東京都がカスハラ防止対策を実施する企業に40万円の奨励金の支給を決定(2025年9月ごろ再開予定)

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東京都は2025年4月1日に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を施行しました。これに伴い、都内の中小企業などがカスタマーハラスメント(カスハラ)防止対策を進めることを支援するため、「カスタマーハラスメント防止対策推進事業」の一環として、特定の要件を満たす中小企業に一律40万円を支給する奨励金制度を発表しました。この奨励金の申請受付は2025年6月に開始される予定です。本記事では、条例の概要、奨励金制度の詳細、そして企業が今後どのように準備を進めるべきかについて解説します。

東京都は2025年4月1日に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を施行しました。これに伴い、都内の中小企業などがカスタマーハラスメント(カスハラ)防止対策を進めることを支援するため、「カスタマーハラスメント防止対策推進事業」の一環として、特定の要件を満たす中小企業に一律40万円を支給する奨励金制度を発表しました。この奨励金の申請受付は2025年6月30日に開始しました。

本記事では、条例の概要、奨励金制度の詳細、そして企業が今後どのように準備を進めるべきかについて解説します。

また、「カスハラ対策奨励金」募集開始に伴い、奨励金の概要や申請のポイントをわかりやすく解説する無料セミナーをご視聴いただけます。ぜひご参加くださいませ。

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東京都カスタマー・ハラスメント防止条例を施行

東京都は2025年4月1日に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を施行しました。まずは、その概要と背景を確認しましょう。

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例とは

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例は、事業者や働く人を不当な要求や暴言などから守るため、2025年4月1日に施行された条例です。都は事業者に対し、相談体制の整備や従業員への研修実施など、カスハラ防止に向けた対応を行うよう努力義務を課しており、被害の未然防止と働く人の安心確保を目的としています。

施行された背景

近年、暴言、脅迫、不当な要求、長時間拘束といった悪質なクレーム、いわゆる「カスタマーハラスメント」が社会問題化しています。従業員の精神的な負担増や離職、企業の生産性の低下、さらには法的リスクにも繋がりかねません。このような状況を受け、東京都は、働く人々が安心して業務に従事できる環境を整備し、健全な事業活動を支援するために、全国に先駆けてカスハラに特化した条例を制定するに至りました。

2. カスタマーハラスメント防止対策への奨励金・補助金とは

東京都は、条例施行に合わせて「カスタマーハラスメント防止対策推進事業」を開始しました。この事業は、都内の事業者によるカスハラ防止の取り組みを後押しするためのもので、49億円の予算が割り当てられています。

出典:東京都予算案の概要 別紙(PDF)

具体的には以下の3つの奨励金・補助金が用意されています。

企業向け奨励金(6月30日に募集開始)

条例施行日(2025年4月1日)以降、マニュアルを整備し、実践的なカスハラ防止対策を行った企業などに対し、奨励金を支給。

  • 規模:(3年間で)10,000件 金額:定額40万円
  • 第1回申請受付期間:令和7年6月30日(月)~8月8日(金)17時(7月22日に早期終了)
    第2回の申請受付は9月頃を予定
  • 主な支給要件
    1. カスハラ防止対策マニュアルの作成
    2. 以下(1)~(3)いずれか人ひとつの対象の取組の実施
    (1) 録音・録画環境の整備 (2) AIを活用したシステム等の導入 (3) 外部人材の活用

団体向け奨励金(6月30日に募集開始)

会員企業及びその従業員向けに防止対策の体制を整備した場合に、奨励金を支給。
※申請し、都が交付決定した取組が対象。

  • 規模:30件 金額:最大100万円
  • 事前エントリー期間 :令和7年6月30日(月)9時~令和7年7月25日(金)17時
  • 申請書類提出期間:事前エントリー結果通知後~令和7年8月29日(金)
  • 主な支給要件
    1. 企業向けカスハラ対策方針の策定・周知(20万円)
    2. カスハラ防止対策のサポート窓口の設置(40万円)
    3. カスハラ対策研修の実施 (20万円)
    4. 外部人材等活用によるカスハラ対策の実施(20万円)

団体向け補助金(4月30日に募集開始)

顧客との接点を効果的に活用し、防止対策と条例の普及に都と連携して取り組む団体を支援。
(補助率:1/2 補助上限:5,000万円 規模:10件程度)

出典:カスタマーハラスメント防止対策(TOKYOはたらくネット)

3. 企業向け奨励金の主な支給要件

都内の中小企業が一律40万円の奨励金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。   

「カスハラ防止対策マニュアル」の作成は必須

まず、企業としてカスハラに対する基本方針、具体的な対応手順、相談窓口、被害を受けた従業員への配慮などを明記したマニュアルを作成または改定し、申請時に提出(または整備状況を示す)することが求められます。

マニュアルには、以下の項目を全て盛り込む必要があります。

  • ア カスタマーハラスメント対策に関するマニュアル作成の目的(「条例」についての言及、策定の背景や組織的な対応の必要性等)
  • イ カスタマーハラスメントの定義
  • ウ カスタマーハラスメントに対する基本方針
  • エ 顧客対応の考え方(心構え、クレーム初期対応、顧客等の権利の尊重等)
  • オ カスタマーハラスメントへの対応(カスタマーハラスメント判断や対応フロー等)
  • カ 社内体制整備(相談窓口の設置、研修実施、再発防止の取組等)
  • キ 企業間取引での対応(カスタマーハラスメント防止の基本姿勢、取引先へのカスタマーハラスメント禁止等)

引用:令和7年度カスタマーハラスメント防止対策推進事業_企業向け奨励金第1回募集要項

マニュアルで定めた「基本方針」は、社内だけでなく社外へも周知しなければなりません 。例えば、店頭へのポスター掲示や自社のウェブサイトへの掲載といった方法で、外部へも広く周知しましょう。

上記のマニュアル整備に加えて、以下の具体的な取り組みの中から、少なくとも1つを実施する必要があります。

1. 録音・録画環境の整備

取り組みの1つ目は、録音・録画環境の整備です。顧客とのやり取りを音声や映像で記録する環境を整えることで、ハラスメント行為の抑止や、トラブル発生時の客観的な証拠確保につながります。

奨励金の対象となるには、以下の要件を満たす必要があります。

出典:令和7年度カスタマーハラスメント防止対策推進事業_企業向け奨励金第1回募集要項

ポイントは、カスハラ対策を主な目的として、専用の機器を新たに導入するという点です 。例えば、通話録音機能のない電話機に通話録音装置を後付けしたり、防犯カメラを新たにリース契約したりといったケースが対象となります。

一方で、PCやスマートフォンといった汎用的な機器の購入や、古い機器の買い替え 、ソフトウェアやサービスのみの契約は対象外となるため、計画の際には注意が必要です。

2. AIを活用したシステム等の導入

2つ目の取り組みは、AIを活用したシステムの導入です。

例えば、電話の一次対応を自動化するボイスボットや通話やメールの内容からハラスメントを検知・記録するシステムなどが該当します。また、従業員向けのクレーム対応訓練への活用も対象となり、テクノロジーによって被害の未然防止や対応力強化につながります。

奨励金の対象となるには、以下の要件を満たす必要があります。

出典:令和7年度カスタマーハラスメント防止対策推進事業_企業向け奨励金第1回募集要項

ポイントは、導入するシステムに「カスハラ対策に特化した機能」が備わっている点です。単に汎用的な生成AIサービスを契約するだけでは対象外となります。 あくまで「カスハラ対策」が目的と確認できるシステムの導入が求められます。

3.  外部人材の活用

3つ目の取り組みは、外部の専門家を活用する方法です。社内に専門知識を持つ人材がいない場合でも、弁護士や警備会社などと新たに契約することで、カスハラ対策の体制を強化できます。

奨励金の対象となるには、以下の要件を満たす必要があります。

活用の方法には、大きく分けて以下3つのパターンがあります。

出典:令和7年度カスタマーハラスメント防止対策推進事業_企業向け奨励金第1回募集要項

ポイントは、いずれの活用方法でも「新たな契約」であることが求められる点です。既存契約の更新は対象外となります。

具体的には、弁護士と契約を結んだり(ア)、自社に講師を招いてカスハラ研修を実施したり(イ)、店舗に常駐警備員を配置したり(ウ)といったケースが対象です。

研修については、他社主催のセミナーに参加するケースは対象外です。自社で講師を招いて開催する必要があるため注意しましょう。

4. 奨励金・補助金の申請方法について

奨励金の申請は、国の電子申請システム「Jグランツ」を利用したオンライン手続きのみとなります。窓口や郵送による申請は受け付けていません。

申請の大まかな流れは以下の通りです。

申請の基本的な流れ

ステップ

内容

1. GビズIDの取得

Jグランツを利用するには、「GビズID(gBizIDプライム)」のアカウントが不可欠です。IDの発行には数週間かかる場合があるため、まずGビズIDを取得することから始めましょう。

2. 申請書類の準備

Jグランツのウェブサイトから最新の申請様式をダウンロードし、募集要項を確認しながら必要書類をそろえます。

3. Jグランツで申請

全ての書類がそろったら、Jグランツの申請フォームからアップロードして提出します。締め切り間際はアクセスが集中する可能性もあるため、余裕を持って申請しましょう。

4. 審査・修正対応

申請後は事務局による審査が行われます。決定通知は申請から3カ月程度が目安です。

申請をスムーズに進めるためのポイント

  • 書類の不備:提出書類に不備があった場合、事務局から連絡があります。原則として1週間以内に対応する必要があるため、連絡を見落とさないよう注意しましょう。
  • みなし辞退: 事務局からの連絡に応答がない場合や、追加書類の提出が期限内に行われない場合は、申請を辞退したものとみなされることがあります。
  • 申請状況の確認:申請が受理されたかどうかは、Jグランツのマイページ上で確認する必要があります。事務局への直接の問い合わせには応じてもらえません。
  • 申請後の情報変更:申請後に会社名や所在地、代表者が変更になった場合は、速やかにJグランツの申請フォームから「変更届出書」および「事実が確認できる証明書類」を提出する必要があります。

奨励金申請に向けてどのような準備をしたら良い?

奨励金の活用を検討している企業は、申請に向けて以下の準備を進めておくことが推奨されます。

実施予定の対策の計画と見積もり

必須要件であるマニュアル作成に着手するとともに、3つの選択肢(録音・録画、AI、外部人材)の中から自社に合った対策を検討し、具体的な導入計画や必要な費用の見積もりを取っておくと、申請時にスムーズに対応できます。

社内体制の整備

マニュアル作成と並行して、カスハラ発生時の報告・相談ルート、対応担当者、従業員や社外への周知方法などを具体的に定め、社内体制を整備しておきましょう。

申請資格の確認

自社が奨励金の対象となる「都内の中小企業(従業員数300人以下など)」の定義に合致するかどうか、改めて確認しておきましょう。   対象事業者の要件について、詳細は以下のリンクから確認できます。

東京都による「カスタマー・ハラスメント防止条例」の施行と、それに伴う「カスタマーハラスメント防止対策推進事業」は、都内事業者、特に中小企業にとって、カスハラ対策を本格化させる大きな契機となります。  

この機会を捉え、従業員が安心して働ける環境を整備し、企業全体の健全な発展につなげるため、早期の準備と積極的な情報収集をお勧めします。

【本件に関する東京都の相談窓口】
東京しごと財団 カスタマーハラスメント防止対策推進事業 企業向け奨励金事務局
電話番号:03-4446-4621

【2025年4月スタート・カスハラ防止条例】制度を知って賢く活用!カスハラ対策×奨励金の実践ポイント解説セミナー

電話でのカスハラ対策ならアイブリー

電話でカスハラに対策するなら、電話自動応答サービス「アイブリー」がおすすめです。アイブリーは、かかってきた電話に自動で対応し、「〇〇のお問合せは1番を押してください…」と案内するシステムを提供しています。

電話によるカスハラ対策には、こうしたテクノロジーを活用する方法が効果的と言われており、事前のカスハラ防止に役立つほか、万が一、法的措置を取ることになった際にも有効的です。

自動で音声録音される

アイブリーでは全ての電話を録音しており、なにかあった時には改めて聞き返して確認したり、万が一の際に証拠として利用することもできます。録音データはクラウド上で安全に管理されているため、いつでもアクセスできます。

通話の履歴は日時順、顧客順というように、用途に合わせて確認できるので、顧客ごとに電話の件数をチェックしたり、今日1日でどんな電話があったか、と振り返るなど、必要なデータをすぐに見つけることができます。

自動音声ガイダンスで相手を待たせない

アイブリーは、かかってきた電話に自動で対応し、AIによる音声ガイダンスが流れる仕組みになっています。相手を長時間待たせることがないので、カスハラの防止になるほか、顧客にとっては利便性が高まることになり、顧客満足度向上も期待できます。

担当部署へ自動転送できる

アイブリーは、用件に応じて適切な部署に電話を転送できる機能を備えています。発信者がガイダンスに従って番号を選ぶと、指定された部署に自動で電話が転送されます。

顧客にとっては待ち時間が短縮され、何度も同じことを繰り返し説明する必要がなくなるため、クレームやカスハラの防止にも効果的です。

顧客対応履歴を残してスムーズに対応

アイブリーでは、かかってきた電話番号ごとに、自動的に電話履歴が記録されます。過去の通話履歴を見ながら対応できるので、常にスムーズな対応ができます。誰が電話に出ても安定した対応ができるので、カスハラやクレームを防ぐのにつながります。

東京都の事業者ならカスハラ奨励金を適用できる場合も

東京都内の中小企業は、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策に関するマニュアルを整備した上で要件を満たすことで、奨励金(40万円)の受給を申請できます。

また、カスハラ対策として電話自動応答の「アイブリー」を対象プランを新規契約すると、受給要件のひとつである「AIを活用したシステム等の導入」として認められる場合があります。

この奨励金は「カスタマーハラスメント防止対策推進事業企業向け奨励金」と呼ばれるもので、事業者に東京都カスタマー・ハラスメント防止条例による措置を浸透させることを目的としています。

対象となる事業者は「常時雇用する従業員が300人以下の都内中小企業等」で、その他いくつかの要件を満たす必要があります。また、カスハラ対策に関するマニュアルの整備し、実践的な取り組みとして「録音・録画環境の整備」、「AIを活用したシステム等の導入」「外部人材の活用」のいずれかを実施している場合に限られます。

取り組みのひとつである「AIを活用したシステム等の導入」として、アイブリーの対象プランの新規契約を検討してみてはいかがでしょう。

まずはアイブリーのサービス資料をご覧いただき、担当者にご相談ください。

東京都のカスハラ奨励金を利用するために

東京都のカスハラ奨励金を受給する要件のひとつとして、アイブリーの導入を適用できる可能性があります。アイブリーの各機能が電話応答でのカスハラ対策をサポートします。

ぜひ、アイブリーのサービス内容をわかりやすく解説した資料をご覧ください。

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※奨励金の支給可否は、東京都の審査に基づき決定されます。申請要件の詳細は必ず公式サイトをご確認ください。

参考:東京都 カスタマーハラスメント防止対策推進事業企業向け奨励金

アイブリー編集部のプロフィール画像

アイブリー編集部

(株式会社IVRy / アイブリー編集部)

アイブリー編集部です。電話に関する様々な情報をわかりやすく解説します。 【アイブリーとは?】 アイブリーは1日100円から利用できる電話自動応答サービス(IVRシステム)です。自由な分岐設定と自動応答・SMS返信・電話の転送(リダイレクト)・録音機能を活用し、営業電話・顧客からの問い合わせ・注文・予約等の様々なシーンを自動化します。また、営業時間内と営業時間外でルールを変えることや、電話履歴の確認や顧客登録機能等、多数の便利な機能が存在しています。

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