ビジネスフォンの配線完全ガイド!工事費用から自社で行う判断基準まで徹底解説

オフィスの移転やレイアウト変更、人員増など、さまざまな理由で必要となるビジネスフォンの配線。一見複雑に思える配線も、基本的な知識さえあれば、自社の状況に最適な選択が可能です。
本記事では、ビジネスフォンの配線の種類や特徴、工事の流れと費用相場、さらに配線工事が不要になるクラウドPBX(クラウド型ビジネスフォン)について解説します。
ビジネスフォンの配線に関する基本知識
ビジネスフォンの配線について理解を深めるために、まずは基本的な知識から確認しましょう。ビジネスフォンの役割や配線の重要性、工事に必要な資格について解説します。
ビジネスフォンとは?
ビジネスフォンとは、複数の外線と内線を共有・管理できる、法人利用に特化した電話システムのことです。家庭用電話機は1つの電話番号(1回線)で同時に1通話しかできませんが、ビジネスフォンは主装置(PBX)を介することで、複数の社員が同時に外線通話を行ったり、社員同士で内線通話を行ったりできます。
他にも、保留や転送、グループ着信、録音など、ビジネスシーンに役立つ便利な機能が多数搭載されており、円滑なコミュニケーションと業務効率の向上に貢献します。
配線の重要性と役割
ビジネスフォンにおける配線は、人体の神経や血管に例えられます。主装置と各電話機を物理的につなぎ、音声データや制御信号を正確に伝える重要な役割を担っているためです。
配線が適切に行われていない場合、通話品質の低下(ノイズや音声の途切れなど)や、電話がつながらないといったトラブルに直結します。また、将来的な増設やレイアウト変更の際に、複雑な配線が原因で余計なコストや時間がかかることもあるでしょう。
配線工事に必要な資格
ビジネスフォンの配線工事は、誰でも自由に行えるわけではありません。法律によって、「工事担任者」という国家資格の保有者が工事を行うか、実地で監督することが義務付けられています。
電話回線は公衆の通信網に接続されているため、無資格者による不適切な工事が通信網全体へ障害を及ぼすのを防ぐことが目的です。自社で工事を行う際は、必ず資格を持つ担当者がいることを確認してください。
参照: 総務省:工事担任者制度について
ビジネスフォンの配線方法の種類
ビジネスフォンの配線方式には、主に「スター配線」「バス配線」「LAN配線」の3種類が存在します。それぞれの特徴を理解し、自社の環境に合った方式を選ぶことが重要です。
スター配線の特徴
スター配線は、主装置から各電話機へ、それぞれ個別のケーブルで接続する方式です。星(スター)のように放射状に配線が伸びることから名付けられました。
- メリット: 特定の電話機に問題が発生しても、他の電話機への影響が少なく、障害箇所の特定が容易です。
- デメリット: 電話機の台数分ケーブルが必要になるため、配線が複雑になりがちで、コストも高くなる傾向があります。
バス配線の特徴
バス配線は、1本のケーブルを数珠つなぎのようにして、複数の電話機を接続する方式です。
- メリット: スター配線に比べてケーブルの量が少なく、配線がシンプルになるため、コストを抑えられます。
- デメリット: ケーブルの1箇所で断線などの障害が発生すると、そこから先に接続されている全ての電話機が使えなくなる可能性があります。
配線方式の選び方と注意点
2つの配線方式の中から自社に最適なものを選ぶには、いくつかのポイントを考慮する必要があります。業務内容や将来性、既存設備との互換性などを踏まえ、慎重に検討しましょう。
業務内容に応じた配線方式の選択
オフィスの規模や電話の利用頻度によって、最適な配線方式は変わります。
- 小規模オフィス: 電話機の台数が少ない場合、シンプルでコストを抑えられるバス配線が適しています。
- 大規模オフィス・コールセンター: 障害時の影響範囲を最小限に抑える必要があるため、スター配線や、管理しやすいLAN配線が適しています。
配線方式による機器の互換性
ビジネスフォンの機種によっては、対応している配線方式が限られる場合があります。特に、既存のビジネスフォンを流用して増設や移設を行う際は、注意が必要です。
導入したい電話機がどの配線方式に対応しているか、事前にメーカーの仕様書などで確認することが重要になります。互換性のない機器を選んでしまうと、最悪の場合、システム全体を入れ替える必要が出てくるかもしれません。
将来の拡張性を見据えた選び方
現時点での利用状況だけでなく、将来的な人員増加やオフィスの拡張計画も考慮して、配線方式を選びましょう。
例えば、今は小規模でも将来的に規模を拡大する予定があるなら、拡張性の高いスター配線を選んでおくと、後々の工事がスムーズに進むでしょう。初期コストだけでなく、長期的な視点でコストパフォーマンスを判断することが大切です。
ビジネスフォンの増設時の配線工事
人員増などに伴いビジネスフォンを増設する際の、工事の流れと費用相場について解説します。計画的に進めることで、スムーズかつコストを抑えた増設が可能です。
増設工事の流れ
- 現状調査・要件定義: 現在の配線状況、主装置の空きポート数、増設したい電話機の台数などを確認します。
- 業者選定・見積もり: 複数の工事業者に相見積もりを依頼し、費用とサービス内容を比較検討します。
- 配線ルートの設計: 増設する電話機の設置場所まで、どのようにケーブルを配線するかのルートを決めます。
- 工事の実施: 決定した設計に基づき、配線工事、電話機の設置、設定作業を行います。
- 動作確認・引き渡し: 増設した電話機で正常に通話できるかなどを確認し、問題がなければ引き渡しです。
工事にかかる費用の相場
ビジネスフォンの増設工事費用は、工事の内容や規模によって大きく変動しますが、一般的に以下の項目で構成されます。
項目 | 費用相場 | 概要 |
---|---|---|
派遣費 | 10,000円~/人 | 工事担当者の出張費用。 |
配線工事費 | 3,000円~/台 | 電話機までの配線作業費用。 |
電話機設置費 | 5,000円~/台 | 電話機の設置・接続作業費用。 |
データ設定費 | 8,000円~/台 | 主装置の内線番号設定など、データ設定の作業費用。 |
これらの費用は地域や業者、工事内容によって大きく異なるため、具体的な費用については複数の業者から見積もりを取得して比較検討することが重要です。オフィスの環境や配線の難易度、必要な機器の種類によっても費用は変動するため、事前の現地調査を依頼することをおすすめします。
業者選びのポイント
信頼できる工事業者を選ぶことは、配線工事を成功させる上で非常に重要になります。
- 実績の確認: 自社と同様の業種や規模のオフィスで、工事実績が豊富かを確認しましょう。
- 見積もりの明確さ: 「工事一式」のような曖昧な項目ではなく、何にいくらかかるのかが詳細に記載された見積もりを提示する業者を選びましょう。
- 対応の迅速さ: 問い合わせや見積もり依頼への対応が迅速かつ丁寧かどうかも、重要な判断基準です。
クラウド型ビジネスフォンのメリット
近年、物理的な主装置や複雑な配線工事を必要としない「クラウドPBX(クラウド型ビジネスフォン)」が急速に普及しています。従来のビジネスフォンと比較して、どのようなメリットがあるのか解説します。
配線工事が不要
クラウドPBXは、従来オフィス内に設置していたPBXの機能を、インターネット上のクラウドサーバーで提供するサービスです。
各電話機は社内のLANに接続するだけで、インターネット経由でクラウド上のPBXにアクセスできるため、電話専用の配線工事は一切不要です。これにより、初期導入コストの大幅な削減と、導入期間の短縮が可能になります。
コスト削減の可能性
配線工事が不要なことに加え、クラウドPBXはさまざまな面でコスト削減に貢献します。
- 初期費用の削減: 高価なPBXを購入する必要がありません。
- 維持管理費用の削減: 機器のメンテナンスや保守が不要になります。
- 通話料の削減: クラウドPBXサービスによっては、内線通話や拠点間の通話が無料になることもあります。
柔軟な働き方への対応
クラウドPBXは、スマートフォンに専用アプリをインストールすれば、個人のスマホを内線電話機として利用できます。
これにより、外出先やテレワーク中の自宅からでも、会社の電話番号で発着信が可能になります。場所にとらわれない柔軟な働き方を実現できるため、BCP(事業継続計画)対策としても有効です。
ビジネスフォンの配線選びは慎重に
ビジネスフォンの配線は、オフィスのコミュニケーションインフラを支える根幹です。適切な配線は、クリアな通話品質を確保して業務効率を高めるだけでなく、将来の拡張や変更にも柔軟に対応できる体制を築きます。
逆に、不適切な配線は日々の業務に支障をきたすだけでなく、トラブル解決に余計な時間とコストを要することになりかねません。
自社の現状の課題と将来のビジョンを明確にし、それぞれのメリット・デメリットを比較検討した上で最適なシステムを選択することが、これからのオフィス作りにおいてますます重要になります。
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