IP-PBXとは?機能やコスト、比較情報を網羅的に解説
IP-PBX(Internet Protocol Private Branch Exchange)は、スマートフォン、タブレット、パソコンなど複数の端末とネットワーク接続し、内線・外線などの制御を行う装置です。特に、複数拠点を持ち、セキュリティや通話の安定性を重視する中規模企業にとって最適な電話システムです。本記事では、IP-PBXの概要やメリット、注意点、クラウドPBXやビジネスフォンとの違いについて解説します。
- 1.IP-PBXとは
- IP-PBXの概要と仕組み|社内LANを使って外線・内線や保留などを制御する装置
- ハードウェアタイプとソフトウェアタイプ
- IP-PBXのメリット
- IP-PBXのデメリット・注意点
- IP-PBXの導入コスト
- 2.【比較表付き】IP-PBXとクラウドPBX・ビジネスフォンの違い
- クラウドPBXとは
- ビジネスフォンとは
- IP-PBXとクラウドPBX・ビジネスフォンを 比較
- IP-PBXの導入が向いている企業
- ビジネスフォンの導入を検討中なら「IVRy」がおすすめ
1.IP-PBXとは
IP-PBXとは、社内LANやインターネットに接続して、オフィスの電話を利用する装置・システムです。はじめに、IP-PBXの概要と仕組み、メリット、注意点、導入費用について解説します。
IP-PBXの概要と仕組み|社内LANを使って外線・内線や保留などを制御する装置
IP-PBXは、社内LANと同じ通信方式で電話通信を実現する装置です。たとえば外線を利用する場合、電話機とIP-PBX間は社内LANで接続し、その後IP-PBXがインターネットや電話会社のネットワークに接続して社外との電話を実現します。
従来のPBXでは電話用のケーブルや電話端末が必要でしたが、IP-PBXでは既存の社内LANを活用できます。また、電話機だけではなく、パソコンやスマートフォンなどの端末も内線機器として利用可能です。
ほかにもIP-PBXは、ビジネスで必要となる、以下のような電話機能を備えています。
- 複数の代表番号での発信・着信
- 転送・パーク保留
- 会話録音
ハードウェアタイプとソフトウェアタイプ
IP-PBXには、ハードウェアタイプとソフトウェアタイプがあります。ハードウェアタイプは専用機器を設置して利用するため安定した接続が可能で、高いセキュリティを維持できます。
一方、専用のソフトウェアを自社サーバーにインストールして利用するソフトウェアタイプは、既存の資産や設備を有効活用しやすい点が特徴です。IP-PBXはNECなどの電機メーカーや、NTTなどの通信キャリアが提供しています。
IP-PBXのメリット
主なメリット
- 社内LANを活用して配線を減らせる
- 複数拠点を内線で接続可能
- インターネット経由でスマホも内線化できる
- 通信品質や安定性を自社でコントロールできる
IP-PBXでは、パソコンやファイルサーバー、プリンタなど社内LANの配線をそのまま使えます。各席まで配線されているLANケーブルに接続して設定するだけで、IP電話端末を利用可能です。
また、インターネットを経由してIP-PBXと接続することで、他拠点の電話端末やスマートフォンも内線化できます。たとえば、在宅勤務中の社員のスマホに内線で電話したり、代表電話にかかってきた問い合わせを外出中の社員に転送したりすることもできます。
IP-PBXのデメリット・注意点
主なデメリット
- 初期費用がかかる
- 自社拠点でのメンテナンスが必要
- トライアル利用や柔軟な拡張がしづらい
IP-PBXを導入する際は、初期費用が高額となる傾向があります。特にハードウェアタイプの場合、専用機器の購入と設置工事に多くの費用がかかります。ソフトウェアタイプであっても、インストールするためのサーバーの用意が必要です。
また、IP-PBXのメンテナンスは基本的に自社で行わなければなりません。さらに、物理的な機器が必要となるため、お試しでの利用が難しいほか、クラウド上で電話機能を提供するクラウドPBXに比べて拡張性が劣るデメリットもあります。
IP-PBXのデメリットを解消するには、リース契約で月払いとする、メンテナンスは委託契約するといった対策が有効です。また、拡張性を重視するのであれば、クラウドPBXの利用も検討しましょう。
IP-PBXの導入コスト
IP-PBXを導入するには、以下の費用が必要です。
- IP-PBX本体の購入費用(数十万~数百万円)
- 設置工事費用(数万~数十万円)
- 電話端末の導入費用(1台あたり数万円~)
2.【比較表付き】IP-PBXとクラウドPBX・ビジネスフォンの違い
PBXには、IP-PBX以外にもクラウドPBXやビジネスフォンといった種類があります。
クラウドPBXとは
クラウドPBXとは、クラウド上にPBXを設置し、インターネット経由で接続して利用する電話システムです。社内に電話端末とインターネット環境があれば、簡単に利用を開始できます。機器購入費などの初期費用を抑えられるほか、企業の規模や状況に応じて柔軟に拡張できる点がメリットです。一方で、月額利用料は利用規模に応じて変動し、セキュリティや通話品質は事業者によって異なるため、事前の確認が必要です。
参考:クラウドPBXとは?電話DX実現のヒントとなる特徴やメリットなどを解説!
ビジネスフォンとは
ビジネスフォンは、小中規模の事業者向けの電話システムです。オフィスが一つのみで電話端末も少ない場合は、最も安価で手軽に利用できます。一方で、拠点追加や従業員増加、電話機能の充実といった拡張が難しいため、ビジネス拡大を狙う会社には適していません。
参考:ビジネスフォンとは?基本知識からクラウド型まで徹底解説
IP-PBXとクラウドPBX・ビジネスフォンを比較
以下の表では、IP-PBX、クラウドPBX、ビジネスフォンをオフィスの規模や電話機能、コストの観点で比較しました。中規模以上の企業であれば、IP-PBXやクラウドPBXが適しています。コストや拡張性、安定性など、自社が求める要件にマッチした方式を選びましょう。
IP-PBX | クラウドPBX | ビジネスフォン (オンプレミス型の主装置) | |
---|---|---|---|
電話端末数 | 50台以上~ | 数台〜数千台以上 | 数十台程度まで |
オフィスの拠点数 | 複数拠点 | 複数拠点 | 単独拠点 |
複数の外線電話の着信や発信の制御 | 〇 | 〇 | 〇 |
社内での内線電話 | 〇 | 〇 | 〇 |
パーク保留や転送 | 〇 | 〇 | 〇 |
録音・留守電 | 〇 | 〇 | 〇 |
拠点間やスマホとの内線電話 | 〇 | 〇 | × |
パソコンとの連携、会話録音 | 〇 | 〇 | × |
通話品質・安定性・セキュリティ | ◎ 自社でコントロールできる | 〇 クラウド事業者やインターネットの品質に依存する | ◎ 自社でコントロールできる |
端末数や拠点の追加の拡張性 | 〇 可能だが機器追加などに手間やコストがかかる | ◎ 申し込みすれば即拡張できる | △ 大規模な拡張には制約がある |
初期費用 | × 機器購入費用や工事費用などが高額 | ◎ 月額サービス利用料のみで利用を開始できる | 〇 IP-PBXと比較すると安価に機器購入・工事が可能 |
運用費用 | 〇 機器の保守費や電気代のみで運用できる | △ 月額利用料は利用規模に応じて変動するため、運用コストを考慮する必要がある | ◎ 機器の保守費や電気代のみで運用できる |
IP-PBXの導入が向いている企業
IP-PBXは、以下のような特徴や意向を持つ企業に最適なソリューションです。自社に当てはまるかどうかチェックしてみてください。
- 複数の拠点を持っている
- 電話に重要なビジネス要素があり、安定性やセキュリティを重視する
(電話で注文を受け付ける、重要な顧客から電話での問い合わせが多い など) - DXを推進するための特別な限定予算がある
- LAN配線や社内サーバーなどの既存資産があり、自社に運用保守を担当できる部門がある
IP-PBXは、社内LANやインターネットに接続し、電話機能を利用する装置・仕組みです。社外にあるパソコンやスマートフォンも内線化できます。電話システムの更改や新規導入の際には、DXの取り組みの一つとしてIP-PBXを積極的に活用しましょう。
ただし、IP-PBXには高額な機器購入費用がかかる、自社での管理・運用が必要となるといったデメリットもあります。初期費用を抑えて電話業務を効率化したい場合は、クラウドPBXの利用も検討してみましょう。
ビジネスフォンの導入を検討中なら「IVRy」がおすすめ
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クラウドPBXよりも手軽に導入できるため、海外に拠点を持つ企業におすすめの選択肢です。