東京都がカスハラ防止対策を実施する企業に40万円の奨励金の支給を決定(2025年6月から募集開始)

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執筆者 : IVRy編集部
東京都は2025年4月1日に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を施行しました。これに伴い、都内の中小企業などがカスタマーハラスメント(カスハラ)防止対策を進めることを支援するため、「カスタマーハラスメント防止対策推進事業」の一環として、特定の要件を満たす中小企業に一律40万円を支給する奨励金制度を発表しました。この奨励金の申請受付は2025年6月に開始される予定です。本記事では、条例の概要、奨励金制度の詳細、そして企業が今後どのように準備を進めるべきかについて解説します。

東京都は2025年4月1日に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を施行しました。これに伴い、都内の中小企業などがカスタマーハラスメント(カスハラ)防止対策を進めることを支援するため、「カスタマーハラスメント防止対策推進事業」の一環として、特定の要件を満たす中小企業に一律40万円を支給する奨励金制度を発表しました。この奨励金の申請受付は2025年6月に開始される予定です。

本記事では、条例の概要、奨励金制度の詳細、そして企業が今後どのように準備を進めるべきかについて解説します。

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例を施行

東京都は2025年4月1日に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を施行しました。まずは、その概要と背景を確認しましょう。

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例とは

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例は、事業者や働く人を不当な要求や暴言などから守るため、2025年4月1日に施行された条例です。都は事業者に対し、相談体制の整備や従業員への研修実施など、カスハラ防止に向けた対応を行うよう努力義務を課しており、被害の未然防止と働く人の安心確保を目的としています。

施行された背景

近年、暴言、脅迫、不当な要求、長時間拘束といった悪質なクレーム、いわゆる「カスタマーハラスメント」が社会問題化しています。従業員の精神的な負担増や離職、企業の生産性の低下、さらには法的リスクにも繋がりかねません。このような状況を受け、東京都は、働く人々が安心して業務に従事できる環境を整備し、健全な事業活動を支援するために、全国に先駆けてカスハラに特化した条例を制定するに至りました。

2. カスタマーハラスメント防止対策への奨励金・補助金とは

東京都は、条例施行に合わせて「カスタマーハラスメント防止対策推進事業」を開始しました。この事業は、都内の事業者によるカスハラ防止の取り組みを後押しするためのもので、49億円の予算が割り当てられています。

出典:東京都予算案の概要 別紙(PDF)

具体的には以下の3つの奨励金・補助金が用意されています。

企業向け奨励金(6月募集開始予定)

条例施行日(2025年4月1日)以降、マニュアルを整備し、実践的なカスハラ防止対策を行った企業などに対し、奨励金を支給。

  • 規模:(3年間で)10,000件 金額:定額40万円
  • 主な支給要件
    1. カスハラ防止対策マニュアルの作成
    2. 以下(1)~(3)いずれか人ひとつの対象の取組の実施
    (1) 録音・録画環境の整備 (2) AIを活用したシステム等の導入 (3) 外部人材の活用

団体向け奨励金(6月募集開始予定)

会員企業及びその従業員向けに防止対策の体制を整備した場合に、奨励金を支給。
※申請し、都が交付決定した取組が対象。

  • 規模:30件 金額:最大100万円
  • 主な支給要件
    1. 企業向けカスハラ対策方針の策定・周知(20万円)
    2. カスハラ防止対策のサポート窓口の設置(40万円)
    3. カスハラ対策研修の実施 (20万円)
    4. 外部人材等活用によるカスハラ対策の実施(20万円)

団体向け補助金(4月募集開始予定)

顧客との接点を効果的に活用し、防止対策と条例の普及に都と連携して取り組む団体を支援。
(補助率:1/2 補助上限:5,000万円 規模:10件程度)

出典:カスタマーハラスメント防止対策(TOKYOはたらくネット)

3. 企業向け奨励金の主な支給要件

都内の中小企業が一律40万円の奨励金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。   

「カスハラ防止対策マニュアル」の作成は必須

まず、企業としてカスハラに対する基本方針、具体的な対応手順、相談窓口、被害を受けた従業員への配慮などを明記したマニュアルを作成・整備し、申請時に提出(または整備状況を示す)することが求められることが想定されます。これは、条例が求める体制整備の一環であり 、組織として一貫した対応をとるための基盤となります。   

上記のマニュアル整備に加えて、以下の具体的な取り組みの中から、少なくとも1つを実施する必要があります。各項目の要件はまだ発表されていません。

1. 録音・録画環境の整備

想定される手段:顧客との対面カウンターや相談室への防犯カメラ設置、電話応対用の通話録音装置の導入・更新などが考えられます。これにより、ハラスメント行為の抑止、発生時の客観的な証拠確保、事後の対応検証や研修への活用が期待できます。

2. AIを活用したシステム等の導入

想定される手段:コールセンターなどで通話音声を解析し、暴言や異常な興奮状態を検知して警告するシステム、SNSやレビューサイトを監視して自社や従業員への誹謗中傷を早期発見するシステムなどが該当する可能性があります。比較的高度な対策であり、導入効果や運用体制の検討が必要です。

3.  外部人材の活用

想定される手段:カスハラ対策に詳しいコンサルタントへのマニュアル作成支援や社内体制構築の依頼、弁護士への法的助言の依頼、専門家による従業員向け研修(対応スキル向上、メンタルヘルスケアなど)の実施、被害従業員のための外部カウンセリングサービスの契約などが考えられます。

4. 奨励金・補助金の申請方法について

2025年4月時点では、企業向け奨励金を含む各種支援策の具体的な申請手続き、必要書類、対象となる取り組み(録音・録画機器のスペック、AIシステムの定義、外部人材の範囲など)の詳細な要件はまだ発表されていません。これらの情報は、今後、東京都産業労働局から正式に公表される予定です。   

最新情報は、以下の東京都の公式ウェブサイトなどで確認するようにしましょう。

企業向け奨励金の申請受付開始は2025年6月に予定されています。

今後どのような準備をしたら良い?

詳細な要件は未定ですが、奨励金の活用を検討している企業は、申請開始に向けて以下の準備を進めておくことが推奨されます。

実施予定の対策の計画と見積もり

必須要件であるマニュアル作成に着手するとともに、3つの選択肢(録音・録画、AI、外部人材)の中から自社に合った対策を検討し、具体的な導入計画や必要な費用の見積もりを取っておくと、申請開始時にスムーズに対応できます。

社内体制の整備

マニュアル作成と並行して、カスハラ発生時の報告・相談ルート、対応担当者、従業員への周知方法などを具体的に定め、社内体制を整備しておきましょう。

申請資格の確認

自社が奨励金の対象となる「都内の中小企業(従業員数300人以下など)」の定義に合致するかどうか、改めて確認しておきましょう。   


東京都による「カスタマー・ハラスメント防止条例」の施行と、それに伴う「カスタマーハラスメント防止対策推進事業」は、都内事業者、特に中小企業にとって、カスハラ対策を本格化させる大きな契機となります。  

この機会を捉え、従業員が安心して働ける環境を整備し、企業全体の健全な発展につなげるため、早期の準備と積極的な情報収集をお勧めします。

【本件に関する東京都の相談窓口】
東京都 産業労働局 雇用就業部 労働環境課 労働施策推進担当
電話番号:03-5320-7594

電話でのカスハラ対策ならIVRy

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通話の履歴は日時順、顧客順というように、用途に合わせて確認できるので、顧客ごとに電話の件数をチェックしたり、今日1日でどんな電話があったか、と振り返るなど、必要なデータをすぐに見つけることができます。

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IVRyは、用件に応じて適切な部署に電話を転送できる機能を備えています。発信者がガイダンスに従って番号を選ぶと、指定された部署に自動で電話が転送されます。

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IVRyでは、かかってきた電話番号ごとに、自動的に電話履歴が記録されます。過去の通話履歴を見ながら対応できるので、つねにスムーズな対応ができます。誰が電話に出ても安定した対応ができるので、カスハラやクレームを防ぐのにつながります。

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IVRy編集部

(株式会社IVRy / IVRy編集部)

IVRy編集部です。電話に関する様々な情報をわかりやすく解説します。 【IVRyとは?】 IVRy(アイブリー)は1日100円から利用できる電話自動応答サービス(IVRシステム)です。自由な分岐設定と自動応答・SMS返信・電話の転送(リダイレクト)・録音機能を活用し、営業電話・顧客からの問い合わせ・注文・予約等の様々なシーンを自動化します。また、営業時間内と営業時間外でルールを変えることや、電話履歴の確認や顧客登録機能等、多数の便利な機能が存在しています。

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