ホームテレホンとは?ビジネスホンとの違いから選び方まで徹底解説

ホームテレホンとは、小規模オフィスや店舗併設住宅での利用を想定した電話システムです。家庭用電話機より高機能で、ビジネスフォンより簡易的という位置づけです。
本記事では、ホームテレホンの基本情報から、ビジネスフォンとの違い、メリット・デメリット、そして自社の規模や用途に合わせた最適な選び方までを詳しく解説します。
ホームテレホンとは
ホームテレホンとは、家庭用電話機とビジネスフォンの中間に位置づけられる、簡易的な交換機システムです。主に、従業員数が非常に少ない小規模オフィスや、店舗と住居が一体となったSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)での利用を想定して設計されています。
最大の役割は、1つの電話回線契約で複数の電話機を共有し、内線通話や簡単な電話の取り次ぎを可能にする点にあります。これにより、家庭用電話機では実現できない、ビジネスシーンでの基本的な電話応対を可能にします。
一般電話機との違い
ホームテレホンと一般の家庭用電話機の最も大きな違いは、同時に通話できる数(チャネル数)と内線機能の有無です。
機能 | ホームテレホン | 一般家庭用電話機 |
---|---|---|
同時通話チャネル数 | 最大2チャネル | 1チャネル |
内線通話 | ◯ | × |
転送・保留 | 簡易的な機能あり | × |
家庭用電話機は、基本的に1つの電話番号(1回線)で同時に1つの通話しかできません。誰かが通話中にかかってきた別の電話は「話し中」になってしまいます。一方、ホームテレホンは最大2チャネルまで対応しているため、2人が同時に外線通話できます。
また、内線通話機能により、オフィス内のスタッフ同士で無料の通話ができる点も、ビジネス利用における大きな違いです。
ビジネスホンとの基本的な違い
ホームテレホンと本格的なビジネスフォンとの違いは、システムの規模、機能、拡張性にあります。
ビジネスホンは、複数の外線を多数の内線電話機で共有・管理するための「主装置」という司令塔を中心に構築されます。これにより、3人以上の同時通話や、保留中の電話をスムーズに別の担当者へ転送する機能、通話録音、IVR(自動音声応答)など、ビジネスに特化した多彩な機能を実現できます。
一方、ホームテレホンの機能は内線や簡易転送といった基本的なものに限定されます。また、ビジネスホンがユニットの増設によって電話機の台数や回線数を増やせるのに対し、ホームテレホンは拡張性がほとんどないという決定的な違いがあります。
ホームテレホンのメリットとデメリット
ホームテレホンの特徴を理解した上で、導入する際のメリットとデメリットを具体的に見ていきましょう。特にコスト面と機能面での長所・短所を把握することが重要です。
メリット:コストパフォーマンスと機能性
ホームテレホンの最大のメリットは、本格的なビジネスフォンを導入するよりも初期費用を抑えられる点です。
高価な主装置が不要、あるいは非常にコンパクトなため、機器費用や設置工事費を低く抑えられます。
それでいて、家庭用電話機にはない同時2通話や内線通話といったビジネスの基本機能は備えているため、小規模な運用であれば十分なコストパフォーマンスを発揮します。
デメリット:選択肢の限界と導入コスト
ホームテレホンのデメリットは、その拡張性の低さに集約されます。
- 同時通話は2チャネルまで
- 接続できる電話機は8台程度まで
これらの上限は固定的で、事業が成長してスタッフが増え、「3人目が同時に電話を使いたい」という状況になった瞬間に、システム全体をビジネスフォンに入れ替える必要が出てきます。
また、現在では製造しているメーカーが少なく、製品の選択肢が非常に限られているのが実情です。そのため、機能やデザインで選ぶ自由度はほとんどありません。
セキュリティ面での考慮事項
ホームテレホンは、従来の電話回線(アナログ回線やISDN回線)を利用するため、インターネット経由のサイバー攻撃といったリスクは低いと言えます。
ただし、物理的な盗聴のリスクはゼロではありません。また、通話内容の管理機能などはないため、情報漏洩に関するセキュリティは、運用する人間のリテラシーに依存する部分が大きくなります。
ホームテレホンの導入が適しているケース
メリット・デメリットを踏まえ、ホームテレホンの導入が適しているケースについて、具体的な利用シーンをご紹介します。
小規模オフィスや家庭での利用
従業員数が1〜5名程度で、電話対応が主な業務ではない小規模なオフィスやSOHOでの利用であれば、ホームテレホンが適している可能性があります。
例えば、デザイン事務所や設計事務所など、普段は静かに作業に集中し、かかってくる電話の本数も限られているような環境です。
また、店舗兼住宅で、仕事用とプライベート用の電話を最低限の機能で分けたい、といったニーズにもフィットします。
コスト削減を目指す企業
新規開業や移転にあたり、とにかく初期投資を抑えたいという企業にとって、ホームテレホンは選択肢の一つです。
長期的な視点での拡張性や機能性を考慮すると、必ずしもホームテレホンが最もコスト効率が良いとは限らないため、複数の選択肢で見積もりを比較することが重要です。
テレワークでの活用シーン
ホームテレホンは物理的なオフィスでの利用を前提としたシステムであり、基本的にテレワークや在宅勤務には対応していません。
外出先のスマートフォンと連携する機能はないため、テレワークを導入している、あるいは将来的に導入を検討している企業には不向きです。
ホームテレホンの選び方
ホームテレホンを導入すると決めた場合、どのような基準で選べばよいのでしょうか。ここでは選定時に必ずチェックしておきたい3つのポイントをご紹介します。
必要な機能を考慮する
ホームテレホンは機種による機能差が少ないですが、最低限必要な機能が備わっているかを確認しましょう。
- 同時通話数: 本当に2チャネルで十分か。FAXの利用はないか。
- 接続台数: 必要な電話機の台数を収容できるか。
- ナンバー・ディスプレイ対応: 発信者の番号を表示する機能が必要か。
- 留守番電話機能: 営業時間外のメッセージ録音機能が必要か。
これらの基本的な要件を満たしているかを確認することが、後悔しないための第一歩です。
予算に応じた選択肢
ホームテレホンの導入費用は、新品の機器購入と設置工事費を合わせて20万円〜30万円程度が目安とされています。
この予算内で収まるか、また、この価格が本当に見合っているかを検討する必要があります。前述の通り、同程度の予算で中古のビジネスフォンや、初期費用を抑えられるクラウドPBXも視野に入ります。
一つの選択肢に固執せず、複数の導入形態で相見積もりを取ることをお勧めします。
メーカーサポートと保証の比較
ホームテレホンは現在、NTTなど一部のメーカーからしか販売されていません。
新品で購入する場合は、メーカー保証の期間や内容、故障時のサポート体制を確認しましょう。専門の工事業者に依頼すれば、設置後の保守サービスを受けられる場合もあります。
中古品の場合は、販売店独自の保証が付いているか、故障時にどのような対応をしてもらえるかを事前にしっかりと確認しましょう。
おすすめのホームテレホン製品
現在、新品で入手可能なホームテレホンは非常に限られています。ここでは代表的なメーカーと製品をご紹介します。
NTT「αZX II Home」
NTT東日本・西日本が提供する「SmartNetcommunity αZX II Home」は、SOHOや店舗向けの小規模ビジネスホン(ホームテレホン)です。
最大2チャネル、電話機8台までというホームテレホンの基本仕様に加え、スマートフォンを内線化する機能(オプション)や、迷惑電話対策機能など、現代のニーズに合わせた機能も搭載されています。
NTTブランドの信頼性とサポート体制が大きな利点と言えるでしょう。
ホームテレホンの導入に関する注意点
ホームテレホンを導入する際には、いくつか事前に確認しておくべき注意点があります。これらを怠ると、導入後に「こんなはずではなかった」という事態になりかねません。
設置スペースの確認
ホームテレホンは、ビジネスフォンほどではありませんが、主装置や配線を設置するためのスペースが必要です。
主装置をどこに置くか、各電話機までの配線をどのように通すか、事前に設置場所の広さや電源コンセントの位置を確認しておきましょう。
通信環境の整備
ホームテレホンは、アナログ回線やISDN回線といった従来の電話回線を利用します。
オフィスの新設や移転の場合は、事前に電話回線の引き込み工事を手配しておく必要があります。
既存の電話番号は使えるか
多くの場合、既存の固定電話番号をそのままホームテレホンで利用できます。
ただし、利用する回線の種類を変更する場合など、条件によっては番号が引き継げないケースもあります。
導入を依頼する業者に、現在の電話番号がそのまま使えるかどうかを必ず確認しましょう。
ホームテレホンとビジネスフォンの違い
改めて、ホームテレホンとビジネスフォンの違いを整理します。この違いを正確に理解することが、自社にとって本当に必要なシステムを見極める鍵です。
機能面での違い
機能 | ホームテレホン | ビジネスフォン |
---|---|---|
IVR(自動音声応答) | × | ◯ |
通話録音 | × | ◯ |
CTI(PC連携) | × | ◯ |
スマートフォン連携 | △(一部機種のみ) | ◯ |
拠点間内線 | × | ◯ |
ビジネスフォンには、IVRや通話録音、顧客管理システムとの連携(CTI)など、業務効率や顧客対応品質を向上させるための高度な機能が多数搭載されています。
ホームテレホンは、あくまで基本的な通話機能が中心であり、これらの付加価値機能は利用できません。
コストと導入のしやすさ
コスト構造にも大きな違いがあります。
- 初期費用: ホームテレホンは比較的安価。ビジネスホンは主装置や工事費で高額になりがちです。
- 導入方法: ホームテレホンは購入のみ。ビジネスホンは購入、リース、レンタルと多彩な選択肢があります。
- ランニングコスト: ホームテレホンは回線使用料のみ。ビジネスフォンはリース料や保守契約料がかかる場合があります。
「初期費用が安い」という点ではホームテレホンに分がありますが、リースを利用すればビジネスフォンも初期費用ゼロで導入可能です。
総所有コスト(TCO)の観点で比較検討することが重要です。
拡張性の違い
- ホームテレホン:拡張性はほぼゼロ。事業規模が大きくなれば、システム全体の買い替えが必要です。
- ビジネスフォン: 主装置のユニット増設や、より大規模な機種への交換で、企業の成長に合わせて柔軟に拡張可能です。
将来的に従業員が増える可能性がある、あるいは事業を拡大していく計画があるならば、初期投資が多少かかっても拡張性のあるビジネスホンを選ぶ方が、結果的にコストを抑えられるケースが多いです。
自社に合った電話システムを選ぼう
電話システムは、一度導入すると簡単には入れ替えられない重要なインフラです。目先のコストだけでなく、3年後、5年後の事業の姿を見据えて、最適な選択を行いましょう。
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従来のビジネスフォンのような、高額な主装置の購入、PBXの設置工事は不要。PCやスマートフォンをビジネスフォンとして利用できるため、コスト削減と業務効率化を同時に実現できます。
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- 全通話の自動録音機能と書き起こしで「言った言わない」のトラブル防止
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