推進に力を入れています。そこで、今回は営業本部長の福田様に、同店のDX推進の取り組みやその成果、今後の展望についてお話を伺いました。

「肉汁餃子のダンダダン」は、新しいサービスやテクノロジーを積極的に取り入れ、DX推進に力を入れています。そこで、今回は営業本部長の福田様に、同店のDX推進の取り組みやその成果、今後の展望についてお話を伺いました。

現場の声を生かし、生産性向上と顧客体験改善のDX導入

IVRy藤崎(以下藤崎): まずは、「肉汁餃子のダンダダン」について教えていただけますか?

ダンダダン福田(以下福田): 弊社は、「肉汁餃子のダンダダン」という餃子居酒屋を運営しており、全国129店舗を展開しています。元々は調布で始まり、京王線沿線に店舗を展開していましたが、東京を中心に拡大し、現在は一都三県、関東圏を中心に展開しています。

今では、北海道から九州まで展開しており、2022年にようやく関西に出店をさせていただきました。

藤崎: 福田様はどのような業務を担当されているのでしょうか?

福田: 私は直営店と加盟店の運営管理を担当しており、主に営業を司る領域を担当しています。また、研修役を務めることもあり、教育の部分にも関わっています。

藤崎: ダンダダン様の記事も色々と拝見させていただく中で、DX推進に力を入れているとのことですが、どのようなDX化に注力されてきたのでしょうか?

福田: コロナ前までは、アナログの世界でやっていました。電話応対で予約を取ることや、モバイルの動線も確保していなかったんです。その中で、まずは従業員向けのものをDX化するために、自動発注を導入しました。

その後、アプリの開発やレジシステムの変更、予約システムの導入など、お客様向けのものもいくつか導入しています。

藤崎: お客様向けのDXを先に進められるところが多いイメージがあったのですが、最初に従業員向けに始められたのはなぜだったのでしょうか?

福田: 従業員向けのDX化を進めたのは、社風としてもあるのですが、生産性を上げるために、インフラを整えて従業員の生産性を向上させ、それをお客様に還元することを重視したからです。

その後に、外部からの導線の確保も考慮して、予約などのシステムの導入を進めました。

藤崎: なるほど。働き方改革や従業員の方の離職率を防ぐといったことも目的に、従業員向けに始められたのでしょうか?

福田: そうですね。店舗数が拡大していくに伴い、コミュニケーションが取りづらくなることが予想されました。そのような未来に対して、リアルタイムな情報共有を促進することが従業員の離職率を防ぐためにも必要だと考えました。

それはマネージャー層と現場のコミュニケーションだけでなく、現場同士でも店舗の状況を瞬時に共有できる仕組みを構築するにはどうしたら良いんだろうと考えたのがきっかけした。

藤崎: そういったDXツールを現場の運用にいかに落とし込むかといったところも難しいポイントだと思いますが、そのプロセスはどうされているのでしょうか?

福田: フローとしては、営業とは別にプロジェクト推進部があり、私の相棒のような役割を担っています。

主な役割は、テストの導入やKPIの設定、判断基準の設計などです。その過程でマニュアルを作成し、全店舗に展開しています。テストを実施する店舗の店長や従業員には指導役ではなく、質問役として参加してもらっています。

全店舗に展開する際には、エラーが発生することもありますが、私たちは負担を最小限に抑えることに注力しています。また、現場の営業推進を行う部署もあるので、そこで「DXを推進するためのツールを入れたときにお客様の体験がどう変わって、店舗の体験がどう変わるのか」というストーリーを作ってもらいます。

そのストーリーも踏まえて、このスケジュール感で進めようかと調整しながら少しずつ現場を巻き込んで推進していきます。

藤崎: なるほど、推進の仕方も運用として落とし込まれるレベルまで行なっているのですね。一方、DXツールを導入推進する際に、本部のやりたいことと店舗の意見が対立することもあると思います。その調整はどのようにされていますか?

福田: 本部と店舗が対立することはあまりありませんが、店舗の声を大切にしながら、本部で進めるようにしています。達成したい目標に近づくことができるならば、現場の意見に寄っていいと思っているんです。

ただ、導入後の管理体制については、現場によってやり方がいろいろ出てくるので、実際どう運用するかは別の話になってきます。そこで、管理の工数をどう調整するか、フローをどう変えたりするかという話になるんですね。本部側が、トランスフォームしてくるようなイメージです。

DXで重要なのは店づくりや接客オペレーションとのバランス

藤崎: DXツールの情報収集はどのように行っているのでしょうか?

福田: 弊社自体が比較的DXが進んでいると思っているので、他の似たようなサービスを入れている企業などと情報交換を少し行います。「このツールを入れているからこっちのツールも合いそうだよね」逆に「合わないかもね」というような連絡を取り合います。

例えば、弊社は現在モバイルオーダーを導入していません。他社にヒアリングしたところ、モバイルオーダーの目的は、たとえば人員不足の解消などに活用することが多いようでした。そのため、弊社の課題感とは少し異なるという判断材料にもなりました。

藤崎: なるほど。情報交換の場とは、イベントなどの飲食業界で横のつながりがある場所でしょうか?

福田: 創業者などはそういった場に参加していると思いますが、弊社の場合はDXに関するつながりで、他社が使用している同様のサービスを利用したいという場合に、ちょっと紹介してもらったり、ヒアリングに来たりすることがあります。

藤崎: 先ほどモバイルオーダーを導入していないとのことのお話もありましたが、それは検証をされたうえでの判断だったのでしょうか?

福田: そうですね、テスト導入まで行いましたが、現在は導入しない判断をしています。弊社では餃子の提供までのオペレーションを決めていて、その中でモバイルオーダーを導入するとお客様とのコミュニケーション上フィットしないのではないかと判断しました。店創りの中で、モバイルオーダーだけが浮いちゃう状況になってしまうと、従業員に浸透しないし、お客様もそれを求めていないのであれば、ニーズに合わないと考えました。

ただ、今後お客様がそういうのを求めてくるときがあるとは思います。インバウンド需要がこのまま続くことになれば、やはり多言語対応の問題があるので、モバイルオーダーが必要になってくると思いますが、現状では店づくりのオペレーションを優先しています。

藤崎: こういったDXツールをテスト導入してから本導入の有無の意思決定をするまでどのくらいの期間をかけるのですか?

福田: モバイルオーダー自体は1年ほどかかりました。コロナの流行などの外部要因もあり、結果が出る時期と出ない時期とで浮き沈みがあり、判断が難しい期間もありました。もちろん、導入しようとしているツールや時期によっても、期間にばらつきは出ますね。しかし、弊社では本格的に導入する前に、検証や意見交換をしっかり行うことで、最適なタイミングで導入することを目指しています。

藤崎: お聞きしていると、かなり設計して着々とDXを進められている感じがあるなと思ったのですが、DXの取り組みを進めていくにあたって躓(つまず)いたポイントなどありましたか?

福田: 店舗のオペレーションの中にDX推進を組み込むのは大変ですね。今で言うとアプリを作ってお客様に普及するというのはなかなか進捗しきらないなという印象です。お客様にアプリを渡して終わりではなく、その先のコミュニケーションまで取らないとお客様がメリットを見出しづらい設計なのかなと感じています。

ただ、そのコミュニケーションもお客様のプライバシーに関わる部分なので、そこの線引きが難しいです。それでも、基本的に全てのDXにおいて改善を繰り返して推進していくので、これから育てていかないとですね。

一方で、自動発注の導入は上手くいったかなと思っています。これは一つの業務課題だけでなく色々な問題の解決がまとめてできたので、とてもよかったですね。

従業員が快適に働ける環境を目指したDX推進

藤崎: テスト店舗でDXツールを導入し、全店舗に展開する判断はどのようにしているのでしょうか?

福田: 感覚的な話しにもなってしまいますが、導入によって3割効果が見えて残りの7割にも効果が出る期待値があればとりあえず展開を進めるという方法ですね。

例えば自動発注で言えば、まずは発注時間がどう軽減されたかを見ます。実際、発注時間自体が6分の1以下になったので、導入する動機にはなりますよね。

それだけ削減できたら、その時間を使ってほかの業務をやれますし、発注にかかっていたコストがなくなったらお客様にも還元できて、少しずつでも客単価に現れたり売り上げが伸びていくといったイメージができます。

推進を行っていくうちに、さらに倍以上の生産性が高まる期待値が見えたのが決め手でした。

藤崎: なるほど、成果が一定見えたタイミングで全店舗展開して、その後最適化をまたかけていく、といったプロセスなんですね。他にも色々なDXの取り組みをされているとおもいますが、何か特筆して数字が改善したようなプロジェクトってありますか?

福田: 一番インパクトがあったのはやっぱりレジを変えたことですね。例えばアプリもお客様に出したらレジの機能に反映する必要があるなど、進めるには一番重たいですし、金額もかかるので中々やりづらいところでもありますが、結局はレジに全て紐づくのでインパクトは出やすいですね。

以前はレジ締めの作業に1時間くらい取られていて、24時閉店なので終業が25時になってしまうのは当たり前でした。

ただ、それが今は1分で締め作業ができるようになったので、残業代・残業時間の削減に大きく貢献しました。

藤崎: 最後に、DX推進において今後取り組んでいきたいことを教えてください。

福田: 電話業務は改善したいなとは思っていました。

電話対応には人的コストがかかるため、タイムリーに対応することが難しかったり、「言った言わない」などの齟齬も生まれやすいです。相談や問い合わせに対して、お互いの理解が進まないことがあるため、この課題を解決したいと思っています。

また、営業外の大きな仕事である棚卸し作業があり、年中無休で営業しているため、1月1日にも行っています。このため、朝早くから集まって棚卸しをするのは大変であり、この課題を解決するために、在庫数を自動的にカウントし、発注するシステムを導入することが望ましいと考えています。まだ具体的に形になってはいませんが、今後はこの課題に取り組んでいきたいと思います。

藤崎: 従業員の方々が快適に働ける環境や体験を大切にされて、プロジェクトを進められている姿勢に感銘を受けました。

今後、採用が難しくなる状況になった場合でも、引き続き従業員の定着率や離職率が低下するような環境を作り続けていけると感じています。

あらためて福田様、ありがとうございました!

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IVRy編集部

(株式会社IVRy / IVRy編集部)

IVRy編集部です。電話に関する様々な情報をわかりやすく解説します。 【IVRyとは?】 IVRy(アイブリー)は1日100円から利用できる電話自動応答サービス(IVRシステム)です。自由な分岐設定と自動応答・SMS返信・電話の転送(リダイレクト)・録音機能を活用し、営業電話・顧客からの問い合わせ・注文・予約等の様々なシーンを自動化します。また、営業時間内と営業時間外でルールを変えることや、電話履歴の確認や顧客登録機能等、多数の便利な機能が存在しています。

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