VoIPフォンとは?IP電話との違いから導入方法、選び方まで徹底解説

VoIPフォンは、インターネット回線を利用して通話する電話サービスです。従来の電話回線が不要になるため、通信コストの削減や場所を選ばない柔軟な働き方の実現に貢献するサービスです。
本記事では、VoIPフォンの基本的な仕組みから、従来の固定電話やIP電話との違い、導入のメリット・デメリット、そして自社に合ったサービスの選び方まで、わかりやすく解説します。
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今すぐ電話番号を取得するVoIPフォンの基本知識
VoIPフォンの導入を検討する上で、まずは基本的な仕組みや関連用語を理解しておくことが重要です。ここでは、VoIP技術の概要と、混同されがちなIP電話との違いについて解説します。
VoIPとは何か?
VoIP(Voice over Internet Protocol)とは、音声をIPネットワーク(インターネットや社内LANなど)上でデータパケットとして送受信するための技術、または通信プロトコルそのものを指す言葉です。
従来のアナログ電話回線とは異なり、音声をデジタルデータとして扱うことで、インターネット環境さえあればどこからでも通話が可能になるのが特徴です。この技術が、コスト削減や業務効率化を実現する基盤となっています。
VoIPフォンの仕組み
VoIPフォンによる通話は、以下のプロセスで実現されます。
- 音声のアナログ→デジタル変換: 電話機が捉えたアナログの音声信号を、VoIPゲートウェイやIP電話機がデジタルデータに変換します。
- パケット化: デジタル化された音声データは、「パケット」と呼ばれる小さなデータ単位に分割されます。
- IPネットワークによる伝送: 各パケットには宛先IPアドレスなどの制御情報が付与され、インターネット網を通じて相手に送信されます。
- 再構築とデジタル→アナログ変換: 受信側に届いたパケットは正しい順序に並べ替えられ、再びアナログの音声信号に変換されて音声として再生されます。
この一連の処理が瞬時に行われることで、リアルタイムな音声通話が可能になります。
VoIPフォンとIP電話の違い
「VoIPフォン」と「IP電話」はしばしば同義で使われますが、厳密には以下のような違いがあります。
- VoIP: インターネット経由で音声データを送受信する「技術」そのもの。
- IP電話: VoIP技術を利用して提供される電話「サービス」のこと。
つまり、VoIPは方法論であり、IP電話はその技術を実装した具体的な製品やシステムを指します。ビジネスシーンで「VoIPフォンを導入する」と言う場合、多くは「IP電話サービス(特にクラウドPBXなど)を契約する」ことを意味することがほとんどです。
VoIPフォンのメリット
VoIPフォンへの移行は、単なるコスト削減にとどまらず、ビジネスのあり方を大きく変える可能性を秘めたサービスです。ここでは、特に中小企業にとって重要な2つのメリットを解説します。
コスト削減の可能性
VoIPフォンの最大のメリットは、通信コストと設備投資を大幅に削減できる点にあります。
- 設備投資(初期費用)の削減: クラウドPBXを利用する場合、従来必要だった高価なPBX(構内交換機)の購入や設置工事が不要になります。初期費用を抑え、月額制の運用費用(OpEx)に転換できるため、財務的な負担を軽減できます。
- 通話料の削減: インターネット回線を利用するため、物理的な距離に依存しません。これにより、国内の固定電話へは全国一律料金で、国際電話も従来より安価に通話できます。また、同一サービスを利用する拠点間の内線通話は無料になるケースがほとんどです。
柔軟な通信環境の構築
VoIPフォンは、現代の多様な働き方に柔軟に対応できる通信環境を構築できます。
従業員は手持ちのスマートフォンやPCに専用アプリをインストールするだけで、場所を問わず会社の代表番号で発着信が可能になります。これにより、リモートワークや出張先でもオフィスにいるのと変わらない電話対応が実現し、ビジネスチャンスを逃しません。
また、事業の拡大や縮小に合わせて、ユーザー数(内線数)をウェブ上の管理画面から簡単に追加・削除できるため、常に最適な規模でシステムを運用できます。
VoIPフォンのデメリット
多くのメリットがある一方で、VoIPフォンにはインターネット回線を利用するがゆえのデメリットも存在するため、注意が必要です。導入前に必ず確認し、対策を検討しておきましょう。
音質の問題
VoIPフォンの通話品質は、利用するインターネット回線の品質や安定性に大きく依存します。
ネットワークが混雑していたり、大容量のデータ通信を行っていたりすると、音声が途切れたり、遅延したりする可能性があります。
安定した通話品質を確保するためには、光回線などの高速で安定したインターネット環境を整備し、可能であれば有線LANで接続することが推奨されます。また、サービスによっては、音声データを優先的に処理するQoS(Quality of Service)機能を提供している場合もあります。
緊急通報の制約
050から始まるIP電話番号の場合、110番(警察)や119番 (消防・救急)といった緊急通報に発信できない、または発信できても位置情報が通知されないという重大な制約があります。
企業の安全管理の観点から、この問題は必ず対策が必要です。対策としては、市外局番(03や06など)が利用できるサービスを選ぶ、緊急通報用にアナログ回線を1本残しておく、緊急時は必ず携帯電話からかけるよう従業員に周知徹底する、といった対策が考えられます。
VoIPフォンの導入方法
VoIPフォンの導入は、従来のビジネスフォンに比べてシンプルで迅速です。ここでは、導入に必要なものと基本的な流れを解説します。
必要な機器とソフトウェア
VoIPフォンを利用するために必要なものは、利用形態によって異なります。
- IP電話機: LANケーブルで直接インターネットに接続できる電話機です。
- 既存のアナログ電話機 + VoIPアダプタ(ATA): 既存の電話機を流用する場合、アナログ信号をデジタルに変換するアダプタが必要です。
- PCやスマートフォン + ソフトフォンアプリ: 専用のアプリをインストールすれば、PCやスマホが電話機として機能します。
既存のスマートフォンやPCを活用すれば、ハードウェアの追加購入費用をゼロに抑えることも可能です。
設定手順と注意点
VoIPフォンの導入は、主に以下の流れで進みます。
- サービス選定・契約: 自社のニーズに合ったサービスを選び 、契約します。
- アカウント作成・設定: ウェブ管理画面でユーザー情報や着信ルールなどを設定します。
- 端末の準備: IP電話機を設置するか、PC・スマホにアプリをインストールします。
注意点として、現在の会社の電話番号を引き継ぎたい場合は、番号ポータビリティ(LNP)に対応したサービスを選ぶ必要があります。手続きには数週間かかる場合があるため、余裕を持ったスケジュールで進めることが重要です。
VoIPフォンとクラウドPBXの連携
中小企業がVoIPのメリットを最大限に活用するには、クラウドPBXとの連携が欠かせません。ここでは、クラウドPBXの役割と、それがもたらす相乗効果について解説します。
クラウドPBXの基本
クラウドPBXとは、従来オフィス内に設置していたPBX(構内交換機)の機能を、インターネット経由で提供するサービスです。
物理的な機器が不要なため、低コストかつ短期間で導入でき、内線通話、保留・転送、グループ着信といったビジネスフォンに不可欠な機能を網羅しているのが特徴です。
VoIPフォンとの相乗効果
クラウドPBXはVoIP技術を基盤としており、両者を組み合わせることで、単なるIP電話サービスを超えた価値が生まれます。
機能 | 概要 |
|---|---|
内線・外線機能 | スマホやPCを内線端末として利用し、拠点間や外出先の社員とも無料で内線通話が可能。 |
IVR(自動音声応答) | 「〇〇の方は1番を」といった自動ガイダンスを設定し、電話の一次対応を自動化。 |
全通話録音 | すべての通話を自動で録音・保存し、コンプライアンス強化や応対品質の向上に活用。 |
CTI連携 | 電話の着信時に、PC画面に顧客情報を自動で表示(ポップアップ)。 |
これらの機能により、電話対応業務の効率化、顧客満足度の向上、そして多様な働き方の実現が加速します。
自社に合ったVoIPフォンサービスの選び方
数あるVoIPサービスの中から自社に最適なものを選ぶためには、いくつかの重要なポイントを比較検討する必要があります。ここでは、特に確認すべき3つのポイントをご紹介します。
必要な機能は揃っているか
まずは、自社の業務に必要な機能を洗い出しましょう。単に通話ができれば良いのか、それともIVRや通話録音、CRM連携といった高度な機能が必要なのかを明確にします。
多くのサービスでは機能ごとに料金プランが分かれています。将来的な事業拡大も見据え、必要な機能を備え、かつ無駄のないプランを選択することがコスト最適化の鍵です。
通話品質は安定しているか
ビジネス利用において、通話品質の安定性は譲れない条件です。Webサイト上の情報だけでなく、無料トライアルなどを活用し、実際の業務環境で音質や接続の安定性を必ずテストしましょう。
特に、複数の社員が同時に通話する時間帯や、Web会議と並行して利用するシーンなどを想定して検証することが重要です。
セキュリティ対策は万全か
VoIPサービスはインターネットを利用するため、セキュリティ対策が不可欠です。サービス選定時には、ベンダーがどのようなセキュリティ対策を講じているかを確認しましょう。
- 通信の暗号化: 通話内容が暗号化されているか。