カスタマーハラスメント(カスハラ)とは ?事例と対策を詳しく解説
近年、カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)の増加が深刻な社会問題となっています。東京都では全国初のカスハラ防止条例が成立し、2025年4月に施行予定です。また、サービス業従事者の64.5%が過去1年間にカスハラを経験しているというデータもあり、企業各社が対策に乗り出しています。本記事では、カスハラの定義、具体例、企業の対策事例や法整備の最新動向について詳しく解説します。
- カスハラ(カスタマーハラスメント)とは?
- カスハラとクレームの違い
- カスハラを取り締まる法律はあるのか?
- 傷害罪
- 暴行罪
- 脅迫罪
- 恐喝罪
- 未遂罪
- 強要罪
- 名誉毀損罪
- 侮辱罪
- 信用毀損及び業務妨害罪
- 威力業務妨害罪
- 不退去罪
- 企業がカスハラ対策を行う必要性
- 具体的なカスハラ対策事例
- ヤマト運輸
- 日本航空(JAL)
- 効果的なカスハラ対策システムの導入
- 電話でのカスハラ対策ならIVRy
- 自動で音声録音される
- 自動音声ガイダンスで相手を待たせない
- 担当部署へ自動転送できる
- 顧客対応履歴を残してスムーズに対応
カスハラ(カスタマーハラスメント)とは?
カスハラとは、顧客による度を越した要求や行動のことで、従業員に精神的苦痛を与え、企業の評判も落とす行為を指します。厚生労働省は、カスハラを「要求内容が社会通念上不相当であり、労働者の就業環境を害する行為」と定義しています。例えば、暴言や脅迫、過剰な要求などが含まれます。
カスハラとクレームの違い
カスハラとクレームは、どちらも顧客からの不満を表しますが、その性質は異なります。
- クレーム:商品やサービスへの正当な不満や改善要望
- カスハラ:商品やサービスに対する度を越した要求や行動
企業はこの違いを理解し、クレームには適切に対応し、カスハラからは従業員を守る体制を整える必要があります。
カスハラを取り締まる法律はあるのか?
現状、カスハラそのものを規制する法律はありませんが、暴行罪や脅迫罪、恐喝罪などで処罰の対象となる場合があります。例えば、脅迫罪が適用されると、最大で15年以下の懲役が科せられることもあり、カスハラ行為には慎重な対応が求められます。
カスハラによる行為が法律に抵触する可能性のある条例として以下のようなものがあります。
傷害罪
刑法204条:人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
暴行罪
刑法208条:暴行を加えたものが人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
脅迫罪
刑法222条:生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
恐喝罪
刑法249条1項:人を脅迫して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
刑法249条2項:前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項に同様にする。
未遂罪
刑法250条:この章の未遂は、罰する。
強要罪
刑法223条:生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
名誉毀損罪
刑法230条:公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁固又は50万円以下の罰金に処する。
侮辱罪
刑法231条:事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は過料に処する。
信用毀損及び業務妨害罪
刑法233条:虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処する。
威力業務妨害罪
刑法234条:威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例に従う。
不退去罪
刑法130条:正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物もしくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
(参照:カスタマーハラスメント対策企業マニュアル)
企業がカスハラ対策を行う必要性
カスハラ対策は、従業員を保護し、顧客満足度を向上させるために重要です。具体的な対策を講じることで、従業員は適切に対応できるようになり、結果的に顧客との良好な関係構築にもつながります。さらに、カスハラ対策に積極的に取り組む姿勢は、企業の社会的責任の一環と捉えられ、評判向上にも貢献します。
具体的なカスハラ対策事例
ヤマト運輸
配達員への暴言や過剰な要求が増加したため、ヤマト運輸はカスハラ対策として対応マニュアルを作成し、社員研修や24時間対応の相談窓口を設置しました。カスハラ発言リストをもとに一貫した対応を可能にし、社員の安全意識向上を図っています。
日本航空(JAL)
客室乗務員への過度な要求を受け、日本航空は段階的な対応方針を策定。状況に応じて口頭での注意や書面通知など段階的に対応するルールを整備し、定期的な社員研修を通じて対応スキル向上に努めています。
効果的なカスハラ対策システムの導入
企業がカスハラ対策を効果的に行うためには、技術的なサポートが不可欠です。以下のシステムを導入することで、従業員の負担軽減や問題の早期発見が期待できます。
- 記録システム:音声や映像を記録するシステムは、顧客とのやり取りの正確な記録を残し、「言った言わない」のトラブルを防ぎます。また、証拠として活用することで、従業員を守るための法的な裏付けとなり、顧客の不適切な言動を抑制する効果も期待できます。
- IVR(電話自動応答システム):顧客からの問い合わせ対応を自動化することで、従業員が直接対応する前に過度なクレームやカスハラ行為を軽減できます。特定の質問や簡単な手続きはIVRで完結できるため、従業員が対応するケースを減らし、負担の軽減に貢献します。
- 顧客管理システム(CRM):過去のトラブル履歴や顧客の行動パターンを把握することで、トラブルの発生しやすい顧客に対し、事前に適切な対応準備が可能です。これにより、迅速かつ一貫した対応が実現し、顧客満足度の向上にもつながります。
- AIチャットボット:よくある質問や簡単な手続きにはAIチャットボットを導入し、24時間対応が可能な体制を整えることで、従業員の対応件数を削減します。営業時間外の顧客対応もでき、満足度を向上させつつ、カスハラリスクを抑えることができます。
これらのシステムを適切に導入し運用することで、従業員の負担軽減と健全な職場環境の維持が実現できます。企業にとって、効率的なカスハラ対策は、従業員のモチベーション向上や企業全体のイメージ向上に寄与する重要な施策といえるでしょう。
カスタマーハラスメント(カスハラ)は、顧客による度を越した行為により、従業員が精神的苦痛を受け、企業の評判が損なわれる深刻な社会問題です。企業がカスハラ対策を積極的に講じることは、従業員を保護し、顧客満足度を向上させるために不可欠です。また、東京都では2025年4月にカスハラ防止条例の施行が予定されており、社会全体での認識が高まっています。企業がシステム導入や従業員教育などの具体的な対策を行うことで、健全な職場環境を構築し、持続的な成長を実現できます。
電話でのカスハラ対策ならIVRy
電話でカスハラに対策するなら、電話自動応答サービスIVRy(アイブリー)がおすすめです。IVRyは、かかってきた電話に自動で対応し、「〇〇のお問合せは1番を押してください…」と案内するシステムを提供しています。
電話によるカスハラ対策には、こうしたテクノロジーを活用する方法が効果的と言われており、事前のカスハラ防止に役立つほか、万が一、法的措置を取ることになった際にも有効的です。
自動で音声録音される
IVRyではすべての電話を録音しており、なにかあった時には改めて聞き返して確認したり、万が一の際に証拠として利用することもできます。録音データはクラウド上で安全に管理されているため、いつでもアクセスできます。
通話の履歴は日時順、顧客順というように、用途に合わせて確認できるので、顧客ごとに電話の件数をチェックしたり、今日1日でどんな電話があったか、と振り返るなど、必要なデータをすぐに見つけることができます。
自動音声ガイダンスで相手を待たせない
IVRyは、かかってきた電話に自動で対応し、AIによる音声ガイダンスが流れる仕組みになっています。相手を長時間待たせることがないので、カスハラの防止になるほか、顧客にとっては利便性が高まることになり、顧客満足度向上も期待できます。
担当部署へ自動転送できる
IVRyは、用件に応じて適切な部署に電話を転送できる機能を備えています。発信者がガイダンスに従って番号を選ぶと、指定された部署に自動で電話が転送されます。
顧客にとっては待ち時間が短縮され、何度も同じことを繰り返し説明する必要がなくなるため、クレームやカスハラの防止にも効果的です。
顧客対応履歴を残してスムーズに対応
IVRyでは、かかってきた電話番号ごとに、自動的に電話履歴が記録されます。過去の通話履歴を見ながら対応できるので、つねにスムーズな対応ができます。誰が電話に出ても安定した対応ができるので、カスハラやクレームを防ぐのにつながります。