【図解】クラウドPBXの仕組みとは?従来型との違いから導入の注意点まで

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企業の電話環境を刷新する技術として注目される「クラウドPBX」。しかし、「便利そうだが、どのよ��うな仕組みで動いているのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。本記事では、クラウドPBXの基本的な仕組みから従来のPBXとの違い、導入のメリット、そして選定時の注意点まで、図を交えながら網羅的に解説します。

企業の電話環境を刷新する技術として注目される「クラウドPBX」。しかし、「便利そうだが、どのような仕組みで動いているのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。

本記事では、クラウドPBXの基本的な仕組みから従来のPBXとの違い、導入のメリット、そして選定時の注意点まで、図を交えながら網羅的に解説します。

クラウドPBXとは?PBXの基本的な役割からおさらい

クラウドPBXを理解するには、まず土台となるPBX(電話交換機)の役割から知る必要があります。PBXは、企業の円滑な電話対応に不可欠なシステムです。

PBX(構内交換機)の3つの主な役割

PBX(Private Branch Exchange)とは、企業内に設置される私設の電話交換ネットワークです。その主な役割は、オフィスの電話に関する「司令塔」として機能することにあります。

  • 外線の発着信制御 会社の代表番号にかかってきた電話を、適切な部署や担当者の電話機に振り分けます。
  • 内線同士の無料通話 同じオフィスや拠点内にいる従業員同士を内線でつなぎ、無料でのコミュニケーションを可能にします。
  • 転送機能 受けた電話を、別の内線や社外の電話番号へスムーズに取り次ぐ機能です。

これらの機能により、企業は限られた電話回線を効率的に利用し、円滑な電話対応を実現しています。

【図解】クラウドPBXの仕組みをわかりやすく解説

次に、本題であるクラウドPBXの仕組みを解説します。従来のPBXと比較すると、その特徴がより明確になります。物理的な機器の有無と、インターネット回線を利用する点が大きな相違点です。

従来のオンプレミス型PBXの仕組み

従来型のPBXは、「オンプレミス(自社運用)型」と呼ばれています。

オフィス内に物理的な機器を設置し、そこから各電話機へと電話線を配線して電話網を構築します。外線との接続には従来の電話回線が使われます。

自社内に閉じたネットワークを構築するため安定した通話品質を確保しやすい反面、導入時の大規模な工事や、老朽化した際の機器交換が必要になるという側面もあります。

クラウドPBXの仕組み

一方、クラウドPBXはPBXの機能をベンダーがクラウド上のサーバーで提供するサービスです。

オフィス内に物理的な機器を設置する必要はなく、利用者はインターネット回線を通じてクラウド上のPBX機能にアクセスします。

パソコンやスマートフォンに専用アプリをインストールしたり、IP電話機をLANケーブルでインターネットに接続したりするだけで、会社の電話として利用できます。物理的な場所に縛られず、オフィスの移転やレイアウト変更、テレワークにも柔軟に対応できるのが最大の利点です。

クラウドPBXのメリット5選|仕組みの違いが生み出す利点

クラウドPBXの仕組みは、企業に多くの利点をもたらします。コスト削減から多様な働き方の実現まで、仕組みの違いが生み出す具体的なメリットを5つ紹介します。

1. 導入・運用コストの削減

クラウドPBXは機器の購入や設置工事が不要なため、導入時にかかる初期費用を大幅に削減できます。

また、システムの保守やメンテナンスはベンダーが行うため、専門知識を持つ担当者を社内に置く必要がなく、運用にかかる人的コストも抑えられます。

2. 場所を選ばない柔軟な電話環境の構築

インターネット環境さえあれば、国内外どこにいても会社の電話番号で発着信が可能です。

従業員のスマートフォンを内線化できるため、テレワーク中の自宅や外出先でもオフィスにいるのと同様に電話対応が可能です。これにより多様な働き方を推進し、優秀な人材の確保にも繋がるでしょう。

3. 拡張性・柔軟性の高さ

事業の成長に合わせ、電話機の台数(ID数)を柔軟に変更できる点も大きなメリットです。

Web上の管理画面から簡単な操作でIDの追加や削除ができるため、従業員の入退社や組織変更にも迅速に対応できます。オンプレミス型のように、物理的な工事や設定変更の手間はかかりません。

4. BCP(事業継続計画)対策の強化

PBX機能が物理的なオフィスから独立したクラウド上にあるため、災害時における事業継続性の向上にも貢献します。

万が一オフィスが地震や水害などの被害を受けても、電話システム自体への影響は最小限に抑えられます。従業員が自宅など安全な場所から電話対応を継続できるため、顧客とのコミュニケーションを維持し、事業の早期復旧を図ることが可能です。

5. 外部システムとの連携による業務効率化

多くのクラウドPBXは、API連携などを通じて外部のクラウドサービスと柔軟に連携できる点が強みです。

例えばCRM(顧客管理システム)と連携すれば、着信時にパソコンの画面に顧客情報を自動で表示させることができます。担当者以外が電話に出てもスムーズな顧客対応が可能となり、業務効率と顧客満足度の向上に大きく貢献します。

クラウドPBXのデメリットと対策

多くのメリットがあるクラウドPBXですが、導入後に後悔しないために注意すべき点も理解しておく必要があります。ここでは、主なデメリットとその対策を解説します。

1. 音声品質がインターネット環境に依存する

クラウドPBXの通話品質は、利用するインターネット回線の品質に大きく依存します。

回線が不安定な場合、音声が途切れたりノイズが入ったりする可能性があります。

対策:安定した通信が可能な法人向けの光回線サービスを利用するのが望ましいでしょう。また、他のデータ通信の影響を受けないよう、音声データを優先的に処理する「QoS」機能に対応したルーターの導入も有効です。

2. 停電時に利用できない可能性がある

IP電話機やルーターなど、クラウドPBXの利用に必要な機器は電源供給を必要とします。そのためオフィスが停電するとこれらの機器が使えなくなり、電話の発着信ができなくなる可能性があります。

対策:UPS(無停電電源装置)を導入し、短時間の停電に備えるのが有効です。また、スマートフォンアプリを併用すれば停電時でも携帯電話回線を使って会社の電話番号で対応できます。

3. 月額費用が継続的に発生する

クラウドPBXは初期費用を抑えられる反面、サービス利用料として月額費用が継続的に発生します。

利用するID数や機能によって料金は変動するため、長期的な視点でのコスト管理が求められます。

対策:導入前に自社の利用規模や必要な機能を洗い出し、複数のサービスを比較検討することが重要です。長期的な総所有コスト(TCO)を算出し、費用対効果を慎重に見極めましょう。

失敗しない!クラウドPBX導入・選定時の比較ポイント4つ

自社に最適なクラウドPBXを選ぶためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。ここでは、特に確認すべき4つの比較ポイントを解説します。

1. 音声品質の安定性

ビジネスの生命線である電話の品質は、最も重視すべきポイントです。

ベンダーがどのような通信網を基盤としてサービスを提供しているか、また音声品質を保証する制度(SLA)があるかを確認しましょう。

多くのサービスで無料トライアルが提供されているため、実際の利用環境で複数の従業員が同時に通話し、品質に問題がないかを事前にテストすることが不可欠です。

2. セキュリティ対策

インターネット経由で利用するクラウドPBXは、不正アクセスや盗聴などのセキュリティリスク対策が万全でなければなりません。

通話内容が暗号化(SRTP/TLS)されているか、管理画面へのアクセス制限(IPアドレス制限など)が可能かなど、ベンダーが提供するセキュリティ機能を確認しましょう。

情報セキュリティに関する第三者認証(ISO/IEC 27001、27017など)を取得しているかも、信頼できるベンダーを見極める上での重要な指標です。

3. 必要な機能の有無

自社の業務に必要な機能が、標準で提供されているか、あるいはオプションとして利用可能かを確認します。

例えば、全通話を録音したい、複雑なIVR(自動音声応答)を組みたいといった要望がある場合、それに対応できるサービスを選ぶ必要があります。

将来的に必要になる可能性のある機能も見越して、拡張性の高いサービスを選定することが長期的な成功の鍵となります。

4. サポート体制の充実度

万が一のトラブル発生時に、迅速かつ的確なサポートを受けられるかは非常に重要です。

サポートの対応時間(24時間365日か、平日日中のみか)や問い合わせ方法(電話、メール、チャットなど)を確認しましょう。

また、導入時の初期設定サポートや導入後の運用に関する相談に対応してくれるかなど、サポートの範囲も事前にチェックしておくと安心です。

クラウドPBX導入後の運用で注意すべきこと

クラウドPBXは導入して終わりではありません。安定した運用を継続するために、導入後に注意すべき点を2つ解説します。

障害発生時の切り分け

「電話が繋がらない」「音声が途切れる」といったトラブルが発生した場合、原因が自社のネットワーク環境にあるのか、クラウドPBXサービス側にあるのかを切り分ける必要があります。

多くのベンダーは、サービスの稼働状況を公開するステータスページを用意しています。トラブル発生時はまずそこを確認し、ベンダー側に障害情報がなければ、自社のルーターやLANケーブル、インターネット回線の状況を確認するといった手順を事前に決めておくとスムーズです。

定期的な利用状況の棚卸し

クラウドPBXは手軽にIDを追加できますが、退職した従業員のIDが削除されずに残っているケースが散見されます。

不要なIDは無駄なコストに直結するため、定期的に利用状況を確認し、不要なIDを削除する「棚卸し」を行いましょう。また、事業内容の変化に応じて契約プランが現状に合っているかを見直すことも、コストの最適化に繋がります。

クラウドPBXの導入を検討中なら「アイブリー」がおすすめ

アイブリー」は、IVRを活用したクラウド型の電話自動応答サービスです。電話の着信時に自動音声ガイダンスが応答し、用件に応じて音声案内や転送を自動的に行います。日本語、英語、中国語、韓国語に対応しているため、海外拠点での利用にもおすすめです。

アイブリー」の導入により、簡単な問い合わせは自動回答できるため、電話対応件数を大幅に削減できます。さらに、迷惑電話対策や顧客管理機能、AIによる文字起こしなど、電話業務を便利にする機能が豊富にあり、月額2,980円~という低コストで利用可能。

クラウドPBXよりも手軽に導入できるため、海外に拠点を持つ企業におすすめの選択肢です。

アイブリー第2編集部のプロフィール画像

アイブリー第2編集部

(株式会社IVRy / アイブリー第2編集部)

アイブリー編集部です。電話に関する様々な情報をわかりやすく解説します。 【アイブリーとは?】 アイブリーは1日100円から利用できる電話自動応答サービス(IVRシステム)です。自由な分岐設定と自動応答・SMS返信・電話の転送(リダイレクト)・録音機能を活用し、営業電話・顧客からの問い合わせ・注文・予約等の様々なシーンを自動化します。また、営業時間内と営業時間外でルールを変えることや、電話履歴の確認や顧客登録機能等、多数の便利な機能が存在しています。

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