固定電話の通話を録音する方法3選!目的別の選び方や法的な注意点も解説

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オフィスの固定電話にかかってきた通話を録音する3つの方法を、ITツールに不慣れな方にも分かりやすく解説します。後付けできる録音機からクラウド型のサービスまで、それぞれのメリット・デメリットや費用の比較、選び方のポイントも。通話録音の違法性やアナウンスの必要性など、よくある質問にもお答えします。

固定電話で通話録音をすると、防犯対策やメモとして利用できるなど、さまざまなメリットを得られます。一方で、固定電話に通話録音機能を追加する方法が分からないという声もよく聞かれます。通話を録音するには複数の方法があります。

本記事では、固定電話で通話録音する4つの方法を詳しく解説します。

1. 固定電話で通話を録音する4つの方法

固定電話で通話を録音する方法は、主に以下の4つです。

  • 固定電話の録音機能
  • 録音装置の設置
  • CTIの活用
  • クラウドPBXの活用

固定電話の録音機能

もっとも手軽かつ安価に利用できるのが、固定電話の録音機能を活用する方法です。多くの固定電話には通話録音機能が標準搭載されているため、新たに機器を用意する必要がありません。

ただし、録音機能には制限があるため、事前に確認が必要です。具体的には、録音可能な通話件数が限られている場合が多く、長期間の録音データ保存には向きません。また、録音データの確認や操作には電話機本体が必要であるため、利便性の面ではやや劣ります。

通話録音を頻繁には行わない個人利用や、短期間で必要な録音を管理する中小規模のビジネスには適しているでしょう。

詳しくは関連記事の「ビジネスフォンに録音機能を追加する3つの方法」をご覧ください。

録音装置の設置

固定電話に専用の録音装置を接続する方法は、多数の通話録音を行いたい場合に適しています。録音データは、SDカードや内蔵メモリに保存する形式が一般的です。また、録音装置にはさまざまな種類があるため、利用シーンや目的に応じて選択しましょう。

例えば、いたずら電話や詐欺電話への対策も兼ねたい場合には、録音されていることをアナウンスする防犯機能付きの通話録音装置を選ぶとよいでしょう。低コストで利用したい場合はICレコーダーの活用も選択肢の一つですが、手動での操作が必要となる点に注意してください。

CTIシステムの活用

CTI(Computer Telephony Integration)システムとは、電話とコンピューターを統合するシステムのことです。多くのCTIでは高度な通話録音の機能が搭載されています。

例えば、録音データを通話日時、顧客情報、オペレーター名などと紐付けて保存する、AIと連携してテキスト化して録音データとともに保存することもできます。録音データは、指定されたストレージ(サーバー)もしくはクラウドに保存されます。

クラウドPBXの活用

クラウドPBX(Private Branch Exchange)は、電話の通話線をつなぎ替える交換機(PBX)の機能を、クラウド上で提供するシステムです。物理的な機器を設置する必要がないため、初期費用を抑えて短期間で導入できるメリットがあります。

通話録音機能のほか、IVR(自動音声応答)や時間外アナウンス、WEB電話帳といった便利な機能を備えている点が特徴です。

録音機能では、全通話の自動録音が可能で、録音データはクラウド上に保存されるため、検索や共有が容易となり、業務フローの改善にも寄与するでしょう。

また、クラウドPBXは、固定電話だけではなく、スマートフォンやPCなど多様な端末に対応しており、リモートワーク環境でも録音できます。

2. 録音方法の比較表

固定電話の録音方法について、表形式でまとめました。比較する際にご活用下さい。

録音方法

特徴

メリット

デメリット

固定電話の録音機能の活用

録音機能が標準搭載された電話機を利用

  • 機器の購入不要
  • 操作が簡単
  • 録音件数が限られる
  • データの共有が容易にできない

録音装置の設置

録音装置やICレコーダーを電話機に接続して利用

  • 手軽に導入可能
  • 複数の録音機器から選べる
  • 機器の購入コストが発生
  • 機器接続や操作が必要
  • データの共有が容易にできない

CTIシステムを活用

CTIサービスと契約して利用

  • 録音データの活用幅が広い
  • CTIにもよるが、導入コストや月額コストが高くなる場合がある
  • システム選定や導入に時間がかかる
  • 固定電話機によっては、そのまま利用できない場合がある( VoIPアダプターやSIPゲートウェイの導入が必要)

クラウドPBXを利用

クラウドPBXサービスと契約して利用

  • 初期コストをおさえて導入できる
  • IP電話機やスマートフォン、PCなど端末を問わず利用できる
  • 録音データの活用幅が広い
  • 固定電話機によっては、そのまま利用できない場合がある( VoIPアダプターやSIPゲートウェイの導入が必要)

目的・課題別の選び方

通話録音を導入する目的は、人によってさまざまです。ここでは代表的な3つの目的に分け、それぞれに最適な録音方法を紹介します。

コンプライアンス強化・応対品質向上が目的の場合

コールセンターなど、顧客対応の品質が事業の根幹をなす場合は、CTIシステムやクラウドPBXの導入が推奨されます。 これらのシステムは、単に会話を録音するだけでなく、録音データを顧客情報と紐づけて管理したり、AIを活用して音声データをテキスト化・分析したりと、高度な機能を備えています。

オペレーターの教育や応対内容の評価に活用することで、組織全体のサービス品質向上に繋がります。重要な会話を確実に記録・管理できるため、コンプライアンス遵守の観点からも有効な手段です。

ビジネスでの「言った言わない」問題の防止が目的の場合

取引先との「言った言わない」といったトラブルを防止したり、通話内容をメモ代わりに利用したりする場合は、後付けの通話録音機(自動録音タイプ)やクラウドPBXが適しています。

これらの方法は、かかってきた電話をすべて自動で録音できるため、録り逃しの心配がありません。特にクラウドPBXは、録音データがクラウド上に保存されるため、関係者間での共有や確認が容易に行えるというメリットがあります。

個人の防犯対策(迷惑電話・詐欺防止)が目的の場合

個人宅での迷惑電話や詐G宅での迷惑電話や詐欺電話への対策としては、固定電話本体の録音機能や、警告アナウンス機能付きの後付け通話録音機が有効です。

多くの固定電話には、特別な機器を追加することなく利用できる録音機能が備わっています。また、電話回線に接続するタイプの録音機には、着信時に「この通話は防犯のために録音されています」といった警告メッセージを自動で流すものがあり、犯罪の抑止効果が期待できます。どちらも比較的低コストで導入できるのが魅力です。

通話録音の費用比較

通話録音の導入にかかる費用は、選ぶ方法によって大きく異なります。ここでは「初期費用」と「月額費用・ランニングコスト」に分けて、それぞれの相場を解説します。

録音方法

初期費用

月額費用・ランニングコスト

固定電話の録音機能

なし(電話機代金に含まれる)

なし

録音装置の設置

5,000円~30,000円程度

なし

CTIシステムの活用

数十万円~数百万円

1ユーザーあたり数千円~数万円

クラウドPBXの活用

0円~50,000円程度

1ユーザーあたり1,000円~5,000円程度

初期費用

手軽に始められるのは、追加費用のかからない「固定電話の録音機能」です。 「録音装置の設置」も機器の購入費のみで済みますが、高機能なものほど価格は上がります。

一方、CTIシステムはサーバー設置などが必要になる場合、初期費用が高額になる傾向があります。クラウドPBXは、物理的な機器が不要なため、多くのサービスが初期費用0円から利用可能です。

月額費用・ランニングコスト

「固定電話の録音機能」と「録音装置の設置」は、月額費用がかからない点が大きなメリットです。

CTIシステムやクラウドPBXは、利用する機能やユーザー数に応じて月額料金が発生します。ただし、クラウドPBXは通話録音以外にもビジネスに役立つ豊富な機能を備えており、コストパフォーマンスに優れた選択肢と言えるでしょう。

3. 固定電話の通話録音はクラウドPBXがおすすめ

固定電話の通話録音は、クラウドPBXの活用がおすすめです。その理由と、通話録音以外のメリットを紹介します。

通話録音にクラウドPBXがおすすめの理由

通話録音にクラウドPBXがおすすめの理由は、以下の3つです。

  • 初期費用を抑えられる
  • 導入が容易かつ短期間で利用可能
  • 録音データの管理が容易

初期費用を抑えられる

クラウドPBXは物理的な機器(オンプレミス型PBX)を設置する必要がなく、インターネット上で利用できるため、導入費用を大幅に抑えられます。特に中小企業やスタートアップにとって、コスト面の負担が軽減される点は大きなメリットです。

導入が容易かつ短期間で利用可能

クラウドPBXはインターネット環境があればすぐに導入できるため、短期間で運用を開始できます。大規模な設備工事や長期間の準備期間が不要で、急な導入ニーズにも対応可能です。

録音データの管理が容易

クラウドPBXには通話録音機能が標準またはオプションで搭載されています。録音データはクラウド上に保存されるため検索や再生、共有が容易で、データを管理しやすい点も魅力です。

その他機能面でもメリットが豊富

クラウドPBXには、通話録音の利用以外にも、以下のようなメリットがあります。

  • 柔軟な対応端末
  • 豊富な機能
  • クラウドの利便性
  • 高度なセキュリティ

柔軟な対応端末

クラウドPBXでは、固定電話だけではなく、スマートフォンやPCなど複数のデバイスで通話が可能です。これにより、リモートワーク環境でも同じ録音機能を利用でき、働き方の柔軟性を高められます。

豊富な機能

クラウドPBXはビジネスに役立つ以下のような機能を備えており、業務効率化に貢献します。

  • IVR(自動応答機能):電話の着信時に音声案内を流し、選択肢(例:「1を押して営業部へ」)を提示し、選ばれた番号の部署に接続する
  • 自動転送:設定されたルールに従い、着信内容にそって自動転送する
  • 迷惑電話対策:ブラックリストやフィルタリング機能により迷惑電話を防止
  • 顧客情報との連携:CRMなどほかのシステムと連動可能

他にもさまざまな機能があります。詳しくは以下の記事をご覧下さい。

参考:PBXの機能一覧!導入方法や選び方を解説

高度なセキュリティ

クラウドPBXでは、録音データの暗号化など、高度なセキュリティ対策が講じられているのが一般的です。基本的に、録音データは暗号化されたうえで保存されます。これにより、録音データの漏洩リスクが低減され、安心して利用できます。

クラウドPBXのセキュリティについては以下の記事で詳しく解説しています。

参考:クラウドPBXのセキュリティは安全?選定ポイントや対策の勘所を解説

通話録音の法的な注意点

通話の録音を検討する際、法律的な問題がないか気になる方もいるでしょう。ここでは、通話録音の違法性と、相手へのアナウンスの必要性について解説します。

違法性について

当事者の一方が、相手の同意を得ずに通話を録音する行為(当事者録音)は、直ちに違法とはなりません。 日本の法律には、当事者録音を直接禁止する規定はないためです。

ただし、注意すべき点もあります。録音した音声データを、本人の同意なく第三者に公開したり、不正な目的で利用したりした場合は、プライバシーの侵害や名誉毀損に問われる可能性があります。 録音データの取り扱いには十分な注意が必要です。

アナウンスの必要性

法律上、通話を録音する際に相手へその旨を伝える義務はありません。しかし、特にビジネスシーンにおいては、顧客との信頼関係を維持し、無用なトラブルを避けるために、事前にアナウンスを流すのが一般的です。

「この通話は応対品質向上のために録音させていただきます」といったアナウンスは、個人情報保護の観点からも推奨されます。

よくある質問

最後に、固定電話の通話録音に関してよく寄せられる質問とその回答を紹介します。

録音データの保存期間は?

保存期間は録音方法によって異なります。固定電話本体や一般的な録音機の場合、内蔵メモリやSDカードの容量に依存し、容量がいっぱいになると古いデータから上書き消去される製品が多いです。

一方、クラウドPBXの場合は、契約するプランによって保存容量や期間が定められています。サービスによっては、長期間のデータ保存も可能です。

スマホへの通知機能はある?

クラウドPBXサービスの中には、着信や録音完了をスマートフォンの専用アプリへ通知する機能を備えたものがあります。

後付けの録音機単体でスマートフォンへの通知機能を持つ製品は稀ですが、Wi-Fiに対応したモデルであれば、他の機器やサービスと連携できる可能性もあります。

固定電話で通話録音を行う方法には「録音機能の活用」「録音装置の設置」「CTIシステムの活用」「クラウドPBXの利用」の4つがあります。なかでもクラウドPBXは、低コストかつ短期間で導入できるうえ、録音データのクラウド保存や柔軟な端末対応なども可能で、利便性に優れたシステムです。

固定電話での録音方法を検討している方は、クラウドPBXの導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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アイブリー編集部

(株式会社IVRy / アイブリー編集部)

アイブリー編集部です。電話に関する様々な情報をわかりやすく解説します。 【アイブリーとは?】 アイブリーは月額 3,317円(※1)から利用できるAI・IVR電話自動応答サービスです。AIが設定をサポートし、営業電話・顧客からの問い合わせ・注文・予約等の様々なシーンを自動化します。最短1分で利用開始でき、30着電まで無料でお試しいただけます。 ※1: 年払いの場合/電話番号維持費除きます

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