電話線の分岐と分配の違いとは?技術的な仕組みから費用まで徹底解説

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オフィスの移転やレイアウト変更では、電話機の増設が必要になる場面が少なくありません。「コストを抑えたいが、具体的な方法が分からない」「そもそも分岐と分配は何が違うのか」といった疑問をお持ちの担当者の方も多いのではないでしょうか。実は、オフィスでの電話機増設は、市販の分配アダプタで単純に回線を分けるような簡単な話ではありません。セキュリティや業務効率に関わる、重要なシステム設計の選択だからです。本記事では、ビジネスフォンの「分岐」と「分配」の技術的な違いから、それぞれの工事内容や費用感、そして自社の利用シーンに合った最適な方法を選ぶための判断基準まで、わかりやすく解説します。

オフィスの移転やレイアウト変更では、電話機の増設が必要になる場面が少なくありません。「コストを抑えたいが、具体的な方法が分からない」「そもそも分岐と分配は何が違うのか」といった疑問をお持ちの担当者の方も多いのではないでしょうか。

実は、オフィスでの電話機増設は、市販の分配アダプタで単純に回線を分けるような簡単な話ではありません。セキュリティや業務効率に関わる、重要なシステム設計の選択だからです。

本記事では、ビジネスフォンの「分岐」と「分配」の技術的な違いから、それぞれの工事内容や費用感、そして自社の利用シーンに合った最適な方法を選ぶための判断基準について、わかりやすく解説します。

電話線の分岐と分配の基本概念

まず前提として、ビジネスフォンにおける電話機の増設を考える上で、基本となる情報を整理しましょう。

分岐と分配の定義

家庭用の電話機で使うような、1つの電話線を2つに分ける市販の「分配アダプタ」を、ビジネスフォンで使うことは基本的にありません。

なぜなら、通話内容が他の電話機に聞こえてしまう「パーティライン」状態になり、セキュリティ上大きなリスクがあるためです。また、1台が通話中は他の電話機が使えないなど、業務に支障をきたします。

ビジネスフォンにおける「分岐」や「分配」とは、主装置から各電話機へ、どの方式でケーブルを配線するかという専門的な工事技術のことです。

  • 分岐(バス配線): 1本の基幹となるケーブルから、各電話機を数珠つなぎのように枝分かれさせて接続する方式。
  • 分配(スター配線): 主装置から各電話機へ、1対1でそれぞれ個別のケーブルを配線する方式。

電話線の役割と重要性

ビジネスフォンシステムは、外部の公衆網と接続する「外線」と、社内の電話機同士をつなぐ「内線」を、主装置という司令塔が管理することで成り立っています。

この主装置があるおかげで、限られた外線数を全社員で共有したり、内線通話や着信の転送といったビジネスに不可欠な機能が利用できます。そのため電話機の増設には、この主装置のシステムに新しい電話機を正しく接続する専門的な作業が必要です、

電話線の分岐とは?

はじめに分岐方式の仕組みやメリット・デメリットを解説します。

分岐の仕組み

分岐、すなわち「バス配線」は、主装置から出た1本の大元のケーブルをオフィスの壁や床に這わせ、そこから各電話機の設置場所へと枝分かれさせていく配線方式です。

各電話機は、バス停にバスが順番に停車するように、1本のケーブルに接続されます。この方式は、一部のビジネスフォンメーカーの機種で採用されています。

分岐の用途と利点

バス配線の最大の利点は、配線ケーブルの総量を抑えられる点です。ケーブルが1本で済むため、物理的な配線ルートが限られている場合や、複雑なレイアウトのオフィスでも比較的すっきりと配線できます。

結果として、ケーブル費用や工事の手間が少なくなり、スター配線に比べて初期の設置費用を安く抑えられる傾向があります。

分岐のデメリットと注意点

一方で、バス配線には明確なデメリットも存在します。それは、障害発生時のリスクです。大元のケーブルに断線などのトラブルが発生すると、そのケーブルに接続されているすべての電話機が使用不能になります。

また、問題箇所の特定が難しく、復旧に時間がかかる可能性もあります。コストの低さと引き換えに、安定性や耐障害性で劣る点が大きなデメリットといえるでしょう。

電話線の分配とは?

次に、現在主流となっている分配方式を解説します。

分配の仕組み

分配、すなわち「スター配線」は、主装置をハブ(中心)として、そこから各電話機までをそれぞれ独立したケーブルで接続する方式です。星(スター)のように、中心から放射状に配線が伸びる様子をイメージすると分かりやすいでしょう。

1台の電話機に対して1本のケーブルが割り当てられるため、非常にシンプルで管理しやすい構成です。現在、多くのビジネスフォンメーカーがこの方式を採用しています。

分配の用途と利点

スター配線の最大の利点は、安定性と信頼性の高さにあります。各電話機が独立して主装置に接続されているため、1本のケーブルに断線や接触不良が起きても、影響はその1台の電話機に限定されます。

他の電話機は問題なく使い続けられるため、業務への影響を最小限に抑えることが可能です。障害の原因特定も容易で、メンテナンス性に優れている点が大きなメリットです。

分配のデメリットと注意点

スター配線のデメリットは、配線ケーブルの量が増えることによるコスト増です。電話機の台数分だけケーブルが必要になるため、材料費がかさみます。

また、多数のケーブルを壁や床下に敷設するため工事の手間も増え、バス配線に比べて初期費用が高くなる傾向があります。

分岐と分配の違い

ここで、分岐(バス配線)と分配(スター配線)の違いを整理します。

技術的な違い

技術的な観点から見ると、最大の違いは「接続形態」と「障害への耐性」です。

  • 分岐(バス配線): 1本の幹線を共有する「多分岐直列接続」。障害がシステム全体に波及しやすい。
  • 分配(スター配線): 1対1で接続される「独立並列接続」。障害が個別に分離されるため、全体への影響が少ない。


どちらの方式に対応しているかはビジネスフォンのメーカーや機種によって異なるため、機器選定の段階から意識しておく必要があります。

使用シーンの違い

それぞれの特徴から、適した利用シーンも異なります。

  • 分岐(バス配線)が向いているシーン:
    • とにかく初期コストを抑えたい場合
    • 配線ルートの確保が物理的に難しいオフィス
    • 電話の利用頻度が比較的低く、一時的な不通が大きな問題にならない小規模な環境
  • 分配(スター配線)が向いているシーン:
    • 電話が停止すると業務に大きな支障が出る、安定性を最優先したい環境
    • 24時間稼働のコールセンターや、顧客対応が中心のオフィス
    • 将来的なレイアウト変更や増設の可能性がある、拡張性を重視したい場合

コスト面での比較

分岐(バス配線)と分配(スター配線)の工事費用は、主に「部材費」と「作業費」で構成されます。5台の電話機を増設する場合の費用感を比較してみましょう。

項目

分岐(バス配線)

分配(スター配線)

備考

配線ケーブル費

少ない

多い

材料費に直接影響

作業費

比較的安い

比較的高い

配線量と作業時間に比例

主装置ユニット費

必要

必要

どちらの方式でも増設にはユニットが必要な場合がある

合計費用(概算)

安い

高い

あくまで傾向であり、オフィスの状況による

一般的に、初期費用は分岐(バス配線)の方が安く、分配(スター配線)の方が高くなる傾向があります。ただし、これはあくまで初期導入時の話であり、障害発生時の復旧コストや業務停止による機会損失まで含めた、長期的な視点での比較が重要です。

分岐・分配の工事業者の選び方と費用相場

電話工事は、専門の工事業者に依頼する必要があります。費用は、作業員派遣費、機器代、配線・設置工事費、データ設定費などで構成され、業者やオフィスの環境によって大きく変動します。

信頼できる業者を選ぶためには、複数の業者から相見積もりを取ることが不可欠です。実績やサポート体制も確認し、納得のいく業者を選びましょう。

分岐・分配に関する注意点

オンプレミス型のビジネスフォンを増設する際には、いくつか共通の注意点があります。

信号の減衰について

電話線は、ケーブルが長くなればなるほど信号が弱くなる(減衰する)性質を持っています。特に分岐(バス配線)では、1本のケーブルに複数の機器が接続されるため、信号品質の管理がより重要になります。不適切な工事は、ノイズや通話品質の低下に直結するため、プロによる確実な施工が不可欠です。

適切な機器の選定

増設を検討する際は、まず現在使用している主装置の仕様を確認する必要があります。主装置には接続できる電話機の最大台数が定められており、その上限を超えての増設はできません。また、前述の通り、配線方式も機種によって決まっています。容量や仕様によっては、主装置自体の買い替えが必要になるケースもあります。

移転・レイアウト変更はシステム見直しのチャンス

オフィスの移転やレイアウト変更は、物理的な配線工事が伴う既存のオンプレミス型PBXシステムが持つ、構造的な課題と向き合う絶好の機会です。特に近年主流となっている「クラウドPBX」への移行は、これらの課題を根本から解決する有力な選択肢となります。

クラウドPBXは、主装置の機能をインターネット経由で利用するサービスです。物理的な主装置や大規模な配線工事が不要なため、初期コストを大幅に削減できます。また、オフィスの場所を問わず、インターネット環境さえあれば電話を利用できるため、移転やレイアウト変更、テレワークにも柔軟に対応可能です。

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アイブリー第2編集部

(株式会社IVRy / アイブリー第2編集部)

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