三重県桑名市でカスハラ防止条例施行。悪質客は「氏名公表」の対象に

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執筆者 : IVRy編集部
三重県桑名市で自治体として初めて「氏名公表」という実質的な制裁措置を含む「桑名市カスタマーハラスメント防止条例」が2025年4月1日に施行され、大きな注目を集めています。本記事では「氏名公表」措置の条件や手続き、施行を受けて企業が取るべき対策について解説します。

小売・サービス・行政など、あらゆる対人業務の現場で問題となっているカスタマーハラスメント。この問題に対し、三重県桑名市で自治体として初めて「氏名公表」という実質的な制裁措置を含む「桑名市カスタマーハラスメント防止条例」が2025年4月1日に施行され、大きな注目を集めています。

本記事では「氏名公表」措置の条件や手続き、施行を受けて企業が取るべき対策について解説します。

2025年4月、三重県桑名市でカスハラ防止条例が施行開始

2025年4月1日、三重県桑名市で「桑名市カスタマーハラスメント防止条例」が施行されました。この条例制定の背景には、市が実施した調査で明らかになった、市内事業者における威圧的な言動や脅迫といった深刻なカスタマーハラスメントの被害実態と、現場からの実効性ある対策を求める切実な声がありました。

桑名市の条例が注目を集めている理由は、東京都や北海道などが制定したカスハラ防止条例とは異なり、自治体として全国で初めて悪質な行為者に対する「氏名等の公表」という実質的な制裁措置を盛り込んだ点にあります。

さらに、桑名市は条例の施行と合わせて、カスハラ被害者が弁護士への相談や訴訟提起を行う際の費用を最大10万円まで補助する制度も開始しており、制裁措置だけでなく具体的な被害者支援にも力を入れています。

悪質客は「氏名公表」も。全国初の制裁措置、その要件とは?

全国の自治体で初めて導入された実質的な制裁措置ですが、条例の実効性を担保するための最終手段と位置づけられており、その適用には慎重なプロセスが定められています。

  1. 相談・請求:被害を受けた就業者や事業者等が市に相談し、行為者を特定して「認定」を求める請求を行います。

  2. 第三者委員会の審議:市長は、弁護士など専門家で構成される「カスタマーハラスメント対策委員会」に諮問。委員会が中立的な立場で事実関係を調査・審議します。この過程で、原則として行為者とされる人物からの意見聴取も行われます。

  3. 市長による「認定」と「警告」:委員会の答申を踏まえ、市長がカスハラ行為を「認定」した場合、行為者に対して警告を発します。この警告には、被害を受けた側の承諾が必要です。

  4. 公表前の最終手続き:警告後も改善が見られないと判断された場合、市長は行為者の氏名等を公表できます。ただし、実際に公表を決定する前には、以下の3つの手続きを踏む必要があります。

・行為者本人に弁明(意見を述べる)機会を与えること。
・再度、カスタマーハラスメント対策委員会に意見を求めること。
・被害を受けた従業員や事業者等から、公表について最終的な承諾を得ること。

  1. 市長による最終判断と公表:市長が最終判断のもと公表が決定されると、行為者の氏名、住所(大字・町名まで)、行為の概要などが市のウェブサイトに1年間を目安に掲載されます。

まとめると、実際に氏名が公表されるためには、以下の要件を全て満たしている必要があります。

氏名公表の要件

  • 市から「警告」を受けていること
  • 警告後も改善が見られず、悪質な行為が続いていること
  • 行為者が、問題となった行為の時点で「満20歳以上」であること
  • 事案の内容を総合的に判断し「公表することが相当」であると市長が認めること
  • 被害を受けた従業員および事業者等が、公表に最終的に「同意」していること

このように、氏名公表は複数の段階を経た慎重な手続きと、要件を満たした場合にのみ、最終手段として行われることになります。

賛否両論?「氏名公表」に対する市民や事業者の反応

カスハラ防止条例の「氏名等の公表」措置に関しては、市民や事業者からさまざまな意見が寄せられています。

日常的に顧客と接する従業員や事業者からは「予防として効果があるのでは」「働く側としては心強い」といった肯定的な意見が聞かれます。条例が理不尽な要求に対する防波堤となることへの期待感がうかがえます。(参照 :東海テレビ

しかし、その一方で「氏名の公表はやりすぎではないか」との意見も存在します。措置の影響が大きいだけに、慎重な運用を求める声も少なくありません。(参照:CBCニュース

この氏名公表措置は、悪質なカスハラを抑制する力を持つ可能性がある一方、正当な意見やクレームまでもが表明しにくくなるリスクも指摘されています。条例が本来の目的を果たし、有効な条例となるかは、今後の桑名市による公平かつ慎重な運用にかかっていると言えるでしょう。

事業者が取り組むべきカスハラ対策

桑名市のカスハラ防止条例では、事業者に対して、従業員をカスハラから守るための対策を適切に実施する努力義務を課しています。条例の施行を受け、企業は具体的な対策を講じることが求められます。

事業者が取り組むべき対策の例としては、以下のようなものが挙げられます。

具体的な対策の例

  • カスタマーハラスメントに対する取り組む姿勢等の基本方針を定めて就業者等に周知・啓発を行うこと
  • カスタマーハラスメントが発生した場合の対応方法等をあらかじめ定めておくこと
  • カスタマーハラスメントの被害を受けた就業者等の相談窓口を設置すること
  • 当該就業者等の心身のケアを行うの態勢を整備すること


参照:桑名市カスタマ―ハラスメント防止条例逐条解説

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(株式会社IVRy / IVRy編集部)

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