コールセンター大手の売上高ランキング。市場規模は?
企業の顧客対応の要として、重要な役割を担うコールセンター業界。近年、デジタル化やAI導入といった技術革新が急速に進む一方で、人材不足や顧客ニーズの多様化など、解決すべき課題も山積しています。本記事では、コールセンター業界の最新動向を捉えるため、2023年度の売上高ランキングを紹介するとともに、市場規模や業界が抱える課題について考察していきます。
1. コールセンター業界:市場規模と成長性
矢野経済研究所によると、コールセンター業界の市場規模は1兆1,547億円(2022年度)。2023年度以降の予測では1兆1,257億円と、やや減少する見通しとなっていますが、労働力不足によるアウトソーシングの需要は引き続き拡大すると見られています。
ソース:コールセンターサービス市場/コンタクトセンターソリューション市場の調査を実施(2023年/矢野総合研究所)
2. コールセンター売上高ランキング
最新の売上高ランキングでは、トランスコスモスが首位を堅持。KDDIエボルバとりらいあコミュニケーションズが経営統合して発足したアルティウスリンクが2番手となり、ベルシステム24がこれに続きます。これらの大手企業は、AIやデジタル技術を積極的に導入し、業務効率化や顧客体験向上に努めています。
各社が発表した2023年度の売上高を元にランキングを作成しています。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | 特徴 |
---|---|---|---|
1 | トランスコスモス | 3,622 | 最大手BPO企業。多様な業界のコールセンター運営実績が豊富。 |
2 | アルティウスリンク | 2,400 | KDDIエボルバとりらいあコミュニケーションズの統合により誕生。幅広いサービスを提供。 |
3 | ベルシステム24 | 1,487 | 長年の歴史と実績を持つ国内最大級の企業。CRMシステムとの連携にも強み。 |
4 | 株式会社ウィルオブ・ワーク | 650 | 総合人材サービス企業。人材確保に強み。 |
5 | プレステージ・インターナショナル | 587 | グローバル展開を行うBPO企業。多言語対応や24時間365日対応など、高品質なサービスを提供。 |
6 | 株式会社TMJ | 559 | コールセンター、BPOサービスを提供。国内だけでなく、中国、フィリピンにも拠点を持つ。 |
7 | NTTマーケティングアクトProCX | 508 | NTTグループとして、全国規模でサービスを展開。通信業界の知見が豊富。 |
8 | ビーウィズ株式会社 | 382 | 自社開発のクラウド型PBXを活用したデジタル技術に強み。 |
9 | SCSKサービスウェア | 378 | ITサービスとコールセンター運営の両方に強みを持つ。システム連携に優位性あり。 |
10 | 日本トータルテレマーケティング(NTM) | 232 | テレマーケティング業界の老舗企業。アウトバウンドサービスに特化。 |
3. コールセンター課題と展望
コールセンター業界の未来は、明るい一方、いくつかの課題も抱えています。
- AI・自動化の進化: AI技術の進化により、単純な応答業務は自動化が進むと予想されます。そのため、オペレーターには、より高度なコミュニケーション能力や問題解決能力が求められます。
- オムニチャネル化: 電話、メール、チャットなど、顧客とのコミュニケーションチャネルが多様化しています。これらのチャネルを統合的に管理し、シームレスな顧客体験を提供するオムニチャネル化が重要になります。
- セキュリティ強化: 個人情報保護の重要性が高まる中、情報漏洩対策など、セキュリティ強化は必須となっています。
- 人材育成・確保: 労働人口減少を背景に、優秀な人材の確保と育成は、業界全体の課題です。
コールセンター業界は、成長を続ける一方で、大きな変化の波にさらされています。AIやデジタル技術を積極的に活用し、顧客ニーズの変化に柔軟に対応していくことが、企業の生き残りをかけた重要な戦略となります。