CTIとは?コールセンターの業務効率を上げる機 能と選び方

CTIはコールセンターの電話業務を大幅に効率化するツールです。顧客情報の自動表示や通話の自動振り分けなど、顧客対応のスピードと正確さを高めます。
CTIを導入することにより、オペレーターの業務負担を軽減し、顧客満足度を向上させることが可能です。
この記事では、CTIの概要とメリット、導入するうえでの注意点を詳しく解説します。
1. コールセンターで利用されているCTIとは
まずは、コールセンターで利用されるCTIの概要と主な機能をご紹介します。
CTIの概要
CTI(Computer Telephony Integration)とは、電話やFAXをコンピュータと統合し、業務を効率化するシステムです。主にコールセンターやコンタクトセンター、オフィスで利用され、電話対応の自動化や顧客情報の管理をします。
CTIを導入すると、電話の着信と同時にCRMと連携して顧客データをコンピュータ上に表示でき、詳細情報や過去の通話履歴を踏まえた対応が実現します。電話の発信もシステムから自動で行えるため、オペレーターの作業負担が軽減するでしょう。
業務の効率化と顧客サービスの向上に寄与するCTIは、多くのコールセンターで導入されています。
主な機能
CTIの主な機能は以下のとおりです。
機能 | 概要 |
|---|---|
着信画面ポップアップ | 着信時にCRMなどの顧客データと連携して発信者情報を自動で表示し、スムーズな顧客対応を実現する。 |
自動ダイヤル | 顧客リスト(電話番号)に基づき、システムが自動的に発信する。 |
コールルーティング | 着信を最適なオペレーターに自動で振り分けることで、待ち時間を削減する。 |
通話録音 | 通話内容を記録し、トラブル解決やトレーニングに活用できる。 |
IVR(自動音声応答) | 自動音声による初期対応を行い、適切なオペレーターへ接続する。 |
CTIについては、以下の記事で詳しく解説しています。
2. CTIとPBX・CRMなど関連システムとの違い
コールセンターの運営には、CTI以外にもPBXやCRMといったシステムが重要な役割を担います。それぞれの役割を理解することで、CTIがシステム全体の中でどのように機能するのかをより深く把握できます。
システム | 役割の比喩 | 主な機能 |
|---|---|---|
PBX | 電話網の心臓部 | 内線・外線の通話を制御・交換する |
CTI | システム全体の頭脳 | 電話とコンピュータを連携させ、付加価値を与える |
CRM | 顧客情報の記憶装置 | 顧客情報や対応履歴を一元管理する |
PBXが電話回線を物理的に繋ぐ役割を果たすのに対し、CTIは「着信時にCRMから顧客情報を探し出してPC画面に表示する」といったように、情報処理を加えて電話業務を高度化します。これら3つのシステムが連携することで、はじめて効率的で質の高いコールセンター業務が実現します。
3. コールセンターにCTIを導入するメリット
コールセンターにCTIを導入するメリットは、主に以下の3つです。
- 業務効率化
- コスト削減
- 顧客満足度向上
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
業務効率化
コールセンターにCTIを導入することで、電話業務の効率化を実現できます。IVRによる自動振り分けで、オペレーターの対応時間を最適化できます。
また、顧客情報のポップアップ機能により、通話前に顧客情報を瞬時に確認できるため、対応スピードの向上も期待できます。
自動ダイヤル機能を利用すれば、アウトバウンド業務の効率が大幅に向上し、対応件数が増加するでしょう。
さらに、通話内容の自動記録や、CRMシステムとの連携により、事務作業の手間を減らし、オペレーターの負担を軽減できます。
このように、CTIのさまざまな機能を活用して業務を自動化することで、オペレーターはより複雑な対応に集中でき、生産性向上につながります。
コスト削減
CTIを導入すると、コールセンター業務の一部が自動化されます。オペレーターの手動作業を削減できるため、時間と手間を大幅に節約できます。
IVRや自動ダイヤル機能を活用することで、業務効率が向上し、人件費の最適化が可能です。
また、コールの自動振り分け機能により、適切なオペレーターに通話が割り振られれば、業務効率が向上し、通信コストも抑えられるでしょう 。
さらに、通話内容の記録や分析が容易となるため、教育や研修コストの削減にも寄与します。
顧客満足度向上
コールセンターへCTIを導入することにより、電話対応の待ち時間を短縮でき、顧客ストレスの軽減にもつながります。適切なスキルを持つオペレーターに素早く接続されるため、問題解決がスムーズに進みます。
また、過去の顧客情報を即座に参照できるため、顧客は同じ説明を繰り返す必要がありません。これにより、適切な対応と一貫したサービスが提供され、顧客満足度の向上につながります。
顧客の要望に合わせてパーソナライズされた対応が可能となり、顧客体験の質が向上する点もCTI導入の大きなメリットです。
CRMなど他システムとの連携メリット
CTIが真価を発揮するのは、CRMなどの他システムと連携したときです。連携によって生まれる具体的なメリットは以下の通りです。
- 顧客対応の効率化: CTIとCRMを連携させることで、着信時に顧客情報が自動でポップアップ表示されます。オペレーターは顧客が誰なのかを瞬時に把握でき、顧客情報を手動で検索する手間がなくなるため、スムーズな対応が可能になります。
- 電話業務の品質向上: CRMに蓄積された過去の購入履歴や問い合わせ内容を参照しながら対話できるため、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされた対応が実現します。これにより、顧客は同じ説明を繰り返す必要がなくなり、顧客満足度の向上につなが ります。
- 情報管理の簡易化と自動化: 通話が終了すると、その内容や応対履歴を自動でCRMに記録するよう設定できます。オペレーターの入力負担を軽減し、記録漏れやミスを防ぐことで、正確な情報管理を実現します。
4. CTIシステムの選び方と比較ポイント
自社に最適なCTIシステムを導入するためには、いくつかのポイントを比較検討することが重要です。導入で失敗しないために、以下の5つのポイントを確認しましょう。
- 利用目的・解決したい課題を明確にする
「顧客満足度を向上させたい」「オペレーターの作業負担を軽減したい」など、なぜCTIシステムを導入するのかという目的を具体的にリストアップし、どの機能が最も重要かを判断します。 - 提供形態(クラウドかオンプレミスか)
初期費用、運用コスト、拡張性、セキュリティ方針などを考慮し、自社の規模や方針に合った提供形態を選択します。 - 連携したいシステムとの相性
現在利用している、あるいは将来的に導入を検討しているCRMやSFA(営業支援システム)とスムーズに連携できるかは必ず確認すべき最重要ポイントです。 - セキュリティ対策
顧客情報という機密性の高いデータを取り扱うため、ベンダーがどのようなセキュリティ対策を講じているか(データの暗号化、アクセス制限、第三者認証の取得状況など)を必ず確認しましょう。 - 導入実績
自社と同じ業界や類似した課題を持つ企業での導入事例は、導入後の具体的な効果や活用方法をイメージするうえで非常に参考になります。
クラウド型とオンプレミス型を比較
CTIシステムの提供形態には、大きく分けて「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、自社の状況に合わせて選びましょう。
項目 | クラウド型 | オンプレミス型 |
|---|---|---|
初期費用 | 低い(数万円〜) | 高い(数百万円〜) |
導入期間 | 短い(最短即日〜) | 長い(数週間〜数ヶ月) |
運用・保守 | ベンダーに一任 | 自社で対応が必要 |
拡張性 | 高い(契約変更で容易に増減可) | 低い(機器の追加・変更が必要) |
カスタマイズ性 | 低い | 高い |
セキュリティ | ベンダー依存だが高水準 | 自社で自由に構築可能 |
近年では、初期費用を抑えられ、導入が早く、運用も簡単なクラウド型が主流となっています。
5. コールセンターにCTIを導入するうえでの注意点
コールセンターにCTIを導入する際は、以下の点に注意しましょう。
- セキュリティリスク
- 導入コスト
- 既存システムとの連携
各ポイントの詳細と、懸念点を払拭する方法をご紹介します。
セキュリティリスク
クラウド型のCTIシステムでは、顧客情報を外部のサーバーに保存するため、情報漏洩の発生に注意が必要です。
特に、外部システムと連携する場合、通信経路の暗号化が不十分だと第三者による不正アクセスのリスクが高まります。
オンプレミス型の場合でも、内部のセキュリティ対策が不十分な場合、内部からの情報漏洩が起こるリスクがあります。
セキュリティアップデートやパッチの適用を怠ると、脆弱性が残り、サイバー攻撃の対象とされやすくなります。
これらのリスクを減らすためには、セキュリティ対策が万全なCTIサービスを選ぶことが重要です。CTIを導入する前に、セキュリティポリシーを確認しておきましょう。
導入コスト
オンプレミス型のシステムでは、ハードウェアの購 入やインフラの設定が必要であるため、初期費用が大きくなる可能性があります。
この場合、クラウド型のシステムを選定することで、ハードウェアの購入やインフラの設定が不要となり、導入コストを大幅に削減できます。
また、スタッフへの教育やマニュアルの作成にかかる時間と費用も考慮しなければなりません。
システム導入に際し、社内のシステム利用者への教育をサポートしてもらえるか、マニュアルは整備されているかを確認しておきましょう。
既存システムとの連携
既存システムとCTIシステムの連携をスムーズに行えないと、データの一元管理ができず、業務効率が低下するおそれがあります。
特に、CRMやSFAなどの外部システムとCTIの連携は重要です。これらの自社システムと連携できない場合、手動でのデータ入力や管理が増え、コストや手間が増加してしまいます。
導入前に、既存のCRMやSFAとの互換性や連携可否を確認しておきましょう。
6. おすすめのCTIサービス
市場には多くのCTIサービスが存在しますが、ここでは代表的なサービスをいくつかご紹介します。
- Zendesk: 世界的に広く利用されているカスタマーサポートプラットフォームで、CTI機能も統合されています。他のチャネルからの問い合わせも一元管理したい場合に適しています。
- アイブリー(IVRy): 月額3,000円から利用できる電話自動応答(IVR)サービスです。中小企業や店舗など、スモールスタートで電話業務を効率化したい場合に特に強みを発揮します。
ここで挙げたのは一部の例です。自社の目的や予算、必要な機能などを洗い出したうえで、複数のサービスを比較検討することが重要です。
7. CTIの導入事例
実際にCTIを導入した企業が、どのように業務を改善したのかを見てみましょう。
- 事例1:トヨタレンタリース岡山
- 課題: 予約電話の取りこぼしによる機会損失が常態化。
- 解決策: IVR(電話自動応答)を導入し、重要な予約電話は有人で、定型的な用件は自動で対応する体制を構築。
- 成果: 応答率が90%近くまで改善し、機会損失の大幅な削減に成功。電話の混雑状況もデータで可視化され、人員配置の最適化にも繋がりました。
- 事例2:ベルフェイス株式会社
- 課題: 代表電話を担当者のスマートフォンへ転送していたため、特定社員に業務負荷が集中。
- 解決策: CTIとコミュニケーションツール(Slack)、AI要約機能を連携。
- 成果: 電話の通知とAIによる要約が同時にSlackへ届く仕組みを構築し、情報共有を迅速化。担当者が管理画面を開く手間なく、普段使うツール上で対応できるようになりました。
8. CTIに関するよくある質問
Q1. CTIとPBXの違いは何ですか?
A1. PBXは電話回線の交換・制御を行う「交換機」そのものです。一方、CTIはPBXとコンピュータを連携させ、顧客情報の表示などを行う「システム」です。PBXが心臓部、CTIが頭脳とイメージすると分かりやすいでしょう。
Q2. CTIとCRMの違いは何ですか?
A2. CRMは顧客情報を管理・蓄積するための「データベース」です。CTIはそのCRMに蓄積された情報を、電話業務と結びつけて活用するための「連携ツール」です。
Q3. クラウド型とオンプレミス型はどちらが良いですか?
A3. 近年では、初期費用が安く、導入が早く、運用も簡単な「クラウド型」が主流です。ただし、高度なカスタマイズや自社のセキュリティポリシーを厳密に適用したい場合は「オンプレミス型」が選択肢となります。自社の規模や予算、求める要件によって最適な形態は異なります。
この記事では、コールセンターにおけるCTIの役割や活用するメリットを紹介しました。
CTI(Computer Telephony Integration)は、コールセンター業務を効率化し、顧客満足度を向上させるために欠かせないツールです。
顧客情報の自動表示や通話の自動振り分け機能により、オペレーターの負担を軽減しつつ、迅速で正確な対応が可能となります。
ただし、セキュリティリスクや導入コスト、既存システムとの連携可否については注意が必要です。CTI導入時はこれらのポイントを考慮し、適切なシステムの選定と準備しましょう。
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